■アイリッシュテリアを丸呑みした水棲獣 ~ ネイ湖の怪物
今回はネイ湖の怪物 (Lough Neagh monster)。
ネイ湖 (Lough Neagh) は北アイルランドにある淡水湖で、アイルランド島最大の湖 (表面積390平方キロメートル) です。
いびつな「星形」をした湖で、スポンジボブに出てくるパトリックのようなシルエットをしています。
(ネイ湖の上空写真)
(image credit: Wikicommons)
イギリスの水棲UMAといえばスコットランドのネッシーに話題を全部もっていかれていますが、ネイ湖はネス湖よりはるかに大きく、実は数多くの水棲UMAの目撃例があります。
その中から有名なものをピックアップしてみていきましょう。
20世紀初頭の1908年、ネイ湖でボートに乗って釣りをしていた男性が、針にかかったブラウントラウト (Salmo trutta) の一種ドーラガン (回遊性ブラウントラウトで大型化する) に銛を打ったところ、どこからともなくボートに向かって一直線に泳いでくる謎の生物がいることに気付きました。
目的は男性の釣ったドーラガン、背びれを水面に出し高速で向かってくるとドーラガンに咬みつき、そのまま奪って姿をくらましました。
この時はあまりその生物について詳しく観察できませんでしたが、その数年後にまたもその怪物が現れます。
今回の遭遇事件は衝撃的なものでした。
「気付くとそいつは船尾にいたんです。
巨大なウナギを思わせる頭部で目は邪悪に光っていました。
そして船をジャイブ (方向転換時に帆を回す動作) したときに同船していたアイリッシュテリアが帆にぶつかり船外に投げ出されたのです。
すると怪物ウナギは丸呑みしてしまったのです。
怪物ウナギの激しい動作にボートは揺れ動き、私はテリア同様に船外に投げ出され同じ道を辿ることを運命だと思い確信しました (しかし運のいいことにそれは起こらなかった)」
(河川型ブラウントラウト/Salmo trutta fario)
(image credit: wikicommons)
これが同一の生物であるかは議論の余地がありますが、時期的にかなり近いこと、大きさやどう猛さという点での共通、一応閉ざされた湖であることから同一であった可能性は高そうです。
アイリッシュテリアが幼犬であったか成犬であったかでもイメージは大きく変わりますが、仮に成犬であればアイリッシュテリアはそれなりに大きな中型犬であり、丸呑みしてしまうとはとてつもない大きさをしていたことが示唆されます。
さてこの生物はいったい何だったのか?
UMAファンであれば北アイルランドやアイルランドではウマウナギと総称される巨大なウナギに似た水棲UMAが数多く目撃されていることはご存じでしょう。
こういったことからもネイ湖の怪物はウマウナギ系のUMAと同一であった可能性があります。
実際、ネイ湖はヨーロッパウナギの漁獲が多いことでも知られ、その中のとてつもなく巨大に成長した個体である可能性はあります。
また、在来種でもなく移入の記録もないようですが、最大3メートルともいわれるヨーロッパオオナマズ (Silurus glanis) ことウェルズの大型個体も候補に付け加えておきましょうか。
飼っていたものが遺棄されたりし、ライバルのいない環境で大型化が促進したのかもしれません。
とはいえ、この湖はとても大きいことから多くの魚類が棲息していることでも知られ、先に挙げたドーラガンをはじめ、大型のブラウントラウトの仲間、ギラルー (Salmo stomachicus)、ソーナゲン (Salmo nigripinnis)、フェロックス (Salmo ferox) の大型個体を誇張化されて伝わった、というのが一番真実に近いのかもしれません。
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