■フランスの鳥獣 ~ バード・ビースト・オブ・ヴァール
今回はバード・ビースト・オブ・ヴァール (Bird Beast of Var)。
UMAとUFO事件がミックスされた特異な目撃事件です。
1962年11月、フランス南島の地中海に面したプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏にあるヴァールで匿名のS氏によってそれは目撃されました。
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「1962年11月のある夕方のことです、わたしはヴァールの小さな県道を走っていました。
その日は土砂降りでとても暗くヘッドライトを点灯して運転していました。
カーブを曲がった時、80メートルほど先の道路の中央にたくさんの人影が見えました。
わたしは速度を落としてその群衆の方へ近づいていくと、群衆は二つに分かれました。
車の窓を開けて運転していたので、何事だろうとわたしは頭を傾け窓から群衆をよく見てみようとしたその時です、鳥の頭を持ち羽毛に覆われた奇妙な生物が二手に分かれわたしの車に向かって突進してきたのです。
わたしは恐怖に駆られ、急いで窓を閉め死に物狂いでその群衆の間を突き抜けました。
彼らを完全に振り切ったと思い、集団から150メートルぐらい過ぎたところでわたしは車を停めました。
後ろを振り向くと、あの悪夢のような怪物たちは道路の反対側に浮かぶ青色に光る物体に向かって飛び立っていくのが見えました。
その物体は二枚の皿を逆さまにして重ねたような形状でした。
鳥人間たちがUFOに近付くと、吸い込まれるようにUFOの下部へと消えていきました。
全て収容するとガチャ!という鈍い音が聞こえ、物体は驚異的なスピードで飛び去って行きました」
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いかがですか?
前半はUMA系、特にラプトルのような小型獣脚類の群れを彷彿とさせますが、急転直下、後半はUFOと異星人 (もしくはエイリアン・アニマル) の話になっています。
実際、この事件はUMAとしてではなく、1955年創刊のイギリスのUFO機関紙「フライング・ソーサー・レビュー」誌に、目撃から6年後の1968年に掲載されました。
とはいえ、これはUFOに鳥たちが吸い込まれる、、、といったくだりを除けばUMA目撃事件としても扱えそうです。
土砂降りの夜道であり、いくらヘッドライト全開で走っていたといっても、それほど詳細に生物やUFOを確認できたとは考えにくいところです。
土砂降りなのに窓を開けて運転していたりとか恐怖に駆られたといいながら怪物たちから僅か150メートル程度過ぎたあたりで車を停め観察していたとか、どうも証言内容に腑に落ちない点があります。
それでは既知の鳥類の誤認はあり得るでしょうか?
正直、この事件を既知の生物に関連付け (既知生物の誤認) するのは難しいですが、仮に怪物たちの正体が鳥類だった場合、離れていたとはいえ、人影と一旦は誤認したことからそこそこ大きな鳥だった可能性は高そうです。
「目撃者の車を襲撃しようとした大きな鳥」であることから猛禽類が頭に浮かびますが、通常猛禽類は群れを成しません。
猛禽としてはハリスホーク (Parabuteo unicinctus) が数羽の群れを形成する程度です。
残念ながらハリスホークは南北アメリカ大陸にのみ棲息しており、バード・ビースト・オブ・ヴァールの正体としては少々厳しいかもしれません。
ヨーロッパの大柄な鳥類にはノガン (Otis tarda) や猛禽類としてクロハゲワシ (Aegypius monachus) やオジロワシ (Haliaeetus albicilla) なんかがいます。
とはいえ、いずれであっても「土砂降りの夜道」にたむろしているとは考えにくいですが、、、
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こいつはからす天狗に違いあるまい。
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