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2025年7月6日日曜日

馬を喰らうもの ~ ホース・マンチング・モンスター


■馬を喰らうもの ~ ホース・マンチング・モンスター

今回はホース・マンチング・モンスター (Horse Munching Monster)。

アメリカ、ユタ州にある巨大な塩湖、グレート・ソルト湖のUMAとしてノース・ショア・モンスター (オールド・ブリニー) やグレート・ブライン・シュリンプを紹介してきましたが、ホース・マンチング・モンスターもまたこの湖に関連するUMAです。

但し、こちらは純粋な水棲獣ではなく、あくまでグレート・ソルト湖周辺で目撃されるUMAというだけで、飛翔生物であり陸棲動物であり、そして水中でも長い時間過ごすことができます。

19世紀末から目撃され、多くの新聞で取り上げられ、20世紀初頭に報道のピークを迎え、そして消えていきました。

このUMAの姿は簡単に言ってしまうと「西洋のドラゴン」ですが、より細かく描写されているので見ていきましょう。

この怪物を詳しく観察したのは2人のハンター、マーティン・ギルバートとジョン・バリーです。

ジョン・バリーはラッキーなことにアマチュアながら科学者でもありました。

体長は15フィート (約4.5メートル)、全体的な印象は爬虫類的、全身は鱗に覆われていた「可能性が高い」といいます。

可能性?

というのも、ホース・マンチング・モンスターは塩分濃度が極めて濃いグレート・ソルト湖に浸かっている時間が非常に長く、体表に分厚く塩が付着していたのです。

その塩の塊たるや、場所によっては1フィート (約30センチ) の厚みのなっていたといい、そのせいで体表を包んでいたであろう鱗を確認するのは難しかったようです。

この怪物は飛翔することができたため、翼を持っていました。

その翼はコウモリのそれに似ており、翼開長は小さく見積もっても100フィート (約30メートル) はありました。

頭部はワニに似ており巨大な目は赤く、ノコギリのような形状の鋭く大きな歯が口内に並んでいました。

この恐ろしい口は凄まじく大きく開けることができ、最大10フィート (約3メートル) も広げることができます。

足には5本の指 (爪) を持ち、足の幅は4フィート (約1.2メートル) もありました。

奇妙な尾は魚の尾ビレに似ていました。

上述したように陸海空、いかなる場所も厭わず、魚とワニとコウモリのハイブリッドとも称されます。

重い体で飛翔するには大型鳥類がそうであるように、助走をつけて飛び立ちます。

ホース・マンチング・モンスター (「馬を貪り喰う怪物」の意) と呼ばれる所以は上空から急降下し馬を一撃で倒し貪り喰ったのを二人が目撃したからです。

しかし主食はグレート・ソルト湖名物のシーモンキーことブライン・シュリンプ (アルテミア) のようです。

あの小さなブライン・シュリンプをどうやって集めるのかは推測の域を出ませんが、ヒゲクジラ類やジンベエザメ、ウバザメのように濾過して食べるに違いありません。

馬のように大型の動物を貪り喰ったり、ブライン・シュリンプのようなプランクトンを濾して食べたり、いったい口内がどんな作りになっているのやら、不思議でなりませんね。

さてこの突飛な怪物、確たる証拠はないもののキース・オブライエン社のデパートの宣伝のために「創造」されたもの、つまり創作であろうといわれています。

キース・オブライエン社の創設者、デイヴィッド・キース氏は米国上院議員のトーマス・カーンズ氏と共にソルトレイク トリビューン紙を買収しており、このホース・マンチング・モンスターの記事はソルト・レイクトリビューン紙に掲載され、さらに記事の隣のページはキース・オブライエン社のデパートの広告でした。

そしてその挿絵のドラゴンの翼や背景に、キース・オブライエン社の略称でロゴマークの "K.-O'B" が描かれていました。





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