■1990年代、島国を恐怖のどん底に陥れた悪霊 ~ ポポバワ
東アフリカ、タンザニア連合共和国に属するペンバ島 (Pemba)。
ザンジバル諸島で2番目に大きな島で面積は日本の都道府県で一番小さな香川県の半分ほどです。
この島にはポポバワ (Popobawa) と呼ばれるコウモリに似た奇妙な生物が棲んでいるといいます。
「ポポバワ」という単語自体はスワヒリ語で「コウモリの翼」といった意味を持つといわれており、「基本的」にはその名の通りコウモリ系のUMAです。
しかしこの「コウモリの翼」という意味はその生物の姿の特徴というよりは、むしろこの生物が「コウモリのように夜行性」であることに由来しているといわれています。
オオコウモリ的な存在ですが、大きく鋭いかぎ爪を持つことや目が顔の中央に一つしかないといったオオコウモリとは異なる特異な姿をしています。
暗闇でその姿が見えなくても存在が分かるほどの強い硫黄のような刺激臭を放ち、非常に暴力的な性質であることから島の住民たちからとてつもなく怖れられている存在です。
また「基本的」にコウモリ系と断ったのは、ポポバワはUMAということを差し引いてもかなりパラノーマル色が強く、いわゆる自在に姿を変えられる能力、シェイプシフターと考えられているからです。
ここから先はUMAの範疇を超えてしまいますが一応紹介すると、ポポバワは動物はもとより人間にも姿を変えられるといいます。
人間を襲う時間は決まっていないものの前述の通り活動時間は夜間が多く、しかも家に直接訪れ大人・子供の見境なく暴力的、特に成人男女に対しては性的暴力を加えると本気で信じられており1990年代以降、島民から発生したポポバワに対する集団ヒステリーはザンジバル諸島最大のウングジャ島 (Unguja)、更には本国にまで飛び火しました。
こうなってくると島民たちはポポバワをシェイプシフターと位置付けているものの、実は実在する人間の性犯罪者をポポバワと位置付けているのではないか?という疑念を持つ人も多いかもしれません。
自分はそう思いましたので。
しかしどうやらそうではなかったようで一安心です、というのもこれだけの騒ぎになったにも関わらずポポバワに実際に襲われたと主張し病院に訪れた人はひとりもいなかったとザンジバル諸島の医療チームが語っていたからです。
こういった事実を考えあわせ、島民の多くは悪魔祓い等、迷信的な考えが根強く残っており、集団ヒステリーや睡眠時の金縛りによる幻覚等がポポバワ騒動を引き起こし、大きくしていったという説が有力視されています。
但し、1990年代の諸島や本国を巻き込む大規模な騒動は無くなったものの現在でもポポバワの目撃は散見されており、恐怖は完全には去っていないようです。
(ペンバオオコウモリ)
(image credit by Wikicommons)
集団ヒステリーと決めつけるのは良くありませんので、一応候補、もしくは元になった生物を挙げるとすればペンバオオコウモリ (Pteropus voeltzkowi) でしょう。
ペンバ島の固有種で最大翼開長は1.6メートル超と巨大、典型的なフルーツバットで人間を襲うことはありません。
1990年代、島民が食料として狩り過ぎて数百羽まで激減し絶滅寸前まで行きましたが現在狩猟は禁止されており回復傾向にあります。
このことから食卓に上ることも多かったのは確かで、ペンパオオコウモリのことを島民が知らないわけもなくポポバワの正体そのものではないでしょう、しかしその巨大さはポポバワのようなUMAを創造させるに十分であったと推測します。
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