■ザンビアの水棲モンスター ~ イトシ
今回はアフリカ、ザンビア共和国のUMA、イトシ (Itoshi)。
イトシはイラ族に伝わる伝説的な水棲モンスターで、クラシックな首長竜タイプのUMAです。
イトシが潜むのはザンビア最大・最長の河川、カフエ川 (Kafue River)。
人口2000万人のザンビアの半数以上がカフエ川流域に住んでいるといわれており、ザンビアにとってこの川がいかに重要であるかが分かります。
イトシの体長は30~50フィート (約9~15メートル)、ヘビのような長い首、カバのような体、魚のような鰭を持っているといわれ、その姿はクラシックな首長竜 (プレシオサウルス) タイプと考えられています。
但し、これは本来のイラ族に伝わるイトシの姿でなく、ヨーロッパの人々によってその姿を変えられた可能性もあります
というのもイラ族の描いたイトシの絵は一言で表現すると「ヒレの生えた大蛇」であり、決して首長竜ではないからです。
イラ族の亡くなった人々はカフエ川で水葬とされ、彼らは爬虫類の姿に生まれ変わるといい、特に酋長はイトシとして生まれ変わるものと信じられています。
(カフエ川とナイルワニ)
(image credit: Wikicommons)
プレシオサウルスにしてもヒレの生えた大蛇にしてもUMAであることには変わりありませんが、イラ族の語るイトシは実在する (もしくは、実在した) ものなのか、それとも単にイマジネーションによる産物なのでしょうか。
これはどちらとも言えるようです。
イラ族の概念にバプカ (bapuka) なるものが存在します。
バプカの概念は捉えづらく、人間 (少なくともイラ族) はみなバプカという目に見えないほどの微小なヘビが女性の子宮内で絡み合って誕生するものと信じられています。
ここではいわゆる精子と卵子というものがひとつのバプカというものに置き換えられているように感じます。
ではバプカは精子であり卵子である、考えればいいのか、というとそんな単純な話ではないようです。
バプカは超自然的な存在、精霊 (スピリット) だともいいます。
それは彼らが先祖の霊 (スピリット) をミズヒモ (mizhimo) や ブサングシ (busangusi) と呼びますが、それらとは異なる自然界に元来存在するスピリットのようです。
そしてバプカには「昆虫」や「爬虫類」といった見慣れたものから、すべての生きとし生けるものも含まれるといいます。
つまりバプカとは、既知の目に見える動物たちはもとより精子・卵子のような生命の根源的なもの、そしてかつて存在し絶滅したものや人々のイマジネーションによる創造物、それらを全て含んでいるといえます。
但し、詳しくは分かりませんが生物 (らしきもの) ならなんでも含むのか?というとそうでもないようで、抽象的な表現になるものの「素晴らしい存在」でなければならないようです。
おそらくバプカは人間にとって良いもの・悪いものではなく「自然の驚異」を感じさせるものに違いありません。
そしてUMAのイトシはバプカの代表的なもののひとつに数えられており、上記のような言葉の定義上、実在する生物かもしれないし、そうでないかもしれないのです。
但し、イトシが「素晴らしい存在」であることだけは間違いなさそうです。
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