■ただの神話上の生き物ではない ~ アウィツォトル
今回はアウィツォトル (Ahuitzotl)。
アウィツォトルはアステカ第8代のトラトアニ (統治者) の名ですが、UMAのアウィツォトルも同じルーツでアステカ、マヤの神話に登場します。
神話上のアウィツォトルは耳の小さな子犬に似た外見をしており尾の先端に「手」を持つのが大きな特徴です。
水辺を好みその黒く滑らかで光沢のある毛皮は防水性に優れ湖や河川に身を潜めるのに役立ちます。
アウィツォトル邪悪かつ狡猾な存在であり、人間の幼い子や女性が助けを求め泣き叫ぶ声を真似ることができます。
それは人間をおびき出すため。
声を聞きつけ救助へ向かうも泣き声の主はどこにも見当たりません。
しかも惹きつけられたその場所は川岸か湖岸、それ以上前に進むことはできません。
さっきまで聞こえていた泣き叫ぶ声は止み静寂が訪れます、鳴き声の主は溺れて水中に没してしまったのでしょうか?
と、突如水しぶきが上がりアウィツォトルが目の前に現れます。
逃げようとするも時すでに遅し、アウィツォトルはその長い尾の先端についた「手」で犠牲者を捕らえると首を絞めて殺します。
再び静寂が訪れ、アウィツォトルが人間を貪り喰う不気味な音だけが闇の中にこだまします。
さていかがでしょう?
いるわけないやん、と思うでしょうが、まあ確かにこの神話通りだとしたら実在はほぼ不可能です。
特に尻尾の先についている「手」は、実在する生物と考えるにはあまりに厳しすぎる特徴です。
しかし、アステカ帝国を征服したエルナン・コルテスもアウィツォトルにより部下を失った、といっているように何らかの実在する、もしくは実在した動物を指している可能性は高のです。
毛皮の特徴、そして水棲であることを考慮するとほぼカワウソ一択、南米であればオオカワウソ (Pteronura brasiliensis) の可能性が高そうです。(南米にはカワウソも棲息しています)
(オオカワウソ)
オオカワウソは体長1.2メートル、尾を含めると1.8メートルを超し体重も34キロに達します。
非公式記録ですが2.4メートルなんて個体の例もあります。
社会性を営み、最大20頭のグループで生活をし、狩りも共同で行うことがあります。
ではオオカワウソが人間を襲うなんてことがあるのか?と疑問に思うでしょうが、確かにレアケースですが実はあります。
1977年、ブラジルの首都、ブラジリアで成人男性がオオカワウソに襲われ死亡しています。
死亡事故までいかなくてもオオカワウソの襲撃による事故自体は散見されますから、コルテスの部下がアウィツォトルによって殺された、というのもオオカワウソであった可能性は否定できないでそう。
(関連記事)
0 件のコメント:
コメントを投稿