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2025年6月24日火曜日

セントヘレナで目撃された謎の海牛 ~ セントヘレナのマナティー


■セントヘレナで目撃された謎の海牛 ~ セントヘレナのマナティー

さて今回はセントヘレナ・マナティー (St. Helena Manatee)。

セントヘレナとは日本ではナポレオンの流刑地として知られる、あのセントヘレナです。
セントヘレナはイギリス領でアフリカ大陸西部から1800キロ以上も離れた南大西洋に浮かぶ孤島です。

UMA的にはそれほど注目を集める島ではありませんが、付近でシーサーペントが目撃されたり、つい最近絶滅してしまった超巨大なハサミムシ、セントヘレナオオハサミムシ (Labidura herculeana) なんかが棲息していたと、当ブログにもたま~に登場してますね。

(セントヘレナオオハサミムシの貴重な標本)
(image credit by Roger S. Key/Wikimedia)

そんな中、今回紹介するセントヘレナマナティーは、正真正銘、セントヘレナのUMAといえます。

現在、マナティーは南北アメリカ大陸とアフリカ大陸にのみ生息しており、南アメリカ棲息するのものがアマゾンマナティー (Trichechus inunguis)、北アメリカに棲息するのがアメリカマナティー (Trichechus manatus)、アフリカ大陸に棲息するのがアフリカマナティー (Trichechus senegalensis) です。

そんな状況で縁もゆかりもないセントヘレナでマナティーの目撃があります。

セントヘレナで目撃されたのはアフリカマナティーでは?と思うかもしれませんが、前述したとおり1800キロメートルも海で隔たれており、さらにその特徴を聞けば既存のマナティーでないことは確実です。

その特徴とは、なんと海牛類でありながらアザラシ等の鰭足類のように海岸に上陸することができというのです。

まずこのUMAをジュゴンではなくマナティーと識別している点に注目です。

ジュゴンは完全に海棲であり、マナティーは基本は淡水の河川にいますが河口付近の海でも見られます。

とはいえ、セントヘレナの沿岸で目撃されたことから、素人考えではジュゴンの方が確率が高そうな気もします。

つまりはセントヘレナ・マナティーではなくセントヘレナ・ジュゴンでは?という疑問です

しかし、ジュゴンとマナティーは大きな違いがあり、尾鰭が切れ目の入った三角状であるのに対しマナティーはうちわのようにまあるい形状です。

ジュゴンではなくマナティーと呼ばれる以上、尾の形状がうちわのように丸みを帯びていたのではないかという気がします。

通説ではこのセントヘレナ・マナティーはミナミゾウアザラシ (Mirounga leonina) を誤認したものと考えられています。

(ミナミゾウアザラシ)
(image credit by Wikicommons)

それは歴史上、たった2度しか目撃されていないこと、また、過去にミナミゾウアザラシがセントヘレナに大挙して押し寄せ繁殖を行っていたことが確認されているからです。

まあふつうに考えればその可能性は大です。

ミナミゾウアザラシは巨体であり、実際、鰭脚類最大で体長は4メートル超、通常の小柄なアザラシしか見ていない人にとってはとても鰭脚類の大きさとは思えず、ジュゴンやマナティーのような海牛類に見えたかもしれません。

しかし一縷の望みにかけてみましょう。

前述の尾鰭の形です。

セントヘレナ・ジュゴンと呼ばれているのであれば、その尾鰭の形状はアザラシに近いですしその説も快く受け入れましょう。

しかし、マナティーの尾鰭はアザラシとは全く異なり、もちろんミナミゾウアザラシも例外ではありません。

ということで、切れそうなほどに細く頼りない線ですが、この尾の形状をもってセントヘレナ・マナティーはミナミゾウアザラシを含め既知のアザラシの誤認ではない (かもしれない)、と考えてみるのも悪くないじゃないですか。







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