■意思を持って動き回る謎の球体 ~ ベッツ・ミステリー・スフィア
1974年3月27日、アメリカ、フロリダ州フォート・ジョージ島 (Fort George Island) で小さな山火事が起きました。
近所に住むベッツ家はそこで奇妙な金属製の球体 (スフィア) を発見します。
直径20センチ、ちょうどボウリングのボールほどの大きさですが重さはボウリングのボールより重く10キロもありました、。
発見時、彼らはかつて戦争で使われた年代物の砲弾かと思いましたが、どうもそうではなさそうです、とにかく不思議なものであったため家に持ち帰ることにしました。
はじめにこの球体の不思議さに気付いたのは息子のテリー少年です、ギターを弾いているとその音に反応しているかのように反響したといいます。
(アントワーヌ氏(左) / テリー少年(右))
興味をもったテリー少年はこの球体で様々な実験をしてみることにしました。
ハンマーで叩けば反響し、振ってから床に置くと勝手に動くことに気付きました。
家族を追うように転がりながら方向を変えるときもあり、まるでその球体は自身の意思で動いているように見えたといいます。
はじめは友人たちに見せる程度だったもののその奇妙な球体の噂は瞬く間に広まり、地元で超常現象系のラジオ番組の司会をしていた超常現象研究家ロン・キベット (Ron Kivett) 氏の耳にも入りました。
彼はベッツ家を訪れ、家族が主張するように奇妙な動きをすることを確認「地球外の起源を持つ球体」と結論を下しました。
そしてこの球体はベッツ・ミステリー・スフィア (「ベッツ家の謎の球」 The e Betz mystery sphere) もしくは単にベッツ・スフィア (The Betz Sphere) であったり、オッド・ボール (「奇妙なボール」 Odd Ball) と呼ばれるようになります。
4月の中旬にもなるとその噂はさらにヒートアップし、全国区へと広まっていきます。
この球体に好奇心をもったのは一般人だけでありませんでした、ついにはアメリカ海軍が興味を持ちベッツ家に球体の調査を申し出たのです。
2週間ほどの調査の結果、海軍のスポークスマンはその球体の正体がなんであるかは分からなかったものの、これは地球上で人工的に作られたステンレス製のボールに過ぎず、勝手に動き回るのは球体の表面にできた傷とベッツ家の床の傾きによるもの、と結論を下しました。
その後、UFO研究家、といってもノースウェスタン大学の天文学教授ですが、J. アレン・ハイネック (J. Allen Hynek) 教授も名乗りで、球体の調査をします。
実物を見た教授、そして助手たちも全くこの球体に感銘を受けず、海軍と同様、その正体は分からないものの地球上で作られた人工物、という結論を下し調査を終えます。
これにてベッツ・ミステリー・スフィアの人気も凋落、、、と思いきや、人気は衰えるどころかなぜかますます上がっていきます。
ベッツ家の電話は24時間鳴りっぱなし、ベッツ家にはこの球体を一目見ようと連日人が押し寄せました。
ベッツ家は海軍や教授たちの結論を聞き既に球体に関して失望しており、にもかかわらず連日人に追われる生活に辟易し、発見から1年半ほど経ったある日を境にベッツ・ミステリー・スフィアについて口を閉ざすことに決めました。
その甲斐あって人々の心から球体の関心は急速に薄れ、ベッツ家は今までの静かな日常に戻ることができたといいます。
もともと夫であるアントワーヌ (Antoine) 氏はオカルト信者などではなく海洋生物学者であったため、人工物と海軍が判断した時点でほとんど興味を失っていたようです。
ではこの球体は一体何だったのか?
実はこの球体が発見され40年近くたった2012年になりその正体がほぼ判明したのです。
これはベル・アンド・ハウエル社が製造したボール・チェック・バルブ (Ball check valve) であることが判明したのです。
ではそんなものがなぜベッツ家の近くに落ちていたのか?
これは当時ニューメキシコ州の芸術家ジェームズ・ダーリング・ジョーンズ (James Durling-Jones) 氏が、フォルクスワーゲンの小型バスのルーフにいくつか乗せて運搬中にいくつかを落としており、いくつかを紛失していたことが分かったのです。
(参照サイト)
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