■ニワトリのように鳴くコブラ ~ クローウィング・クレステッド・コブラ
ウォルター・ローズ (Walter Rose) 氏はイングランドのリヴァプール出身の人物、アイルランドで歯科医を開業、その後、南アフリカのケープタウンに移住し歯科医を続けます。
しかしローズ氏は多才な人物でした。
歯科医の傍ら、作家としても活動、また、生物学にも精通しており、爬虫類学者の肩書も持ち、生物学の論文も多数発表していました。
そんなローズ氏の著書のひとつ、1962年に発表された「南部アフリカの爬虫類と両生類 (The Reptiles and Amphibians of Southern Africa)」には謎の生物が登場します、のちに「クローウィング・クレステッド・コブラ (Crowing crested cobra)」と呼ばれるようになる謎のヘビです。
クローウィング・クレステッド・コブラ (以下C.C.C.) を直訳すれば「雄鶏のように鳴くトサカのあるコブラ」です。
ローズ氏は自身の著作にこの「ニワトリ」と「コブラ」のハイブリッド生物を登場させていますが、その存在を信じていたわけではありません。
彼の旅の案内人から「雄鶏のようなトサカと肉垂れをもつ巨大なコブラ」についての噂は耳にしていただけで、むしろその存在はかなり懐疑的だったようです。
さて、C.C.C.を詳しく見ていきましょう。
目撃されるのは中部アフリカ・東アフリカ南部から、南部アフリカにかけてわりと広い範囲です。
C.C.C.が西洋に伝わったのは、ローズ氏の著作に登場するはるか前の19世紀の初頭からで歴史の古いUMAでもあります。
C.C.C.の体長は12フィート (約3.6メートル) 程、その名が示す通りのUMAで、頭部に雄鶏のようなトサカと肉垂れをもち、そればかりか雄鶏の鳴き声そっくりに大声で鳴く、という顕著な特性を持ちます。
見知らぬアフリカの地に、まだ見ぬ不思議な生物がたくさんいると信じられていた19世紀初頭ならいざ知らず、20世紀の半ばを過ぎた1960年代です、爬虫類学者でもあるローズ氏がその存在を疑ったのも当然といえます。
C.C.C.の体長3.6メートルという大きさはかなりのものですが、それでも15メートル、20メートルなどという現実離れした大きさではなく、実際、それ以上のヘビはいくらでも発見されているので、大きさ的にはクリアです。
雄鶏のようなトサカやに肉垂れについては少々厳しそうではありますが、形状は求めないとして、頭部にちょっと大きめの突起物を持つヘビであったり、さらにその突起物の色が赤のような目立つものであった場合、「雄鶏のようなトサカ」に見えてもおかしくはありません。
そのようなヘビは現在知られていませんが、突起がそれほど大きなものでなければ実在してもそこまで不思議なことではありません。
問題は鳴き声です。
ガラガラヘビのように尾を鳴らしたり、シャーッと威嚇音を出すことはヘビでも可能ですが、発声器官をもたないヘビにとって「鳴く」ということはかなりハードルの高い特徴です。
そういうわけでC.C.C.を新種のヘビとして考えた場合でも、頭部に目立つ色の突起があり、かつ大きな鳴き声を出せる発声器官をもつ特殊なヘビが実在する、と考えるのはかなり難しそうに感じます。
個人的には以下2つのパターンをC.C.C.の正体と考えます。
まずは鳴くことはできなくとも、ニワトリ然とした赤いトサカや肉垂れ状の突起物を頭部に持つ新種のヘビです。
実際は鳴くことはないものの、その姿に引っ張られて、ニワトリのような鳴き声をする、との噂が広まり、C.C.C.が出来上がったというもの。
見た目のイメージが真実を変えてしまうというパターンです。
そしてもうひとつは現実的な路線であまり夢はありませんが、「雄鶏を尾のほうから呑み込もうとしているヘビ」の誤認です。
大型のヘビが尾部から雄鶏を丸のみしており、ヘビの頚部はニワトリの体で膨れ上がったことによりコブラのようなシルエット、さらにヘビの口からはニワトリの頭部のみが出ているため、ヘビの頭部と勘違いしてしまったのではないか?というものです。
たいてい獲物の頭部から呑み込むので、こういったシチュエーションはかなりレアだとは思いますが。
C.C.C.の正体はいかに?
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