■角の生えたカエルは存在したか? ~ ホーンド・フロッグ
イギリスの動物学者・未確認動物学者のカール・シューカー氏が友人から受け取った1冊の本、"And To Every Beast... (そしてすべての獣に)"。
15世紀、イタリア人人文主義者ピエトロ・カンディド・デチェンブリオ (Pietro Candido Decembrio) 氏により書かれたもので、多くの動物の挿絵が挟まれていました。
基本的には当時の動物図鑑のようなものですが、現在でも普通に知られるものから、明らかにフィクションと思われる幻獣的なものも含まれていました。
その中から微妙な存在に思える「触角」もしくは「角」の生えたカエルをピックアップします。
ホーンド・フロッグ (Horned frog)。
挿絵を見た限りは「触角 (アンテナ)」ですが原文では「角 (ホーン)」になっているようです。(原文を読んでないので確実ではありませんが)
頭部から昆虫のような長い触角が生えたカエルで体全体は濃褐色です。
前述の取り、この本には実在する動物と幻獣と思われる動物の両方が掲載されていますが、このカエルはどちらでもない微妙な立ち位置にいる動物です。
既知種にこんなカエルはいませんが、かといって幻獣というほど突飛なものでもありません。
これはもしかすると現存するツノガエルの仲間 (Ceratophrys) が少々誤って伝達されたものではないでしょうか?
(アマゾンツノガエル / Ceratophrys cornuta)
(image credit by Wikicommons)
その場合、気になるのはツノガエルの生息域と本の発行年です。
ツノガエルの仲間はすべて中南米に棲息しており、この本は1460年に発行されています。
クリストファー・コロンブスが北米大陸に到達したのが1492年、そして南米に到達したのは1498年です。
ヨーロッパ諸国がまだ南米に到達する以前にこの本は発行されたということが分かります。
となると、ツノガエルは正体ではない!新種確定!
といいたいところですが、この本の挿絵自体は本の発行から遅れること約100年、16世紀に入ってから追加されたということも分かっています。
そうなると西洋人が南米到達後ということになりギリギリ間に合います。
この「触角をもつカエル」は「角のような突起をもつカエル (ツノガエル) がいるらしい」⇒「角が生えたカエルがいるらしい」⇒「長い角を生やしたカエルがいるらしい」といった伝言ゲーム失敗により誕生したものでしょうか?
そうかもしれませんし、そうじゃないかもしれません。
神秘性は薄いものの、単に幻獣のひとつ、フィクションとして描かれ可能性も否定できません。
但し500年も前の話です、両生類は人類の活動とかなり相性が悪く、加速度的に次々と絶滅しています。
当時は本当にそんなカエルが実在していたかもしれませんし、もしかすると現在でもどこかでひっそりとそんなカエルが棲息しているかもしれませんよ?
(参照サイト)
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