■ルーマニアのライオン騒ぎ ~ ネアムツの野獣
今回はネアムツの野獣 (Beast of Neamţ)。
ネアムツ (Neamţ) とは東欧ルーマニアの北東部に位置する県の名前です。
2016年5月13日、ネアムツにある小さな村、イズボアレ (Izvoare) で家畜のブタが5頭惨殺される事件が起きました。
イズボアレではなくイズボアレレ (Izvoarele) という記事もありますが、イズボアレレはネアムツ県ではなくプラホヴァ県 (Prahova) にあり、両県は地理的にもかなり距離があるためイズボアレで話を進めます。
話を戻しましょう。
惨殺された5頭のうち2頭は頭部を切断、1頭は後肢がちぎり取られており、かなりの怪力の持ち主であることが示唆されます。
この村のハンター歴50年の男性はこんな殺し方をする生物に出遭ったことがないといい、この事件はクマや野犬によるものではなく大型ネコ科動物の仕業ではないかと推論を立てました。
ルーマニアには大型のネコ科動物は棲息していませんが、小さな村ということもあるのでしょう、この男性の考えが村人たちに受け入れられ、恐ろしい大型ネコ科動物が棲息しているかもしれないと、村中は大騒ぎになります。
そして怯える住民たちをあおるように、ヒツジやニワトリ、そして飼い犬まで殺される家畜惨殺事件が続いたのです。
全く謎の生物でしたが、徐々に目撃情報も報告されるようになります。
しかし大型ネコ科動物のような目撃情報はなく、報告されるのはオオカミや野犬のような生物でした。
そして惨殺事件が収まると、次第に目撃情報も少なくなっていきました。
しかし8月16日の夕方、ネアムツの県都ピアトラ・ネアムツ (Piatra Neamţ) に住む女性から突如ネアムツの野獣の目撃が報告されます。
なんとメスライオンを見たというのです。
とても頭部が大きく体色は薄いベージュ色、明らかにイヌではなかったといいます。
前述の通り、ルーマニアにライオンは棲息していませんから、これはUMA用語でいうテレポートアニマルになります。(和歌山のライオンの記事参照)
彼女の夫はそんな話を人にしたらバカにされるからやめろと彼女が公表することを制止したといいます。
しかし、彼女は夫の制止を振り切り、公表する決心をしました。
「正直に申し上げますと、自転車で遊ぶ我が子が心配なんです、(警察は) 早急に何らかの手を打つ必要があります。
これから警察に通報する予定です、そのまま (ライオンを) 放置されるのは恐怖でしかありませんから。
だからわたしはこうやって (マスコミの前で) 公表することに決めたんです」
警察に通報してもどうせ取り合ってもらえないだろうと、彼女は世間の注目を集め味方につけ、警察が手を打ってくれるよう最初にマスコミに公表したようです。
3ヶ月前、大型のネコ科動物の仕業だと村の男性が言ったことが現実になりつつあります。
ところが!警察はこれを無視、その姿勢をマスコミが非難するも警察は沈黙を守り、そうこうしているうちにまたもこの事件は沈静化。
一体あの騒ぎはなんだったのだろうと回顧するも、サーカスのライオンが脱走し野生化した、もしくは一時的に脱走した、といった推測も出ていました。
リアルな線で考えれば、やはりブタたちの惨殺はヒグマ (Ursus arctos) によるもの、そして彼女が目撃したライオンはヨーロッパヤマネコ (Felis silvestris) の大型個体の誤認だったのでは?
ルーマニアにヒグマはとても多く、ヨーロッパの全体の60%の個体がルーマニアに生息しています。
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