■チベットの神秘の湖に棲息 ~ ドゥオブジェ湖の怪物
アメリカ人未確認動物学者リチャード・グリーンウェル (Richard Greenwell) 氏が1986年、国際未確認動物学会のニュースレター春号で紹介した謎の生物、ドゥオブジェ湖の怪物 (Lake Duobuzhe monster) ことヒッポタートルオックス (Hippoturtleox)。
ラテン語読みすればヒポタートレオクスといったところでしょうか。
学名のような名前を持ちますが、実際はこの生物がカバ (hippopotamus) のような皮膚を持ち、前肢はカメ (turtle) のそれに似たヒレ状、体はウシ (ox) のようであったことから、それぞれの英単語をミックス (hippo + turtle + ox) させただけの単語です。
更なる特徴に細い首、頭部にはヒツジのようなカールした角、といったものもあります。
レイク・モンスターですが極めて奇妙な姿をしてます。
グリーンウェル氏によれば、1972年に、チベットのドゥオブジェ湖 (Lake Duobuzhe) で捕獲されたものの中国兵により銃剣で刺殺され、最終的には食べられてしまって証拠はない、とのことです。
しかしこのヒポタートレオクス、後にも先にもグリーンウェル氏以外の報告が無く、出所も不明、捏造説すら疑われています。
そもそもドゥオブジェ湖という名の湖が存在しておらず、湖の名を中国語、もしくはチベット語から英語に変換したときになんらかの齟齬が生じた可能性があります。
チベットには大小1500の湖があり、名前が間違っているとなると特定するのはかなり困難となります。
しかし、いくつかの候補があり、水棲獣の伝承が残る湖として、チベットで神聖視されているマーナサローワル湖 (瑪旁雍錯) であったりタンラ・ユムツォ (当惹雍錯) 等、特に後者は有力な湖と考えられています。
タンラ・ユムツォは多くの湖があるチベットの中でも3番目に大きく、また最大水深220メートルはチャイニーズ・ネッシー (チィリ) で有名な天地の384メートルに次ぐ、中国で2番目に深い湖です。
チベットの人々はあまり魚を食べないのもありますが、とくにタンラ・ユムツォにはあまり近づかないといいそれはヤク (Bos grunniens) が湖の怪物に引き込まれた伝承があるからだといいます。
ヒポタートレオクス自体も特徴を聞くとヤクみたいなものですが、ヤクを引き込むとなるとかなり巨大な生物ということになるでしょう。
(メイオラニア化の頭部復元図:左上から右下へ向かって、ニオラミア、ニンジェミス、ワルカラニア、メイオラニア)
(image credit: Wikicommons)
グリーンウェル氏以降の追加情報が無いだけにほとんど正体は不明ですがイングランドの未確認動物学者カール・シューカー博士はその正体として絶滅種、メイオラニア (Meiolania) の仲間を候補に挙げています。
特にニンジェミス・オウェニ (Ninjemys oweni) を推しているとありますが定かではありません。
メイオラニアは大きな頭部と角を持つ全長2メートルに達する巨大なカメでした。
但しこのメイオラニア説、食性ははっきりせず肉食性だった可能性はあるものの草食性の可能性高かったともいわれており、なにより陸棲であったことが最大の弱点です。
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