■ウジ入り高級チーズ「カース・マルツゥ」
チーズ好きであれば一度は食べてみたいイタリアの高級チーズ、カース・マルツゥ (casu marzu)
カース・マルツゥの元となるチーズはペコリーノ、これに一手間加えてカース・マルツゥを作り上げます。
そのカース・マルツゥ職人さんは、ピオフィラ・カゼイ (Piophila casei) というなんとハエ!
そう、あの食べ物には絶対近づけたくない昆虫のハエです。
ピオフィラ・カゼイはチーズ職人になってくれることからチーズバエと呼ばれます。
ちなみに、チーズ職人になってくれるのは成体のほうではなく、彼らの子供たち、つまり蛆虫のほうです。
カース・マルツゥ作りは、チーズバエがペコリーノに産卵することから始まります。
では、そこらへんにチーズをおいておけばチーズバエがやってきて、勝手に卵を産んでいってくれるかというとそううまくはいきません。
チーズバエとは呼ばれるものの、チーズ以外のもの (たとえば腐肉など) もふつうに好きだからです。
そういうわけで基本的には人為的にチーズに産卵させることになります。
卵から孵ったチーズバエの子供たちは、ペコリーノを食べてすくすくと成長します。
チーズバエの成虫は体長4ミリほどですが、子供たちは細長く8ミリほどもあり、触れると体長の20倍近い150ミリのスーパージャンプを見せてくれます。
そのため、かれらはチーズ・スキッパーやチーズ・ホッパーなるニックネームをもちます。
さてかれらチーズホッパーくんたちが食べ進む過程において固いペコリーノは発酵を繰り返し、どろりとしたペースト状のチーズに変化していきます。
これこそが高級チーズ、カース・マルツゥです。
さあ召し上がれ!
ここで疑問が沸くはずです、あのホッパー君たちはどうなったのかと。
蛹になって羽化してどっか飛んでいってしまったのならいいけど。
どうなってるかっつーと、カース・マルツゥは完成すれど、かれら (ホッパー君たち) はそのままチーズを食べ続けています。
んじゃどうすんだと?
あんな何百匹だか何千匹だかいるホッパー君たちを一匹一匹よけてで食べるのはめんどくさいんじゃないかと思うあなた、ご安心あれ。
そのままホッパー君ごと食べるのがカース・マルツゥの醍醐味。
現地の人たちは嫌悪感ひとつ見せずみな美味しそうに頬張っています。
蛆虫を踊り食いして問題ないのか?という疑問もあるかと思います。
残念ながら、問題あるようです。
たくさん食べると、そのうち何パーセントかは生きたまま胃を突破し一時的に腸内に住み着いてしまいます。
死ぬほど重篤な病気は引き起こさないようですが、腹痛や吐き気など、それなりの健康被害を引き起こすこともあるようです。
当然ながら、食品として取引することは禁止されており、是非とも食べてみたい!という人はイタリアの現地に赴くほかないようです。
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