■全てが「9」の不吉なワーム ~ ジェヴィオントゥカ・ワーム
今回はポーランド発のUMA、ジェヴィオントゥカ・ワーム (Dziewiątka Worm)。
ジェヴィオントゥカ・ワームとはポーランド語で「9のワーム」を意味します。
19世紀、ポーランドの著名な民族学者、オスカル・コルベルグ (Oskar Kolberg) 氏の著書「マゾフセ (Mazowsze)」に登場する謎の生物です。
ちなみるコルベルグ氏は単にこの生物を『9 (ジェヴィオントゥキ, Dziewiątki)』と呼んでいます
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「わたしは『9』という名の生物について書物を通じて一度も出遭ったことはありません。
農民たちの話によれば、このワームに咬まれた後、患者はその『9』日後に命を落とすことで有名だそうです。
理由はこのワームによる咬傷に対し適切な治療法は存在しないからだといいます。
この『9』は大人の指の太さと長さ程度の生物で、口には鋭い牙を持ち、体には『9』の関節、それぞれのセグメントには目に似た斑点模様があり、全体は黒っぽいといいます。
わたしのあらゆる努力もむなしく『9』の標本を手に入れることも、見ることすら叶いませんでしたが、この生物のお気に入りの場所は知ることができました。
スヴァウキから数マイルのクレシュチュベク (Kleszczówek) にある農場はみな『9』を恐れ近寄らないため草木もそのままに放置されているといい、、そこにある牧草地に多くの『9』が棲息しているらしいのです。
『9』に咬まれた時の症状は次の通りです。
まず咬まれた部位にエンドウ豆ほどの黒っぽい水ぶくれができます。
耐えがたい痛みで、吐き気、睡眠障害、食欲の減退が続き、『9』日目には必ず死が訪れます。
わたしはプンスク (Puńsk) の猛毒のワームの存在は知っていますが、噂によれば数年前、牧草地で干し草をかき集める作業していた農夫が、『9』に指を咬まれ上記の症状を経て亡くなったといいます。
亡くなった農夫の指には黒い水ぶくれが出来ていましたが、それが本当に『9』による咬傷事故であったかどうかは定かではありません」
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上記の通り、ジェヴィオントゥカ・ワームはポーランド北東部、ポドラシェ県スヴァウキ近郊のクレシュチュベクに棲息するといわれるワームで、体長は明確な数字ではありませんが、「大人の指ほど」と表現していることから5センチ前後でしょうか。(※ここも『9』センチだと良かったのですけどね)
関節が「9つ」あるということなので10のセグメントに分かれているという意味でしょうか。
しかし関節が「8つ」でセグメントが「9」という解釈もあり、こちらの方が各セグメントに「目」があることから、つまり目の数も「9」と、よりこのワームの神秘性は増します。
そして咬まれた「9」日後に亡くなる。
このように「9」という数に呪われたワームであるため「9のワーム」を意味するジェヴィオントゥカ・ワームと呼ばれるわけですす。
この「9」縛りの伝説はさすがにフィクションでしょうが、ワーム系の生物、特に蛾の幼虫には人を死に至らしめるほどの猛毒を持つ種もいるため実在しても全く不思議ではありません。
以前に紹介した南米に生息するヤママユガの仲間、ロノミア・オブリクア (Lonomia obliqua) の幼虫 (毛虫) は毎年何人もの死者を出しています。
現時点でポーランドにこのような猛毒毛虫が棲息しているとは確認されておらず、もしかすると毛虫の咬傷によりアナフィラキシーショックや感染症を引き起こし、それが原因で亡くなった人の噂がこの都市伝説のような生物を誕生させた可能性はあるかもしれません。
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毒腺毒牙がある芋虫っているんですかね。牙があるなら強烈なムカデかクサリヘビの類を連想します。
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