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2024年5月21日火曜日

正真正銘の殺人毛虫 ~ ロノミア・オブリクア


■正真正銘の殺人毛虫 ~ ロノミア・オブリクア

今回は久しぶりに猛毒生物を紹介しましょう。

毛虫を嫌う人は多いですし、実際そのトゲで刺されると肌が爛 (ただ) れるなど実害があるものも少なくありません。

そういった意味で素手で触るのはもちろんご法度ですが、ただ日常気を付けているかというそこまでの人はいないでしょう。

確かに海外産のものだと刺されると激痛のものもいますが、死ぬほどでもないですし、どちらかというとその見た目の嫌悪感で嫌っている人の方が多そうな気がします。

さて今回は南米、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイ、アルゼンチンに棲息するヤママユガの仲間 (Saturniidae)、ロノミア・オブリクア (Lonomia obliqua) を紹介します。

(ロノミア・オブリクアの幼虫 (Lonomia obliqua))
(image credit by Wikicommons)

成虫のウイングスパンは10センチほどとなかなか大きいので成虫も嫌われるでしょうが、問題は幼虫、つまり毛虫のほう。

暗殺毛虫 (Assassin Caterpillar) やら殺人毛虫 (Killer Caterpillar) の異名を持ち、さすがにそれは大げさで人を殺すまではいかないだろうとお思いのあなた、本当に致死性の毒を持ちます。

毎年数名の死者を出すことで知られているものの、実は大幅に過小評価されているともいわれ、実際の数はもっともっと多いのではないかと推測されています。(貧困層の住むリモート地での自己はほとんど報告されていないため)

幼虫時の体長は大きくても5センチほど、1匹に刺されて死ぬことはまずないものの、この毛虫は大量、数十から数百で集団でいることが多く、また木の幹や地面に擬態した体色であるため、気付かずにその毛虫が密集している幹や地面に手や体を押し当てる等してしまい、一度に致死量の毒を注入されてしまうことがあります。

(ヤママユガの一種の幼虫)
(image credit by Wikicommons)

サイエンスダイレクト (ScienceDirect) によれば、ブラジルで把握されているだけで年間100以上の自己が報告されており、致死率は全体の2.5パーセント。

毛虫に刺されただけで100人中2~3人が亡くなるとは驚きの致死率です。

またデータとして死者の63%が男性、20歳未満が45%となっており、20歳以下の男性が刺されたら高確率で死にそうな感じですが、これには分母が記載されておらず、単に20歳未満の男性の刺されている絶対数が多いだけの可能性があります。

例えばロノミア・オブリクアが棲息するような野山で遊んでいる20歳未満の男性は、女性や他の年代の男性より多く、刺される機会も多いだけでは?ということです。

ちなみにロノミアは14種ほど知られていますが、致死性なのは本種、もしかするとロノミア・アケロウス (Lonomia achelous) も危ないかもしれません。

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