■一方向へしか進めないヤギ ~ ダフ
今回はダフ (Dahu) です。
以前にサイドヒル・ガウジャー (Sidehill gouger) を紹介しましたが、それとよく似たUMAですが、サイドヒル・ガウジャーはフィアサム・クリッター (五大湖周辺の民間伝承上の生物の総称) の一種ですがダフはヨーロッパ、特にフランス (やスイス) のUMAとして知られます。
もともとフランス語なので「ダユ」と発声するのが原音に近そうです。
サイドヒル・ガウジャーと同様、ダフも左右で前後の脚の長さが異なるヤギに似た生物です。
サイドヒル・ガウジャーと内容は重複しますが、彼らの生息する地域は切り立った断崖絶壁であり、直立するには山腹に接する側の前後肢を折り畳まないといけません。
しかし左右いずれか一方の前後肢が短く進化したことにより、断崖絶壁を歩くのに膝を曲げる必要がなく移動に不自由しません。
右側の前後肢が短いものは時計回りに、左側の前後肢が短いものは反時計回り、いずれか一方にしか進むことができません。
左前後肢が短いものを「ダフ・セネストラス (Dahu senestrus)」右前後肢が短いものを「ダフ・デステラス (Dahu desterus)」と呼び、正直よく分かりませんが、それぞれ「左のダフ」「右のダフ」という意味なんじゃないかなと思います。
(こんなダムの絶壁を登れる哺乳類なんていないよね、、、)
(image credit: YouTube / BBC)
サイドヒル・ガウジャーの場合、この左右一方の前後肢が短い2種存在することにより、この2種が出会ってしまった場合、前進するためにいずれかを崖から落とすまで戦います。
一方、ダフは争わないともいわれています。
というのも、この2種の存在は単なる雌雄の違いとの説があるからです。
その場合、オスは右側の前後肢が、メスは左側の前後肢が短いため、出会うとすればそれは異性であることが確実であり、繁殖相手の出会いとなります。(交尾をどうするのかは分かりませんが)
さてサイドヒル・ガウジャー同様、断崖絶壁での適応が平地では仇となり、地面が平らな場所ではひっくり返ってしまい起きがあることができません。
(えっ!?ダ、ダフ!?)
(image credit: YouTube / BBC)
そのため人間に簡単に狩猟されてしまいます。
ダフを狩るのにライフル等の銃器は必要ありません、2人1組でダフの生息する山岳地帯に大きな袋を持参すればいいだけです。
ひとりは断崖絶壁を登り、もうひとりは大きな袋を持って崖の下で待機。
断崖絶壁に登った方がダフに後ろからそっと近づき不意に口笛を吹けば、ダフは驚き足を踏み外し崖を真っ逆さまに落ちてしまいます。
下で大きな袋を持って待機していた方が落ちてきたダフを袋でキャッチして一丁あがりということです。
サイドヒル・ガウジャーと同様、ダフはマウンテン・ゴートことシロイワヤギ (Oreamnos americanus) が元になっているのは確実でしょう。
ダフは断崖絶壁を膝を曲げることなく移動できる適応を得ることができましたが、平地と進行方向の自由を失うこととなりました。
シロイワヤギは四肢の長さを均一に保ったままダフよりも遥かに傾斜のきつい絶壁を自由に動き回れることを考えると、ダフの進化はどうやらあまりいいものではなかったようです。
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