■剥製だって存在する、オオカミとハイエナのハイブリッド ~ シュンカ・ワラキン
今回はシュンカ・ワラキン (Shunka Warak'in / Shunka Warakin)。
オオカミ、もしくはハイエナによく似たUMAといわれています。
このタイプのUMAは多いですが、北米大陸のロッキー山脈地帯、特にアメリカ、モンタナ州で目撃されるものを指し、シュンカ・ワラキンと呼びます。
シュンカ・ワラキンは先住民によって明確にイヌ (野犬) とは区別されている動物で、この名前も「犬を連れ去る (もの)」という意味です。
アメリカにはオオカミ (ハイイロオオカミ, Canis lupus) はいますが、ハイエナはいません。
既存の生物の誤認であればハイイロオオカミが筆頭候補で間違いありません。
(レッドウルフことアメリカアカオオカミ)
(image credit by Wikicommons)
北米大陸には20~30頭まで数を減らしており絶滅寸前のアメリカアカオオカミ (Canis rufus) もおり、その希少性からUMA扱いになる可能性は秘めていますが、大きさ的 (ハイイロオオカミより小柄) にも生息域的にもおそらく違うのではないかと思います。
最も人気のある正体はもちろん絶滅種で、特にダイアウルフ (Aenocyon dirus) とヒアエノドン (ハイエノドン, Hyaenodon) が候補に挙がります。
簡単にこの2種を紹介しましょう。
ダイアウルフはハイイロオオカミより若干大きかった (重かった ) ぐらいのオオカミで体はがっしりとしているものの、現生のハイイロオオカミの大型個体であれば大差なく候補としてはイマイチでしょうか。
もうひとつのヒアエノドン、その多くはそれほど大きくありませんでしたが、ヒアエノドン・ギガス (Hyaenodon gigas) は3メートル、380キロと現生のハイイロオオカミよりはるかに大きく成長し、生き残っていたとしたら間違いなくUMA化するでしょう。
さて、シュンカ・ワラキンといえば剥製です。
シュンカ・ワラキンのもの、といわれる剥製が存在するのです。
この剥製は1886年、モンタナ州のマディソン渓谷で農夫イスラエル・アモン・ハッチンス (Israel Ammon Hutchins) 氏がによって射殺された謎の生物です。
とても風変わりな風貌をした生物であったため買い手が付き、ハッチンス氏はジョセフ・シャーウッド (Joseph Sherwood) なるビジネスマンとの間でこの謎の死骸とウシの物々交換が成立します。
シャーウッド氏は剥製師でもあったためこの生物に処理を施し剥製にすると、アイダホ州ヘンリー・レイクにある自身のスーパー兼博物館に「リングドカス (Ringdocus)」という名で展示しました。
シャーウッド氏の死後もリングドカスは展示されていましたが、1980年代に突如行方知れずになってしまったのです。
UMAにありがちな実物の紛失ですが、大抵それは第3者の目に触れる前の紛失で実在したかどうかも怪しいものが少なくないですが、このシュンカ・ワラキンの場合はそれとは全く異なります。
100年近く展示されており、多くの人が目にし写真にも収められ、それがなんであれ実在したのは確かです。
とはいえ、無くなってしまったのは残念です。
ところが剥製が紛失して約20年後の2007年12月、なんとあのシュンカ・ワラキンを農場で撃ったハッチンス氏の孫、ジャック・カービー (Jack Kirby) 氏がこの剥製紛失事件を解決したのです。
シャーウッド氏の死後暫くしてシュンカ・ワラキンを含むすべての剥製がアイダホ自然史博物館に寄贈されていたことを知ると、同博物館内の倉庫を捜索、埃まみれになっていたシュンカ・ワラキンの剥製を発見します。
現在、シュンカ・ワラキンの剥製はモンタナ州のマディソンバレー歴史博物館に展示されており、いつでも閲覧可能です。
科学の進歩も著しい現在、DNA鑑定なりなんなりしてその剥製の正体は判明したのか?
剥製を再発見してから今日に至るまで科学者による調査はされておらず、今後もその予定はないとのこと、真実を知らないまま夢を見続けるのもまた良い選択。
シュンカ・ワラキンのラベルには単に「ビースト」とだけ銘打たれ展示されています。
(参照サイト)
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