■歴史ミステリー、エジプトに現れた伝説の殺人犬 ~ サラワ
エジプトの神話に登場するサラワ (Salawa) とはジャッカルや狩猟犬のサルーキに似た細身の大型のイヌの姿をしています。
また、古代エジプトに登場する神セト (Set) にも似ていることから、その元になった生物という見方もあります。
さて、この伝説上のサラワ、1990年代にエジプトのナイル川沿いで立て続けに起きた動物による襲撃事件の犯人として実在化しました。。
1996年10月から1997年4月の半年余りの期間で61人を襲い、4人が死亡するという凄まじいものでした。
サラワは一匹の獰猛な生物と考えられていました。
第一波がエジプトのルクソール近郊のアルマント市、第二波がカイロ郊外のカッタミヤと地理的に離れており、同一個体によるものかは判断が難しいですが、期間的には余裕があり移動することは物理的に可能ではあったでしょう。
しかしパニックに陥った住民たちの証言は「イヌ科動物に似ている」という一点を除けばかなりばらけたものでした。
体色は灰色や茶色といったものから黒と金のツートン等々、とても同じ生物を見た証言とは思えないもので、尾に関しても細いものとフサフサしたものと全く異なりました。
とてつもない被害を及ぼし目撃者も多いにもかかわらず、この動物が一体どんな生物なのか目撃証言を聞けば聞くほどわからなくなっていきました。
そのこともあってでしょう、神出鬼没なサラワには超自然的な特徴も付け加えられるようになります。
それはサラワの襲撃の多くが住居内であったためで、この魔物には鍵を開けたり自分の形状を変えたり (シェイプシフター) する能力が備わっている、と主張されるようになります。
明らかに集団ヒステリー化していたため、政府は住民たちを落ち着かせようと暫定的にこの生物の正体はハイエナであると発表しました。
そして事件は思わぬ展開を見せます。
サラワが「次々と」殺害されていったのです。
分かっているだけでも最低4頭、おそらくもっと数は多かったでしょう。
警察がサラワに対する警戒を強めたのに加え、おそらく住民たちも反撃するようになってきたのでしょう。
そして殺されたサラワはすべて野犬でした。
一体この事件はなんだったのか?
首都カイロ北部だけでも年間6000人以上が野犬に襲われるほど当時のカイロには野犬が多かったといいます。
つまり元からそうだったのです。
それならなぜ1996年に集団ヒステリーを起こすほどまでになったのでしょう?
おそらくいくつかの要員が重なった複合的な影響によるものと思われますが、まず野犬の襲撃自体は日常茶飯事でも殺害さるような大きな事故の件数は少なかったことが予想されます。
それが当時短期間で4人殺害されています。
さらにその理由は襲撃の数が実際に増えていた可能性が挙げられます。
当時、カイロ南部では悪天候等の影響で、南部の野犬が北部へと移動してきたといわれており、カイロ北部の野犬の絶対数の増加が襲撃数に影響を及ぼしていたことは容易に想像できます。
また、日常茶飯事であった野犬による襲撃をマスコミが扇動的に報道したことで「実在すサラワ」が誕生したのかもしれません。
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