■海棲版ネッシー ~ モーゴウル (モーガウル)
今回はモーゴウル / モーガウル (Morgawr)。
日本のUMA本では定番中の定番ですが、日本のUMAファンであればその写真も見慣れたものでしょうが、なぜか海外ではそれほど高い知名度を持っているわけではありません。
コーンウォール語に由来するこの "Morgawr" という単語は日本語ではモーゴウル / モーガウルいずれに近いのか、それとも全然違うのかはちょっと分かりません。
UMA本では「モーゴウル」の方が一般的なので、こちらで話を進めていきます。
いずれにしてもこの単語はコーンウォール語で「海の巨人 (海の巨大生物)」を意味するようです。
イングランド、コーンウォール州のファルマス湾 (Falmouth Bay) 目撃される海棲UMAで、その記録は19世紀末からあるといいます。
といっても基本的に閉ざされた湖と異なり、いかなる生物も自由に出入りが可能である湾であることから大きく3つのタイプの目撃があります。
典型的なシーモンスターは細長い体型のシーサーペントタイプが主流、続いて絶滅巨大爬虫類モササウルスであるとかプレシオサウルス (or モササウルス) タイプであることが多いです。
モーゴウルはまずクロコダイルタイプのものが多いといい、上記に当てはめればモササウルスが近い方でしょうか。
2つ目のタイプはアシカやオットセイといった鰭脚類 (ききゃくるい) タイプ。
イングランドには少なくともゼニガタアザラシ (Phoca vitulina) やハイイロアザラシ (Halichoerus grypus) の生息が確認されているため、とんでもなく首が長いとか、とんでもなく体が大きい、といった特徴が無ければその正体は既知の鰭脚類である可能性が高いと言えます。
そして問題は3つ目の旧ネッシータイプ。
かつてディプロドクス (Diplodocus) やブラキオサウルス (Brachiosaurus) といった巨大な獣脚類は陸上ではその体重を持て余し、水棲・半水棲であるとかんがえられていたことから古いネッシー写真は「竜脚類」もしくは「竜脚類+首長竜」といったシルエットをしているものも少なくありませんでした。
(メアリー・Fが投稿した写真)
(UMAファンにはおなじみの写真ですね)
そして1876年、ファルマス・パケット紙にメアリー・Fと名乗る (匿名) 人物から2枚の「モーゴウル」の写真が送られてきました。
この写真こそ日本のUMA本でよく目にするものです。
どういう状況で体が浮いているのか分かりませんが、長い首と巨大な体水上に出ており、現在の復元とはかなり異なるものの首長竜というよりは竜脚類に近い体型と言えます (もしくは竜脚類+首長竜)。
これは竜脚類がまだ完全な地上棲とは考えられていなかったクラシックな学説の名残であり、そのセオリーに即して撮影されたと考えるのが妥当であり、フェイクの可能性が著しく高いと考えられます。
この写真は当時、写真家から「本物」のお墨付きをいただいた写真ですが、「本物」の意味は「加工していない」の意味であり、その中の生物が本物の生物であるという意味ではありません。
そしてこの匿名写真はアーティストでありマジシャン、超能力者、そして詐欺師であり、有名な多くのUMAの目撃や写真撮影に関わっているトニー・"ドク"・シールズ (Tony "Doc" Shiels) 氏によるものとほぼ断定されています。
(このネッシーの写真も仕掛け人はシールズ氏といわれています)
彼は基本的に表立ってUMAの目撃を吹聴することはなく人を使って裏で手を引く天才的な詐欺師であり、有名なネッシーの写真であったりフクロウ男 (オウルマン) の目撃の拡散等にも噛んでいます。
基本はアーティストと名乗っており、そういった写真やUMAの目撃を捏造するのもアートの一環だったのかもしれません。
というわけで最も有名なモーゴウルの写真は著しくフェイクである可能性が高いですが、それ以前はクロコダイルタイプ、鰭脚類タイプであり、正統派としてはそちらのタイプをモーゴウルとして認識したほうがよさそうです。
(関連記事)
0 件のコメント:
コメントを投稿