■ハワイの巨大ダコ ~ ハワイアン・ジャイアント・オクトパス
クラーケンの例を出すまでもなく、巨大な頭足類は古来より海の怪物として知られています。
UMAとしても頭足類系のUMAは少なくありませんが、その中でももっとも有名なもののひとつはバハマのブルーホールに棲息するといわれている巨大ダコ、ルスカでしょう。
ルスカはやや現実離れした大きさをしているものの頭足類が現生で最も巨大な無脊椎動物であることは事実であり、ダイオウイカ (Architeuthis dux) やダイオウホウズキイカ (Mesonychoteuthis hamiltoni) は時折海岸に打ち上げられ、大いに注目を浴びます。
バハマにはルスカともうひとつジャイアント・スカットルなる巨大ダコのUMAがいますが、実は巨大ダコにはもうひとつ有名なものがいます、ハワイアン・ジャイアント・オクトパス (Hawaiian giant octopus) です。
ルスカの体長はとてつもないもので75~200フィート (約23~60メートル) と現実離れしたものですが、ハワイアン・ジャイアント・オクトパスは40フィート (約12メートル) とそこまで逸脱した大きさではありません。(あくまでルスカと比較すると、という意味ではありますが)
頭足類ならではですが、頭足類は腕 (いわゆる足と呼ばれている部分) が長く、腕を広げた時の体長は無脊椎動物として圧倒的で他の追随を許しません。
特に現生最大のタコであるミズダコ (Enteroctopus dofleini) はとてつもなく大きく、成体は3メートルを優に超し、最大記録は31フィート (約9.1メートル) という信じられない記録があります。
さてハワイアン・ジャイアント・オクトパスの話を戻しましょう。
このタコは前述の通り40フィートとミズダコを一回り、二回り大きくした感じではあるものの全くあり得ない大きさではありません。
ではハワイアン・ジャイアント・オクトパスはとてつもなく巨大化したミズダコの特殊な個体だったのか?というと、それは疑問です。
というのも、1度きりの目撃であればその可能性も考えられますが、ハワイアン・ジャイアント・オクトパスの目撃は1928年から始まり1989年まで断続的に起きていたからです。
それはただの巨大化した一匹が何度も目撃されているだけではないか?
そう思う人もいるかもしれませんが、頭足類はその大きさに反し概ね短命であり、ほとんどの種は1年未満、巨大なミズダコですら最長5年前後ではないかと考えられています。
ミズダコよりもさらに大きくなるダイオウイカでもやはり3~6年程度と考えられており、成長力が速いだけで寿命は驚くほど短いのです。
というわけで単一個体が長年にわたり目撃され続けた可能性は低い (但し、未知種の長命の巨大ダコ、という可能性は排除しません) といえます。
さらに、アメリカ海兵隊員、ロバート・トッド・エイケン (Robert Todd Aiken) 氏の目撃談を信じるのであれば、たまたま巨大化した単一個体説は一蹴されます、というのも彼はハワイアン・ジャイアント・オクトパスに何度も遭遇しているだけではなく、彼らの「群れ」を目撃したと証言しているからです。
また、その体色はグレーだったともいわれています。
エイケン氏の目撃証言の信憑性は当時から疑わしく思われていたものの、それを払拭すべく、彼は映画クルーを引き連れ、実際にハワイアン・ジャイアント・オクトパスの死骸と並んで撮影し、その写真も存在します。
しかしこれは時代もお時代で解像度も著しく低く、本物であるかの判断は難しいものでありますが。
1989年のクリスマスイブ、フィリピンのイリガン湾で14人乗りのボートが巨大なタコに襲われ転覆させられましたが、これもハワイアン・ジャイアント・オクトパスと同一の生物ではないかと考えらています。
このボート襲撃事件を最後に、この大ダコの目撃情報は絶えています。
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