■実在した民間伝承の巨大猫 ~ ケラス猫 (ケラスキャット)
イギリスを代表するUMA、エイリアン・ビッグ・キャット (Alien Big Cat)、通称ABC。
イギリスには棲息していないはずの大型のネコ科動物系のUMAで、一般的にはクロヒョウのような姿をしているのが特徴です。
日本でいうテレポート・アニマル (その地域に生息していない既知動物) に当たり、ファントム・キャットとも呼ばれます。
実はABCはイギリスだけでなく、大型ネコ科動物の棲息していない地域で目撃される大型ネコ科動物は全てABCと呼ばれます。
日本で目撃された和歌山のライオンもABCの一種ということになります。
ですが、まあABCはイギリス発祥のUMAに付けられたニックネームですから、一般的にABCと聞けば「イギリスで目撃される大型ネコ科動物」の認識で間違いありません。
今回紹介するケラス猫 (ケラス・キャット, Kellas cat) はスコットランドで古くから目撃されていた非常に大きな黒猫で、本国イギリスですからもちろんABCの一種です。
そのネコはヒツジを殺すほど大きく凶暴だとスコットランドの農夫たちは証言していましたが、そんなの他のUMAと同じ、民間伝承に過ぎない、と当然のようにその存在は否定されてきました。
(ケラス猫の剥製)
(image credit by Wikicommons)
ところが1984年、謎の大きな黒いネコがスコットランド、モレーのケラス村で罠にかかったのです。
そのネコは肩高が38センチ、体長が110センチもある驚くほど大きな猫でした。
これこそが今まで話していたヒツジを殺す大きな猫、ケラス猫だと農夫たちは言いました。(捕獲当時、ケラス猫という名前がまだ付けられていませんでしたが便宜上、ケラス猫という名で話を進めます)
しかし、それでもすんなりケラス猫の存在が認められたわけではありません。
実物が手に入ったのになぜ?
その捕獲されたネコはたまたま一匹だけ大きく育った黒いイエネコ (Felis catus) に過ぎないと専門家は頑なにその存在を否定したからです。
調査した結果、その猫はヨーロッパヤマネコの亜種、スコットランドヤマネコ (Felis silvestris silvestris) とイエネコの雑種であることが判明しました。
そしてたまたま一匹だけ存在したのではなく、その雑種たち同士が繁殖してひとつの個体群を築いていたのです。
但し、あくまで雑種としての扱いなので学名はありません、ケラス猫という名もこの個体群に付けられた識別名みたいなものです。
その後、ケラス猫は何匹も捕えられ、その中での繁殖も確認されました。
人工的に繁殖できるならペットショップで売られていないのはなぜ?と思うかもしれません。
元UMAの猫、きっと欲しがる人も多いに違いありません。
しかし個人で飼うにはちょっと難しそうです。
ヤマネコの血が強過ぎ、飼い猫にするには不向きで、少なくとも野生個体は人間の手にどうにも負えなかったようです。
展示されたかどうかは分かりませんが、一時はケラス猫のオスとメスのつがいがスコットランドの動物園で暫く飼育されていた実績もあります。
ですが、人気はなかったのでしょうか、その後ケラス猫の収集もしていたアマチュア・ナチュラリスト、ディ・フランシス (Di Francis) に氏譲渡されてしまいました。
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