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2024年12月6日金曜日

デンマークで発見された緑色の仔猫 ~ ミス・グリーニー


■デンマークで発見された緑色の仔猫 ~ ミス・グリーニー

緑色の子犬が産まれたことが話題になっているので、いい機会ですし「緑色の仔猫」の話をしましょう。

1995年、デンマーク北西部の小さな町、ディヴァッド (Dybvad) でビア・ビショフ (Pia Bischoff) という名の女性によりグリーンの毛皮をまとった不思議な仔猫が発見されました。

その大きさから生後2ヶ月ぐらいと推定され、毛だけではなく爪の色もグリーンという徹底したものでした。

つまり目の色を除く全身がほぼグリーンだったわけです。(背中にややグレーのまだらがあったといいます)

ビショフ夫人の5歳の娘、クリスティン・ビショフ (Kristinne Bischoff) ちゃんがこの仔猫を世話することに決めました。

その仔は野良猫であったため、おそらく毛皮に何らかの物質が付着したに違いないと母子は考えました。(イタズラされたとも疑っていたようです)

(実際のミス・グリーニーの写真)
(シューカー氏の著書、UneXplained より)

猫にも毛の色でいくつもの種類がありますが、基本は白・黒・茶とその濃淡やミックスで構成されており、やや青みを帯びたグレーの猫もいますが、グリーンの毛色の猫は通常は生まれません。

そのため、母子がその仔猫の毛が汚染されたもの、と考えるのも自然なことです。

ビショフ母子は元の毛色に戻してあげようと仔猫の全身を念入りに洗ってあげましたが、いくら洗ってもそのグリーンが薄れることはなく、どうやら着色されたものではないらしいことに気付きます。

どうやってその噂が広まっっていったのかは定かではありませんが、このグリーンの仔猫はデンマーク中で人気者となり、それどころかその情報は瞬く間に世界中へ発信されました。

仔猫は女の子だったこともあり、その毛色をもじって「ミス・グリーニー (Miss Greeny)」と名付けられ、あまりの人気にデンマークのオーフス自然史博物館で週末に数時間ほど展示されることもありました。

しかし保護されてから時間が経過するとともに仔猫のグリーンの毛は徐々に失われていき、ついには全く普通のグレーの仔猫になってしまいました。

ミス・グリーニーとはいったい何だったのか?

生まれつき緑色で徐々に毛の色が普通の猫のようになっていったのか?それとも生まれたときは普通のグレーで生まれ、グリーンに変化し、そしてグレーに戻ったのか?

ただの珍しいグリーンの仔猫という大衆人気にとどまらず、コペンハーゲンの研究者たちもミス・グリーニーに興味を持ちその原因を調査しました。

結論を先に述べると、その本当の理由は分からずじまいでした。

調査半ばにして毛色もグレーになってしまったこともあり、確実な原因を突き止めるには至らなかったのです。

はっきりしていることは仔猫はグリーンの毛をまとっているものの、それ以外は普通の仔猫と変わりなく、よく食べよく遊びそしてなにより「健康」でした。

原因を突き止めることはできなかったもののいくつかの説は提唱されました。

有力といえるかどうかは分かりませんが、もっとも広く受け入れられているのは仔猫が飲んだ「水」を原因とする説です。

ミス・グリーニーが発見された地域では、髪の色がブロンドやそれに近い淡色系の「人間」の髪の毛がグリーンに染まる現象が散発していました。

その原因は飲料水で、老朽化し腐食した水道管は「銅」の含有率が高くなり、その汚染された水道水を摂取した人の中には髪の毛が緑色に変色する人がいたのです。

真偽不明ですが、たった一晩で髪の毛が緑色になったという人もいたとか。

ミス・グリーニーも同様に「銅」の含有率の高い水を飲んでそのように変色してしまったのではないかというものです。

ビショフ母子に保護されてからは「きれいな水」を飲むことで本来の色を取り戻した、と考えるとその節は自然な感じがします。

但し、人間は爪まで緑色になることは報告されておらず、またミス・グリーニーの毛を分析した結果でも、少なくともグリーニーの毛の銅の含有率は他の猫と大差なかったという報告もあります。

ちなみに現在は (遺伝子操作ではなく) 突然変異の個体の子孫で緑色の毛を持つ猫は存在しています。

(参考文献・参照サイト)
UneXplained (Karl P.N. Shuker)
New Scientist







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