■ただの伝承か?それとも存在するか? ~ ワンパス・キャット (チェロキー・デス・キャット)
今回はワンパス・キャット (Wampus Cat)。
フィアサム・クリッター (Fearsome critters) のひとつで、(※北米の民間伝承上の生物の総称)、発祥はアイダホ州とのことですが北米北部を中心に広範囲でこの生物が伝承があります。
(ワンパス・キャットのボードゲームのフィギュア)
(image credit: Geektopia Game)
「ワンパス」とは「ヤなヤツ」とか「変なヤツ」みたいな意味で、また、「キャット」と名が付くものの、確実にネコというわけではなく、あくまで「ネコに似ている」という意味のため「奇妙なネコみたいなやつ」的な意味です。
実際、コネチカット州のフィアサム・クリッターのひとつ、グラワックス (Glawackus) のようにその容姿は「半犬半猫」といった説もあります。
先住民族のチェロキー族の神話に基づくことからチェロキー・デス・キャット (Cherokee Death Cat) とも呼ばれることもあります。
属性はヒツジ男 (またはヤギ男) に似ており、地域性があり、見た目から習性までバラエティに富みます。
多くのフィアサム・クリッターのようにワンパス・キャットも超常的な能力を秘め、特にチェロキー族の神話ではシェイプシフター (自然に自身の姿を変えられる能力) を有する、というものもあります。
中には後肢で二足歩行できるといったものまであります。
(ボブキャット)
(image credit: Wikicommons)
但し、そうはいっても所詮はやや大型の「ネコ」に似ており (メインクーン程)、実在する生物が元になっていると考えられます。
20世紀初期にはワンパス・キャットによって多くの家畜が襲われたと言われており、これは超常的な能力が無くても全く可能です。
民俗学者ヴァンス・ランドルフ (Vance Randolph) 氏はワンパス・キャットを「アンダーウォーター (水棲) パンサー (Underwater panther)」と定義づけました。
まあそんな生物は存在しませんが、アンダーウォーター・パンサーはもともと五大湖周辺の先住民族に伝わるこれまた民間伝承上の生物であり、伝承のワンパス・キャットを伝承のアンダーウォーター・パンサーと関連付けたといった感じでしょう。
実際のところ、超常的な能力はさておき、多くの家畜が恐れわれていることから実在する動物がワンパス・キャットに関連付けられた可能性の方が高そうな気がします。
(クズリ)
(image credit: Wikicommons)
中型・大型系のネコ科動物であることから、生息域からボブキャット (Lynx rufus)、カナダオオヤマネコ (Lynx canadensis) が特に有力であり、北米大陸南方にはなりますがジャガー (Panthera onca) やジャガランディ (Herpailurus yagouaroundi) もその可能性はあると思います。
ネコ科ではありませんが、大型のイタチ、生息域からクズリ (Gulo gulo) の可能性も若干考えられます。
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