■コロンブスが発見した爬虫類 ~ コロンブス・サーペント
かつては新大陸を発見した人物として欧米だけではなく日本においても英雄視されていたクリストファー・コロンブスですが、現在ではその評価も一変、先住民族に対する虐殺を繰り返した侵略者としての側面がクローズアップされるようになり、すっかり名声は地に落ちてしまった感じです。
そもそも新大陸発見もなにも既に先住民族が住んで独自の文化を築いていた土地ですから、西洋目線でこれを「発見」と謳うこと自体無理がありました。
先住民族目線であればコロンブスは侵略者以外の何物でもないわけで現在のコロンブスの評価は致し方ないでしょう。
さてコロンブスが新大陸を発見した人物とみなすかどうかは評価が分かれるとして、彼はとあるUMAを「発見」しています。
そのUMAとはコロンブス・サーペント (Columbus's Serpent) です。
それはコロンブスが後にイサベラ島と名付けることになるバハマ諸島の島に上陸したときのことです。
1492年10月21日、コロンブスの日記にこう記されています。
「、、、こうしていくつかの湖のひとつを散策しているときにヘビに遭遇したのです。
我々はその蛇を殺し、その皮を陛下にお持ちしました。
その生物は我々を見ると湖へと逃げて行きました。
幸い湖はそれほど深くなかったので、我々はその跡を追って湖へと足を踏み入れ槍で突き刺し仕留めました。
体長は7パーム (約147センチ)、おそらく同種のヘビは他の湖にもたくさんいるに違いありません」
コロンブスたちはその生物を仕留めた後に皮を剥いだようですが残念ながらその皮が残っておらず謎となっています。
そして歴史学者たちはその生物を長い間ヘビではなく巨大なイグアナと考えていました。
しかしイサベラ島では現在も過去もイグアナが棲息していた痕跡はなく、また水中に逃げるという行動もイグアナらしからぬものであり動物学者たちはこのアイデアに納得していませんでした。
ここで大事なのがコロンブスの単語の使い方で、コロンブスはトカゲを「ラガルトス (lagartos)」、ヘビを「クレブラ (culebra)」と呼び、湖で殺した謎の生物を「シエルペ (sierpe)」と呼び分けています。
純粋なヘビであればクレブラという単語を使ったはずですから、どうやらヘビそのものではなかったようです。
シエルぺはサーペント (serpent) と同じ意味ですが、当時シエルぺ (サーペント) は現在のようにヘビだけを指す単語ではなく大型爬虫類全般を指す単語だったといいます。
水中に入る大型の爬虫類といえばワニ、オオトカゲ、ヘビ、とこれまた絞り込めませんが、オオトカゲならラガルトス、ヘビであればクレブラという単語を使ったはず、それならワニの可能性が高いのでは?
(正体はアメリカワニ? / Crocodylus acutus)
(image credit by Wikicommons)
しかしイサベラ島にはイグアナ同様、現在もそして過去もワニが棲息していた痕跡が見つかっていなかったためコロンブス・サーペントの候補から外れていました。
しかし1987年、バハマ諸島のひとつであるクルックド島でワニ (クロコダイル) の大腿骨と歯が発見されたことにより、かつてバハマ諸島にワニが棲息していたことが分かったのです。
発見された大腿骨の長さは8.5センチほどで推定体長は150センチほど、大きさ的にもコロンブス・サーペントと一致します。
あくまで可能性にすぎませんが、コロンブスの選んだ単語の使い方、そしてバハマ諸島でのワニの骨の発見により、コロンブス・サーペントはその名に反しクロコダイルを指していたかもしれません。
(参照サイト)
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