■マオリ族に伝わる6本足の謎の巨大爬虫類 ~ ンガーララ(ンガララ)
今回はンガーララ(ンガララ, Ngarara)。
「ン」ではじまるUMAですからアフリカですね、と言いたいところですが、 ンガーララはニュージーランドのUMAです。
マオリの神話に登場する大型の爬虫類で、マオリ語では「怪物(モンスター)」を意味するとされます。
一方で「爬虫類」そのものを指す語であるとの説もあります。
一般的に、クミ・リザード(Kumi Lizard)もンガーララの一種とみなされていますが、これについても確実ではありません。
呼称の段階からすでに、神話と分類学の境界が曖昧です。
― ンガーララとは何か ―
伝承によれば、ンガーララの体長は約1.5メートル。
数字だけ見れば、世界の未確認爬虫類の中では控えめな部類です。
しかし重要なのは場所です。
ニュージーランドという環境において、このサイズは異様です。
四肢を備えた大型爬虫類。
しかも怪物と呼ばれる存在。
その背景には、同国の特異な生態系があります。
― ニュージーランドに大型爬虫類はいない ―
爬虫類系UMAの正体候補としてよく挙がるのは、ワニ、オオトカゲ、大蛇です。
ンガーララがワニだとすれば、1.5メートルは特段驚くべき大きさではありません。
しかしニュージーランドにワニは棲息していません。
ではオオトカゲでしょうか。
ワニほどにはなりませんが、オオトカゲも2メートルを超えることは珍しくありません。
実際、海を隔てた隣国オーストラリアには大型のオオトカゲが多数生息しています。
ですがニュージーランドにオオトカゲは存在せず、ヘビすら棲息していません。
この「いない」という事実が重い。
同国最大の在来爬虫類はムカシトカゲ(Sphenodon punctatus)で、最大でも約80センチ。
他に挙げるなら体長30センチ前後のデュヴォセルヤモリ(Hoplodactylus duvaucelii)程度です。
その生態系の中に、突然1.5メートル級の爬虫類が現れる。
それは確かに「怪物」です。
― 6本足の捕獲伝承 ―
マオリの伝承では、1875年、北島西海岸ホキアンガ湾(Hokianga)周辺で6本足のンガーララが捕獲されたといいます。
その異様さゆえに、形が分からなくなるほど切り刻まれたという話も残ります。
脊椎動物で足が6本。
生物学的には極めて例外的です。
ただし遺伝子異常による過剰肢の例は現実にも存在します。
単一個体の異常であれば、完全否定はできません。
もっとも、その記録は口承のみ。
標本も骨も残っていません。
― 正体候補と巨大ヤモリ説 ―
正体として最も現実的なのは、やはりムカシトカゲの誇張でしょう。
大きさの印象が拡張された可能性です。
あるいは、すでに絶滅した大型ヤモリの記憶。
かつてニュージーランド産と誤認されていた体長60センチ超の世界最大のヤモリ、デルコートオオヤモリ(Hoplodactylus delcourti)は、最終的にニューカレドニア産と判明しました。
しかし60センチを超えるヤモリが存在した事実は、巨大化の余地を想像させます。
未発見、あるいは人類到来後に絶滅した大型種がいた可能性。
完全には否定できません。
ニュージーランドは飛べない鳥の楽園であり、外敵の少ない孤立環境でした。
その特殊性が、常識外れの進化を許した例も少なくありません。
ンガーララは、巨大爬虫類の実在を示す証拠ではありません。
しかし、生態系の空白と伝承の一致が、わずかな余白を残します。
6本足の怪物は本当に存在したのか。
それとも、禁忌を象徴する神話的存在だったのか。
ニュージーランドには今もヘビはいません。
だからこそ、森の奥に巨大な影を想像してしまうのかもしれません。
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