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2025年10月5日日曜日

アメリカにキツネザルが棲んでいるだと? ~ ボストン・レムール


■アメリカにキツネザルが棲んでいるだと? ~ ボストン・レムール

キツネザルのことをレムール (lemur) といいますが、現存するキツネザルの仲間 (Lemuridae) は全てマダガスカルに棲息しています。

しかし不思議なことにキツネザルの化石種は海を隔て遠く離れたインドで発見されています。

さらにキツネザルたちと同じ曲鼻亜目 (きょくびあもく) の仲間、ロリス (Lorisidae) やガラゴ (Galagidae) はアフリカやアジアに現在でも棲息しています。

この曲鼻亜目の点在する奇妙な分布を説明するため、かつて (20世紀末) 化石種を含む曲鼻亜目たちが棲息している地域を繋ぐ大きな大陸が存在していたのでは?とイギリスの動物学者フィリップ・スクレーター (Philip Sclater) 博士は考えました。

これをレムリア大陸 (Lemuria) と呼びますが、もちろんキツネザルの英名レムールに由来しています。

この説は結局否定されましたが、要するに化石種だろうとレムリアを引き合いに出そうと、キツネザルを含む曲鼻亜目は南北アメリカ大陸とは無縁ということです。

そんなキツネザルとアメリカの関係なのですが、なんと21世紀に入ってから、マサチューセッツ州、ボストンでキツネザルとしか思えない生物が複数回目撃されているんですね。

これがボストン・レムール (Boston Lemur) です。

まあUMAの世界では恐竜や翼竜、果ては化け物じみた化石種ですら発見されたことのない生物が目撃されることも日常茶飯事なため、キツネザルなんて全然ありでしょ、、、と思うかもしれませんがかなり特異なことです。


はじめに目撃されたのは2002年3月、映画製作者のアンドリュー・マッジ (Andrew Mudge) 氏、シャーボーン (Sherborn) で牧場を営む両親の実家に訪れていた時のこと、使われていなかった納屋から見たこともない生物が飛び出してきたのです。

ガラクタでいっぱいの納屋だったこともあり両親はほとんど近付くこともなく、もしかするとその生物はふだん人気のないその納屋をこっそりと住処としていたのかもしれません。

その生物はコヨーテほどの大きさ、耳が小さく吻 (鼻先) が長い頭部をしており、背中にはうっすらと縞模様が、長い尾には毛がほとんどなかったといいます。

キツネとキツネザルのハイブリッド的な容姿に見えたといいますが、マッジ氏はおそらくキツネザルではないかと思いました。

それがなんであれ、慣れ親しんだこの地域では一度も見たことのない生物であることは確かでした。

父親にその話をすると、似たようなものを見たことがあると語っていました。

それから6年後の2008年、今度はMLB (メジャー・リーグ・ベースボール) 球団のひとつ、ボストン・レッドソックスの当時シニアアドバイザーをしていたビル・ジェームズ (Bill James) 氏によって目撃されました。

ジェームズ氏は現在では一般のファンも当たり前のようにプロ野球選手の指標として参照するセイバーメトリクスを提唱した野球界にとって最重要人物のひとりです。

ある夏の夜のこと、本拠地フェンウェイ・パークの帰り道、人はまばらだったといいます。

一見してそれはまだら模様のただの猫だと思ったといいます。

ところがよく見ると平坦な顔は猫のそれとはまったく異なることに気付きました。

しなやかな長い尾をもち、二足立ちする姿も見せたといいます。

ジェームズ氏とその生物が見つめ合っていたのは「フライボールの滞空時間のおよそ6~7倍ほど」とジェームズ氏は野球に例えユーモラスに答えます、まあ30秒ぐらいということでしょう。

その生物は踵を返し、道路わきに注されていた車の下を抜け去っていきました。

(キタオポッサム)
(image credit by Wikicommons)

さて、この2つの目撃、顔つきが異なることからおそらく同一の生物を語っているようには思えません。

マッジ氏が目撃したのは大きめのオポッサムだったのではないでしょうか?

小さな耳やキツネのような長い吻はオポッサムに似ています。

問題はコヨーテほどもあったという証言。

オポッサムは小柄な生物で平均体長は40センチ、体重は重くて3キロほど、四肢は短くネコより見劣りするぐらいで、とても「コヨーテほど」とは形容できません。

(ミネソタで射殺された6キロオーバーのオポッサム)
(image credit by Field & Stream)

しかし時としてキタオポッサム (Didelphis virginiana) は規格外に巨大なものが捕獲されることでも有名です。

ビル・ジェームズ氏の目撃したものはどうでしょう?

話を聞いた限り、キツネザルそのものを感じさせます。

実際、ジェームズ氏はキツネザル以外に思いつかないと言っている程です。

一番考えられそうなノンはペットや動物園から逃げ出したのキツネザルでは?ということです。

しかし、少なくとも近くの動物園に展示されているキツネザルに脱走したものはないとのこと。

その後目撃はなくボストン・レムールの正体は解決されていません。

テレポート・アニマル (棲息していない地域で目撃される生物の総称を意味する和製UMA用語) の一種として考えてもいいかもしれません。

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