■妖怪なんかじゃない ~ 河童 (カッパ)
カッパ (Kappa)
今更「カッパ」かよ、と思っていることでしょう。
しかし紹介しないわけにはいきません、なにせ日本を代表するヒューマノイド系の謎生物であると同時に海外でも "Kappa" として「超」有名だからです。
完全に創作された生物 (もしくは妖怪) なのか、実在する生物が元になっているのか、それとも本当にこの姿そのままで存在するのか、悩ましい存在です。
日本のいたるところにカッパ伝説はあり、その地方によって姿や性質 (人間に対し友好的・敵対的) も大きく異なります。
地方のカッパをそれぞれすべてを網羅し、細かく紹介していればきっと10冊ぐらいの分厚い「カッパ大全集」という全く売れない書物が出来てしまうため、簡単に要点だけ紹介していきます。
一般的に (個人的なイメージですが)、カッパは人間より小柄、全身が緑色で二足立ち (二足歩行) が可能、カメに似た大きな甲羅を背負い、四肢の指先には水かきがあります。
陸にも上がれますが水中生活に適応しており川や沼、池に棲息していると考えられています。
頭部を見ていくと口はクチバシ状、そして何といってもカッパのトレードマークといえば唯一無二の頭部の「サラ (皿)」です。
この皿は常に濡れている、もしくは水で満たされている必要があり、乾いてしまうと衰弱したり死んでしまうと考えられています。
陸に上がった時の補助的な役割を担っているのかもしれません。
カッパは基本的に頭髪 (に似たもの) が生えており、この皿の部分にのみ頭髪が生えていないため、後頭部の毛が薄い人は現実世界でこのカッパのヘアスタイルに例えられ「カッパ禿げ」と陰口を叩かれる傾向があります。
カッパの他の顕著は身体的特徴といえば肛門が3つあるという謎仕様でしょうか。
ただこれはネコ科の一部の動物に見られる肛門1つ + 臭腺 (肛門嚢) 2つの計3個をすべて肛門と誤認した、という解釈も可能です。
食性は一般的にキュウリが大好物といわれていますが、人間に敵対的なカッパは尻子玉 (しりこだま) を好物とします。
友好的なカッパは人間の手伝いをしたり子供たちと相撲を取ったりと大変従順ですが、敵対的な河童は人間を川に引きずり込み溺死させ前述の人間の肛門内にあるという伝説の器官、尻子玉を抜いて食べます。
尻子玉とは名前の通り、人間の肛門内にある球形の臓器と考えられています (実際はないですよ)。
とこんな感じでですがいかがでしょう。
「うちの地方で伝わるカッパはそれとは全然違う!」と憤慨している方もおられるかもしれませんが、そういった方は幻の著書『カッパ大全集』を読んでいただくとして、あくまで上記の特徴は個人的なイメージです。
「カッパのミイラ」なるものもいくつか存在しますが、まあ、ああいうのは調査しないに限ります。
夢は夢のままで。
さて、これを完全な妖怪ではなくUMAとして考えた場合、候補はあるでしょうか?
ひとつの説に、ダイノサウロイド (恐竜人) があります。
興味のある方は上記の記事をどうぞ。
「もし恐竜が絶滅せずに、現在まで人間のような進化を辿ったとしたら、いったいどのような生物になったのか?」
カナダの地質学者にして古生物学者のデール・ラッセル博士 (Dale A. Russell) がこの問題に取り組み、獣脚類のトロオドン (Troodon) 科学的にシミュレートして考え出した想像上の生物です。
カナダの地質学者にして古生物学者のデール・ラッセル博士 (Dale A. Russell) がこの問題に取り組み、獣脚類のトロオドン (Troodon) 科学的にシミュレートして考え出した想像上の生物です。
(ダイノサウロイド)
ダイノサウロイドはあくまでシミュレーション上の生物ですのでここからは既知生物で考えていきます。
カッパという存在は元々は水辺から子供を遠ざけるために創造されたものだと考えられますが、不思議なことに多くのUMAがそうであるように創造される (具象化し認識される) とその後その生物は目撃されるようになります。
カッパの甲羅の形状はもはやカメ科しか似ているものがおらず、日本古来より目撃があることを考えると大型のスッポン (Pelodiscus sinensis) が有力でしょうか。
最大個体で甲長40~60センチもあれば長い首を含め1メートル近くになるに違いありません。
「カッパという生物が存在する」という先入観から今まで見たことのないような大型個体のスッポンが泳いでいるのを見たらカッパと誤認する可能性は考えられます。
但し頭部のクチバシ状である口の形状はスッポンよりもウミガメとかの方がより似ており、甲羅もスッポンよりはウミガメ風な印象を受けます。
子亀時代の偶発的な場合を除き、カメの二足立ち&二足歩行はどう転んでも無理そうなのがカメ正体説の厳しいところです。
他にもオオサンショウウオ (Andrias japonicus) のような大型の両生類を候補に挙げる意見もあります。
ではカメやオオサンショウウオには厳しすぎる二足立ちについて考えてみましょう。
二足立ちできるというのであればやはり哺乳類ということになります。
(二足立ちするカワウソ)
(image credit by Wikicommons)
カッパは水辺とは切っても切り離せない生物ですからその候補はやはりカワウソ、特に日本では絶滅してしまったニホンカワウソ (Lutra nippon) がその筆頭格になるでしょう。
カワウソは水中生活に完全に適応しておりなにせ四肢が短いこともあり二足立ちする特技を持ちます。
もちろん甲羅は持ちませんがカッパの特徴である、水辺・小柄・二足立ち、という大きな条件を満たす生物です。
夜も近い夕方ごろに川辺の石に二足立ちをするカワウソのシルエットをカッパと誤認した、という可能性もあるのではないかと思います。
というわけでカッパをまとめましょう。
伝説の通りあの見た目のままのカッパという生物が実際に存在する、という説がまずひとつ。
そして既知生物の誤認であるとしたら、水中での目撃であれば大型のスッポン、ぎりぎりオオサンショウウオ、陸上で二足立ちしている姿の目撃であればカワウソ、それにニホンザル (Macaca fuscata) も一応入れておきましょう、こんな感じではないでしょうか。
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尻子玉って架空の臓器だったんですね
返信削除日本昔話等のアニメで観る限りだと魂的なものだと思ってました
肛門が3つあるってそんなメジャーな特徴でしたっけ…調べたら「河童の三平」で描かれてるようですけど「それで空を飛ぶ」て明らかに漫画用のアレンジのような…
返信削除そもそも古い時代には甲羅も、皿もなかったような。遠野の河童は猿であろうてのがありましたね。
返信削除河童が実在していたら、少し怖いけど遭ってみたいです
返信削除映画やアニメで観る河童は可愛いですものね。たまに怖い河童いるけどw
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