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2024年8月21日水曜日

カナダの光る魔獣 ~ ユーコンテリウム


■カナダの光る魔獣 ~ ユーコンテリウム

今回はユーコンテリウム。

テキサスのサンドドラゴン黒海の巨大シーサーペントチェルノブイリのマンモスチキンスクリュー尾のガー助、等々、海外のUMAであるにも関わらず、日本のUMA本でしかお目にかかれないUMAは数多く存在します。

今回のユーコンテリウムもおそらく日本限定のUMAです。

それでは見ていきましょう。

ユーコンテリウムはその名前からも推測できる通りカナダのユーコン準州で目撃されるUMAです。

いかにも古生物にいそうな名前ですが、そのように命名された古生物は存在しません。

まあUMAに命名されたものですからね、当然ですね。

ユーコンテリウムの「ユーコン」はユーコン準州から取られているのが分かりましたが「テリウム」はどういう意味でしょう?

ユーコンテリウムを目撃した先住民族たちに話を聞いたところ、どうもこの怪物は巨大なナマケモノに似ているといいます。

(メガロニクス・ジェファーソニの全身骨格) 
(image credit by Wikicommons)

というのも、彼らに絶滅した地上棲の巨大ナマケモノ、メガテリウム (Megatherium) のイラストを見せたところまさにこの生物だと語ったというのです。

こういった経緯から、ユーコンテリウムという名は「ユーコン準州で目撃されるメガテリウムのような生物」といった意味合いで命名されたに違いありません (実際はそういう意味になりません (後述))。

しかし「~テリウム」という名を持つ古生物はメガテリウムだけではありません、エラスモテリウム (Elasmotherium) や旧インドリコテリウム (Indricotherium) ことパラケラテリウム (Paraceratherium)、カリコテリウム (Chalicotherium)、ヒラコテリウム (Hyracotherium) 等々、数多く存在します。

「テリウム (therium)」とはラテン語で「(哺乳類の) 獣」を意味します。

つまりユーコンテリウムは「ユーコンの獣」とか「ユーコンの野獣」といった意味になるのです。

で、なんでこのUMAが日本限定の可能性が高いのかというと、上記からユーコンテリウムのスペルは "Yukontherium" となるはずですが、この名で検索しても海外サイトではひとつもヒットしないからです。

厳密にいうとその名前自体はヒットしますが、これは日本のサイトから名前だけ逆輸入的にユーコン・ビーバー・イーター (Yukon Beaver Eater) の別名として引用されているだけと思われます。

つまり海外ではユーコンテリウムとユーコン・ビーバー・イーター (先住民族からサイトエチン (Saytoechin) と呼ばれます) は同一視されているということになります。

当然ですよね、いずれも「ユーコン準州で目撃される絶滅巨大ナマケモノに似た生物」という共通点から、日本ではユーコン・ビーバー・イーターをユーコンテリウムと呼んでいるのだろうと推測されたに違いありません。

但し、似ていますが強烈に異なる点が一つだけあります、ユーコンテリウムは全身が生物発光するというのです。

ユーコンテリウムが日本で「光る怪獣」と呼ばれる所以です。

ではユーコン・ビーバー・イーターとユーコンテリウムは別物なのか?というと、あまりに身体的特徴が似すぎており、別物と考えるのもこれまた厳しそうです。

実際はどうか分かりませんが、ユーコン・ビーバー・イーターを日本で紹介する際に名前をユーコンテリウムに変更、そのついでに読者にインパクトを与えるため生物発光の要素をプラスした、といった感じではないでしょうか。

かなり前からユーコンテリウムは存在しているため今更それを確認する術はありませんが、ユーコン・ビーバー・イーターがユーコンテリウムの基になっている可能性は高いでしょう。

ちなみにユーコンテリウムはメガテリウムに似ていることからそう命名されたと考えられますが、メガテリウムは南米の地上棲ナマケモノです。

北米大陸にも10フィート (約3メートル) を超える巨大ナマケモノ、メガロニクス・ジェファーソニ (Megalonyx jeffersonii) がかつて棲息しており、巨大ナマケモノを正体とするならメガテリウムよりメガロニクスの方が本当は都合がいいですよね。

その場合、ユーコンテリウムではなくユーコンニクス (Yukonnyx) と命名した方がふさわしかったでしょう。

で、生物発光についてですが、メガテリウムにしろメガロニクスにしろ化石種であり生物発光したかは知る由もありませんが、脊椎動物で生物発光するのは魚類しか知られていないことを考えるとかなりハードルの高い特徴かもしれません。

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5 件のコメント:

  1. ユーコンテリウムにビーバーイーターにグーに(創作濃厚だけど)パートリッジクリークの怪物?あの辺UMA魔境すぎる

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    1. コメントありがとうございます。
      カナダの人口は五大湖周辺にほぼ全部集中しているのでユーコン準州 (人口密度0.08人/㎢) はほとんど人が住んでいないだけに怪物騒ぎも起きやすいかも?大抵UMAは辺境での目撃が多いですからね。

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  2. インドのイグアノドンとかシベリアの地底怪獣とかも日本のUMA本限定のやつですね
    こういうのって、ユーコンテリウムみたいに何か元ネタに脚色した物なのか、一から作ってるのかどうなのでしょうかね

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    1. コメントありがとうございます。
      そうですねぇ~、ユーコンテリウムについては元ネタの脚色だと思いますが、全く出所不明のものもあるので完全オリジナルもあると思います。

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  3. 耀く白き姿じゃと現地の方が話したのを誤訳したとかもありそうですね。

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