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2025年9月11日木曜日

実在する「巨万の富を与えるモノ」 ~ クレブロン


■実在する「巨万の富を与えるモノ」 ~ クレブロン

今回はクレブロン (Culebrón)。

南米チリやアルゼンチン南部の北パタゴニアに伝わる伝承上の生物です。

その姿は簡単に表現すると「毛の生えたヘビ」。

姿については後述するので、まずはクレブロンがどのような存在であるかを見ていきましょう。

クレブロン自体は富を貪 (むさぼ) る悪魔的な存在ですが、逆にその性質からクレブロンを所有する (飼いならす) ことにより、その所有者には巨万の富を引き寄せる魔力が備わるといわれています。

見つけられれば金持ち確定?

確かに。

しかし飼いならすのは簡単なことではありません。

まずは手始めに野生のクレブロンを見つけ出すことから始めましょう。

クレブロンは半水棲かつ夜行性といわれることから、夜間に川や湖を探すと効率が良いかもしれません。

前述した通り、クレブロンは「毛の生えたヘビ」で他のヘビと見分けることは容易です、毛の生えたヘビ、というか爬虫類は存在しませんからね。

しかしここで野生のクレブロンを見つけ出したからといって、ただそれを捕まえ飼いならしたところで巨万の富を得ることはできません。


その野生のクレブロンは巨万の富を得るための魔力をあなたに与えることはありません。

クレブロンから魔力を引き出す方法はただひとつ、見つけ出したクレブロンに用心深く 近寄り、クレブロンの体から3本の毛を引き抜くことです。

ここで注意しなければならないのは、デタラメに3本の毛をむしり取っても意味は無く、クレブロンの体毛で最も長い毛から3番目までのものを抜かないといけません。

かなりの難関ですがそんな簡単にお金持ちにはなれません、これぐらいの努力は惜しまないように。

さて、なんとか長い毛を3本抜くことに成功したら、その毛を牛の乳、つまり牛乳に浸します。

その毛はただのむしられた毛ではありません、牛乳を養分とし、生物として蘇るからです。

すると蘇った3本の毛は争い、最も強い1本の毛が他の2本を食べ尽くすので、あなたはその最強の毛を育てることになります。

牛乳を与え大事に育てると、やがてその毛は蛇のような姿となり、クレブロンへと成長するのです。

そのクレブロンは育てた所有者、つまりあなたのためだけに尽くし、そのクレブロンの所有者にはみるみる富が舞い込みます。

しかしクレブロンが自分のもとを去らないようキープし続けるには鉄の掟があります。

クレブロンを得たら、あなたは毎年動物を殺し、その肉を親戚たちに分け与え、その動物の血をクレブロンだけが知る場所に供えなければなりません。

あなたがもしこの掟を破れば魔力が消失し貧困になるばかりではなく、あなたやあなたの家族の命を失うことになります。

と、これがクレブロンの「取扱説明書」です。

それではクレブロンの姿・特徴をもう少し詳しく見ていきましょう。

クレブロンの体長は2メートルほど、羽毛に似た黒い毛で全身が覆われており、赤くギラギラした目を持ちます。

頭部は大きく、また金色の鬣 (たてがみ) を備えておりその特殊な毛の生え方のせいか、頭部は爬虫類というよりはむしろ哺乳類的で仔牛や仔羊に似ているといいます。

UMAの正体で人気の恐竜生存説よりははるかに敷居は低いですが、毛の生えた爬虫類、というのは、上記の「毛から生命が宿る」という伝承を抜きにしてもかなり厳しい条件です。

まぁ体長2メートルと「UMAにしては」バカでかくないだけに、毛のように見える特殊な体色パターンを持っていたり、トサカ状の突起を持つような新種のヘビなんかが発見されるのを期待するといいかもしれません。

(プエルトリコボアことクレブロン)
(image credit: Wikicommons)

ちなみにプエルトリコに棲息する大柄なボア、プエルトリコボア (Chilabothrus inornatus) の別称はなんとクレブロン。

実はクレブロンて実在するヘビなんです。(クレブロンとは「大蛇」の意)

体長は平均2メートル弱 (最大2.7メートル) と伝承のクレブロンとほぼ同じ、体色は濃い灰褐色でここら辺も共通しています。

但し、似ているのはここまで、プエルトリコボアはプエルトリコ固有種であり、チリやアルゼンチンには生息しておらず目の色も黒、もちろん毛も鬣も生えていません。

実在するクレブロンを飼っても巨万の富が手に入るかは、、、ちょっと、、、分かりません。



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