■福井県で捕獲された人間の手足を持つ猫 ~ 牧村の怪猫 (ウェブド・キャット)
1884年、福井県下吉田郡牧村で人間の手足を持つ猫が捕獲されたといいます。
まず「下吉田郡牧村」という住所、150年も前の話なのでこの住所が存在するのか?とうと「吉田郡」は現在でも存在するものの「下吉田郡」は存在しないようです。
また「牧村」も特定できなかったため、現在のどのあたりで捕獲されたものかは残念ながらはっきりしません。
取り敢えず福井県のUMAということを知ってもらえばいいかと思います。
さてこの「人間の手足を持つ猫」ですが情報も極端に少なく、時代も時代、古くから伝わる民間伝承、つまり妖怪じゃないの?とお思いでしょう。
実際にその可能性も高いであろうことは否定しません。
で、その可能性は十分ありますが、150年も経つと話が盛られて原形をなくしてしまうことがあります。
このUMAはそのパターンの可能性もあるのではないかと推測します。
取り敢えず、呼称を持たないこのUMAを「牧村の怪猫 (まきむらのかいびょう, Makimura no kai-byo)」と呼ぶことにしましょう。
この猫が「妖怪」的なのは四肢が人間に近いということ。
このイメージから二足歩行するネコ型ヒューマノイド、つまり「猫男」みたいなものを想像してしまいます。
しかし実際は「人間の手足に似た」と言っているだけで二足歩行といった表現もありません。
この生物の姿のカギを握るもう一つのキーワードが「水かきのようなものを備えていた」というものです。
ここから「(人間のように) 指が長く、その指と指の間に水かきををっていた猫」というのが推測できます。
つまり「人間の手足に似た」というのは「指が長い」に置き換えられるように感じます。
猫の指と指の間には被膜がありますが通常では「水かき」と認識するようなものではありません。
(スナドリネコ)
(image credit: Wikicommons)
水かきのある猫として有名なのはフィッシング・キャット (Fishing cat) ことスナドリネコ (Prionailurus viverrinus) です。
イエネコよりやや大きく、最大80センチ以上の体長になるベンガルヤマネコ属の肉食獣です。
なんでも食べますが特に水生生物、特に魚食性が強くこの名 (漁り猫) があります。
食糧の多くを水生生物に頼るため水中生活に適応しており前述の通り「水かき」を持ちます。
東南アジア~南アジアのマングローブや沼沢地に棲息し、もちろん日本には生息していません。
しかし何らかのアクシデントやペットで19世紀末に日本に持ち込まれ野生化したとしても怪猫扱いされるかというと微妙です。
(ピーターボールド)
(image credit: Wikicommons)
(スフィンクス)
(image credit: imgur.com)
むしろ無毛・もそくは無毛に近いネコ、スフィンクス (Sphynx) であるとかピーターボールド (Peterbald)、オリエンタル・ショートヘア (Oriental Shorthair) なんかの方が、毛が無い (もしくは極端に短い) ことで四肢が長く見え、おまけに指も長く「水かき (被膜)」もはっきりとしている個体も存在します。
こういったネコたちこそ「人間の手足を持つ猫」ではないかと推測します。
これらの品種のネコが19世紀末当時、日本にいたとは考えられないため、野生化した猫 (つまりイエネコ) の大型個体が疥癬等の皮膚病に罹患し毛が抜け落ち奇妙な風貌 (スフィンクス風) となって捕獲された、という可能性が牧村の怪猫の正体のひとつとして提唱しておきます。
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