■嘴を持つ哺乳類が現れた!? ~ 大里郡の怪獣 (オオサト・モンスター)
山口敏太郎氏の「日本の未知生物案内」に載っていた「大里郡の怪獣 (Osato monster)」
「都新聞 (みやこしんぶん)」の1899年 (明治32年) 10月11日号に埼玉県大里郡桜沢で謎の生物が捕獲されたという記事が掲載されたといいます。
ちなみに大里郡桜沢 (村) は現在、大里郡寄居町桜沢 (よりいまちさくらざわ) になっています。
都新聞は1889年から1942年まで東京で発刊されていた夕刊紙で現在東京新聞となっています。
新聞によるとその謎の生物を捕獲した人物の名は長嶋安太郎といい、捕獲後に上野動物園に鑑定・飼育を頼むも拒否されたため都新聞に情報を持ち込んだといいます。
その怪物の大きさは子犬程度、全体的に体色は黒っぽく、背中にはトゲ、そしてなによりも不思議なのはアヒルのような嘴 (くちばし) を有していたことです。
かといって決して鳥類ではなくその生物は四肢を持ち、土に潜ろうとする傾向があったといいます。
おそらく土を掘るような仕草をしていたのかもしれません。
なぜ上野動物園が飼育は仕方ないとして鑑定すら拒否したのかは分かりませんがなんて勿体ないことをしたのでしょう。
さてこの生物はなんだったのでしょう?
少なくとも日本にはそのような生物は棲息していません。
世界に目を向けてみましょう。
(カモノハシ)
(image credit: Wikicommons)
「アヒルのような嘴」を持つ鳥類以外の生物といえばカモノハシ (Ornithorhynchus anatinus) が真っ先に思いつきます。
背中のトゲに見えたものは体毛が毛羽立っていたためにそう見えた、と解釈することもできます。
しかしカモノハシの毛は密でとても短く毛羽立っても棘のように見えそうにありません。
そこでカモノハシほど「アヒルのような嘴」っぽくはありませんが、同じ単孔目のハリモグラの仲間を候補に挙げておきます。
(ハリモグラ)
(image credit: Wikicommons)
ハリモグラ (Tachyglossus aculeatus)、もしくはミユビハリモグラ (Zaglossus) は嘴状の長い吻を持ちカモノハシと同様、哺乳類でありながら卵生です。
大里郡の怪獣の正体としてカモノハシより有利な点はハリモグラが陸棲かつ体がトゲで覆われている点です。
ハリモグラはニューギニア、オーストラリアに、ミユビハリモグラはニューギニアにのみ棲息し、日本には現在も過去も存在したことはありません。
仮に大里郡の怪獣の正体がハリモグラだったとして、なんで日本にいるんだ?という大きな疑問が残ります。
そこはまああれです、UMA的にテレポートアニマル (本来の生息地以外で発見される動物のUMA用語) ということにしておきましょうか。
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