■洞窟に潜む巨大なウシ ~ ホラアナウシ (ケイヴ・カウ)
絶滅種にホラアナグマ (Ursus spelaeus) やホラアナライオン (Panthera spelaea) という和名の生物がいます。
いずれの和名もそれぞれ英名の "Cave bear"、"Cave lion" を直訳したものです。
今回紹介するのは "Cave cow (ケイヴ・カウ)"、上記の和名の命名法に倣 (なら) えば「ホラアナウシ」になります。
しかし今ここで古生物ファンでも首をかしげていることでしょう?
「そんなやつ聞いたことがない、新種か?」
聞いたことが無いのは仕方のないことです、なにせUMAですから。
それではホラアナウシの話に入りましょう。
ホラアナウシは中央アメリカ、ベリーズで目撃されるUMAで、その名に反し「牛ではない」と思われます。
いわば「洞窟に住む牛ほどもある大きな生物」という意味で命名されたようです。
元々はマヤに伝わる巨大なトカゲに似た怪物のようですが、実在する生物として西側諸国の耳に届いたのは20世紀末、アイルランド生まれのアマチュア考古学者トーマス・ガン (Thomas Gann) 氏によってです。
ガン氏はベリーズに住みマヤ文明の遺跡発掘にその人生の多くの時間を費やしていた人物ですが、実は初めにホラアナウシを目撃したのは彼本人ではなくフランス人博物学者フランソワ・ブランカノー (François Blancaneaux) 氏とその召使、ジョー氏です。
ガン氏はブランカノー氏からホラアナウシの話を聞き、それをを西側へもたらしました。
その話はこうです。
19世紀末、ブランカノー氏とその召使、ジョー氏がベリーズ西部のカヨ (El Cayo) 近郊のサバンナを探索していた時のことです。
とても天気が良くのどかな日、少し開けたサバンナで休息を取っていると、突如ジョー氏の苦痛の悲鳴が響き渡りました。
ブランカノー氏は慌てて悲鳴のする方へ向かうと、そこにはジョー氏を巨大な爪で襲う怪物の姿がありました。
ジョー氏はすでに瀕死の状態、怪物は藪の中へと姿をくらましたといいます。
致命傷を負ったことでジョー氏は間もなくこと切れてしまいました。
ブランカノー氏は丸一日かけてその足跡を辿ると洞窟へと行きつきました。
おそらくここが怪物の住処。
しかしジョー氏を殺した怪物であり、これ以上単独で怪物を深追いするのは危険とこの場は場所を突き止めただけで町へ戻ることにしました。
後日準備を整え援軍と共にこの洞窟へ訪れた方が安全と考えたためです。
しかし探索隊を組んで再びこの洞窟を目指しましたが、結局洞窟を見つけることはできなかったといいます。
ガン氏が直接目撃した例もあるといいます。
1932年、ガン氏とその一行はメキシコとベリーズの国境に跨るアズール川 (Azul River) 沿いを探索中、沼地を四つん這いで歩く真っ黒で白いたてがみを持つ毛むくじゃらの怪物を見たと証言しています。
(注:ベリーズのアズール川は英語圏ではブルー・クリーク (Blue Creek) と呼ばれており、ブラジルの同名のアズール川とは異なるので注意)
とこんな感じです。
極端に情報がなく、あってもほとんど同内容かヘタするとコピペ、創作の香りが漂いますが少なくともトーマス・ガン氏もフランソワ・ブランカノー氏も実在する人物であり、取り敢えず「実話」として話を進めましょう。
前述した通り、ホラアナウシとは名ばかりで全く「牛」を彷彿とさせない生物です。
マヤの伝承では10フィート (約3メートル) のトカゲ (に似た生物) ですが、ブランカノー氏の目撃談は中南米で目撃の多い絶滅した地上棲の巨大ナマケモノ (メガテリウム、エレモテリウム、ミロドン等々) を彷彿とさせます。
またガン氏が目撃したものは上記のいずれでもなくオオアリクイ (Myrmecophaga tridactyla) を彷彿とさせます。
UMA的に考えれば南米のマピングアリ同様に地上棲の巨大ナマケモノ (の生存説) を候補に挙げるのがいいかなと思います。
現実路線ではオオアリクイがやはり筆頭です、ブランカノー氏の従者が殺された云々が事実か創作かは判断できませんが、オオアリクイによる死亡事故は2010年、2012年の最低2度は確認されており、中南米の貧困層の事故はほとんどニュースにならないため実際の数はこの数よりはるかに多いからです。
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