■極寒のシベリアに棲息する謎のウマ ~ ラムート・ワイルド・ホース
ラムート・ワイルド・ホース (Lamut wild horse)、もしくは単にラムート・ホース (Lamut horse) と呼ばれるこの謎のウマは、シベリアおよびロシア極東に住むツングース系民族、ラムート人 ((Lamut people) によって伝えられたことにその名を由来します。
ちなみに現在ラムート人はエヴェン人 (Evens) と呼ばれ、ロシア連邦の北島に位置し、ロシア連邦の国土のほぼ1/4を占めるサハ共和国にエヴェン人の半数が住んでいます。
まあエヴェン人の住む地域は大変過酷な地域に集中しているということです。
さてこのラムート・ワイルド・ホースとはどんな生物か?
まずエヴェン人とこの謎のウマの関係ですが、エヴェン人はこの馬を食料として調達しており、先住民族とUMAの関係にありがちな神聖視されるような存在ではない、つまりそれほど珍しい存在ではない、というのが大きな特徴です。
(ヤクート馬)
(image credit by Wikicommons)
この馬の身長は大きくても1.5メートル以下、エヴェン人の住む地域に棲息する野生のウマ、ヤクート馬 (Yakutian horse) と同じぐらいの大きさですが、明確に異なる馬との認識です。
ちなみにヤクート馬は1年の程簿2/3が冬という極寒に耐えうる進化を遂げ、その耐寒性はマイナス70度にも耐えることができます。
地元ではヤクート馬もまた食肉として狩られ利用されますがその耐寒性から脂肪は分厚く珍味だということです。
さて謎の野生馬、ラムート・ワイルド・ホースの毛並みはというとヤクート馬より長く、その色は灰白色、いわゆる芦毛というやつですね。
ロシアの動物学者オイゲン・ヴィルヘルム・ファイゼンマイヤー (Eugen Wilhelm Pfizenmayer) 博士はエヴェン人からこの謎のウマの話を聞き、ヤクート馬とは異なる未知の野生馬が存在すると考えました。
(モウコノウマ)
(image credit by Wikicimmons)
しかしこの推測に同意する生物学者は少なく、ラムート・ワイルド・ホースの正体はモウコノウマ (Equus ferus) に過ぎないのではないかと反論されたりもしています。
実はこのモウコノウマ、野生下では1970年前後で一旦絶滅しており、現在存在するのは動物園で繁殖していた個体を再導入したものです。
シフゾウ (Elaphurus davidianus) なんかと同じですね。
しかしモンゴルの草原地帯に棲息していたモウコノウマがエヴェン人の住むほど極寒の北方で食料になるほど潤沢にいたとは少々考えづらいところです。
またモウコノウマよりもヤクート馬の方が大きく、エヴェン人の証言によればラムート・ワイルド・ホースはヤクート馬よりもさらに大きいということでやはり異なる種である可能性があります。
というわけで未知のノウマということにしておきましょう。
(関連記事)
-70度まで耐える馬ってめっちゃすごいですね
返信削除