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2024年12月23日月曜日

タンタノーラの奇妙な物語 ~ タンタノーラ・タイガー


■タンタノーラの奇妙な物語 ~ タンタノーラ・タイガー

タンタノーラ・タイガー (Tantanoola tiger)。

19世紀末から20世紀初頭にかけて、オーストラリア、タンタノーラを騒がせた謎の生物です。

家畜を殺す獰猛な野獣の噂はあったものの初めて目撃されたのは1892年12月、ウォルター・テイラー (Walter Taylor) なる人物とその妻によるものです。

体に縞のある体長1.5メートルほどのトラのよな生物が彼らの乗る馬車の前を横切ったのです。

この生物はタンタノーラ・タイガーと名付けられ全国紙に掲載されたため、地元はもちろん、過剰なほどにタンタノーラ・タイガー狩りが横行しました。

しかし怪物を追い詰めようにもその成果は上がりませんでした、家畜の惨殺は続くもののタンタノーラ・タイガーは姿を見せないのです。

新聞に掲載されて10ヶ月ほど全くといっていいほど手掛かりは掴めませんでしたが、1893年9月、農夫のウィリアム・ジョーンズ (William Johns) 氏は16センチもある大きな足跡を発見し警察に通報しました。

警察はその足跡を石膏で型を取り動物学者に鑑定を依頼すると、それはおそらくトラではなくイヌ科に属する生物という鑑定結果が出ました。

しかし意外なことが起こります。

足跡が見つかった翌月、タンタノーラ・タイガーがケニー・マシソン (Kenny Mathison) なる人物によって毒殺されたのです。

彼は家畜の死骸にリンを塗り込んでは放置し、虎視眈々とその機会を狙っていたのです。

しかし毒殺された生物は推測されていた大型のイヌでもなければトラでもない予想外のものでした。

毒を塗られた家畜の死骸の近くに倒れていたのは、体長2.7メートル、牙が20センチ以上もある巨大なイノシシだったのです。

オーストラリアにイノシシは棲息していませんので、おそらく家畜が逃げ出し野生化・先祖返りしたものでしょう。

警察もおそらくこのイノシシが犯人だったのだろうと結論付け、これにてタンタノーラ・タイガー騒ぎは一旦収束、タンタノーラに静寂が戻りました。

しかし、それは1年ももちませんでした。

1894年8月にまたもトラのような縞を持った生物が目撃されたのです。

目撃したのは17歳の少年、ドナルド・スミス (Donald Smith) 氏で、彼によればタンタノーラ・タイガーの体長は1.3メートルほどでした。

これを皮切りにタンタノーラ・タイガーの目撃は再燃、しかし相変わらずその生物は捉えどころがなく捕まることはありませんでした。

しかし射撃の名手、トーマス・ドノバン (Thomas Donovan) 氏がこの騒ぎに終止符を打つことになります。

ドノバン氏はパートナーのウィリアム・テイラー (William Taylor) 氏と共にタンタノーラ・タイガーの目撃が集中しているマウント・ソルトに乗り込み、本格的なタンタノーラ・タイガー狩りを敢行します。

1895年8月、彼らは夜明けから捜索を開始、するとヒツジの群れを襲う一匹の獣を目撃します。

距離にして80メートル、ドノバン氏はライフルでタンタノーラ・タイガーを撃つと見ごとに命中。

しかし驚いたことにタンタノーラ・タイガーは倒れるどころか全速力逃げ出したのです、命中したと思ったのは勘違いだったのでしょうか。

あわてて二人はあとを追うと、獣は突然もんどりうって横転し動かなくなりました、ライフルの弾は当たっていたのです。

獣は噂のようなトラのような姿ではなく大きなイヌのようでした。

もともと移民が来る前のオーストラリアには有袋類以外の哺乳類はコウモリと野犬のディンゴのみ、しかしそれはディンゴでは決してなく、それよりも遥かに大きいものでした。

測ってみると体長は1.5メートル、肩高は91センチ、吻が長く頭部は25センチもありました。

ドノバン氏は剥製師に頼みタンタノーラ・タイガーを剥製にすると故郷のネルソンの動物園で展示しました。

それほど綿密に調査もされませんでしたが、結局ドノバン氏の撃ったタンタノーラ・タイガーは動物園から逃げ出したヨーロッパオオカミ (Canis lupus lupus)、もしくはそれと野犬やディンゴとの雑種等ではないかといわれています。

しかし目撃証言のような体に縞のある生物ではなかったため、それをタンタノーラ・タイガーと認めない人も多く、実際その後もタンタノーラ・タイガーの目撃は続いていたようです。

もともと「タイガー」のニックネームはその体の縞模様に由来しており、ドノバン氏が撃った生物とはまた別な生物が存在していた可能性が高いような気がします。

20世紀に入ると目撃情報は先細りとなり、そのまま絶えてしまったことを考えるとただの一匹だけ、特異な毛色パターンを持った大型の野犬が存在したのかもしれません。

(参照サイト)









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