■荒唐無稽なUMAだが実在する!? ~ サイドヒル・ガウジャー
サイドヒル・ガウジャー (Sidehill gouger)。
フィアサム・クリッター (北米、五体湖周辺の民間伝承上の生物の総称) のひとつに数えられるUMAです。
その姿は千差万別、クマやセンザンコウ、ヤギ等に似た生物に描かれることがありますが、ヤギのような姿で描かれることが多いです。
サイドヒル (山腹) に棲息することからこの名を持ちますが、これはサイドヒルはサイドヒルでも切り立った断崖絶壁を意味しています。
あまりの傾斜に直立することすら難しい自然環境であるため、彼らは信じられない進化を遂げました。
左右の足で長さが違うのです。
山腹から見て内側の前後の脚が短く、外側は逆に長いことにより、内側の膝関節を畳むことなく直立できるというわけです。
但しそのせいで平らな場所で真っすぐに立つことができず、断崖絶壁においても必ず一方向ににしか進むことができません。
通り過ぎた場所に戻ってくるには山を一周するしかありません。
そして厄介なことにサイドヒル・ガウジャーは生まれ持って左前肢・左後肢が短いもの、右前肢・右後肢が短いものの2種が存在します。
前者は山腹を時計の反対周りに、後者は時計回りにしか進むことができません。
この2種がばったり出くわしてしまったらどうなるのでしょう?
どうやら彼らはバックすることが苦手なようで障害物があろうと前進するのみ。
そしてそれが仲間であっても道を譲ろうとしません、というか物理的に道を譲ることができないといった方が正しいかもしれません。
彼らは本来左右の足の長さがそれぞれ異なるものの同じ仲間です、しかしこの時ばかりは仲間ではなく障害物であり敵とみなします。
2頭のサイドヒル・ガウジャーはどちらかが道を譲るまで、つまりどちらかを突き落とすまでその場で戦います。
敗れたものは急斜面を転げ落ち死んでしまうでしょうが、致命傷を負わずとも転がり落ちた先が平地であれば起き上がることはできず、その場で餓死してしまいます。
ちなみにサイドヒル・ガウジャーはフィアサム・クリッターであり北米のUMAですが、ヨーロッパにもこれとそっくりの特徴を持つダフ (Dahu) というUMAの伝承があります。
さて、このサイドヒル・ガウジャー、急斜面の環境で生きていくために特化した体の特徴を持つため、上述の通り平地では生きていけません。
そのため巣穴も急斜面にあり、その中で子育てをします。
(あれ?実在してる?シロイワヤギ)
(image credit: YouTube / NatioGeo)
こんな生物がいるわけないじゃん、と、それは至極当然の考え、フィアサム・クリッターならではのぶっ飛んだ特徴です。
確かに左右の脚が極端に異なる、そんな生物は存在しませんが、ほぼ90度に見える急斜面を難なく上ることができるヤギは実在します、シロイワヤギ (Oreamnos americanus) です。
(絶壁も自由に上下に移動できます)
(image credit: YouTube / NatioGeo)
北米大陸北西部のカナダ、アメリカの山岳地帯に棲息しています。
マウンテン・ゴートともいわれ、とんでもない急斜面で脚を畳んで直立し自由に動き回ることができます。
その秘密は足で、足裏は吸着力が強く、また蹄が分かれ柔軟に広がるため地面との接地面が多く、かつ鋭い狼爪 (ろうそう) ががっちりと地面を掴み滑り止めとなっているからです。
(急傾斜を掴む蹄)
(image credit: YouTube / BBC)
もちろんサイドヒル・ガウジャーのように道を譲らず戦うなどせずとも、軽々と急斜面を上下に移動できるほか、正面衝突しそうになっても跳躍力にも長けているため争う必然性もありません。
稀に転落死することもあるかもしれませんが、足を踏み外しても地上まで駆け降りるようにして難を逃れることもでき、UMAのサイドヒル・ガウジャー以上に、まさに急斜面に順応した生物といえます。
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