■ロバの頭を持つ巨大なオオカミ ~ リュートウラン
今回は珍しく中国からリュートウラン (Lütoulang)。
中国語で「驢頭狼」と書き字面からも分かる通り「ロバの頭を持つオオカミ」の意で、まさにそのようなUMAです。
似たようなタイプにアメリカのUMA、フッチコ・チョプコ がいます。
リュートウランは1960年代、湖北省 (こほくしょう)、安徽省 (あんきしょう)、河南省 (かなんしょう) の3つの州に跨る広い範囲で目撃されたUMAで体の大きさはロバほどもあり頭部もロバに似ます。
しかし四肢には鋭いかぎ爪を持ち、獰猛な肉食獣であり決してロバではありません。
実際、人間を恐れぬ大胆な行動で知られ、家畜や人間の子供すら襲うといいます。
鳴き声はロバのようだともオオカミのようだともいわれます。
さてこのリュートウランの正体は?
最も可能性が高いのはやはりオオカミでしょう。
ロシアやモンゴルと接する中国北方ではハイイロオオカミの亜種、チベットオオカミ (もしくはモンゴルオオカミ, Canis lupus chanco) が棲息しており、メインの生息域からやや外れた湖北省、安徽省、河南省に見慣れぬオオカミが出没したことでUMA騒ぎになった可能性は考えられます。
ただ上記の州にも棲息は確認されているため、オオカミはそこまでレアな動物ではありません。
チベットオオカミの飛び抜けて大きな個体であるとか、毛色が少し特異で特徴的な個体であったとか、そういった可能性もあります。
但し、これについてもリュートウランが群れでの目撃もあることから、ただ一個体だけが存在した突然変異説も当てはまらないかもしれません。
その場合はハイイロオオカミの知られていない大型の個体群かもしれません。
こんなありきたりな正体説ではつまらない!という方にも満足できる絶滅系の候補がいくつか挙げられています。
(ヒアエノドン・ギガス)
(image credit: Wikicommons)
ひとつが知名度も高いヒアエノドン (ハイエノドン, Hyaenodon)。
現代のオオカミにやや似るものの吻部 (鼻先) が長大なことでリュートウランのロバ的な容姿に合致するかもしれません。
ヒアエノドンのほとんどの種はそれほど大きくはありませんがヒアエノドン・ギガス (Hyaenodon gigas) は体長3メートル、体重380キロ、そして頭骨が50センチもあることからリュートウランの候補としてはうってつけでしょう
他にもアジアにも棲息したライオンクラスの大型のハイエナ、パキクロクタ (Pachycrocuta) やディノクロクタ (Dinocrocuta) が候補に挙がります。
大きさ的には十分ですがこの両者は吻部が短いのが特徴でありリュートウランの容姿とは少々異なります。
(アンドリューサルクス)
「史上最大の陸生肉食獣」の異名を持つアンドリューサルクス (Andrewsarchus) も悪くありません。
体長4メートル弱、体高2メートル弱、体重450キロ、長大な頭骨は驚愕の80センチオーバー (83センチ) です。
ロバに似るかと言ったら似ていませんが長い頭部と獰猛な性質はリュートウランを彷彿とさせます。
一方、本国中国ではカリコテリウム (Chalicotherium) を推しているようですがウマ的な頭部を持つものの草食性でありちょっと候補としては弱いかな。
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