■砂漠の巨大重戦車、巨大化したラーテル ~ ジャイアント・ラーテル
ラーテル (Mellivora capensis) の英名はハニー・バッジャー (Honey badger)、
「蜂蜜のアナグマ」という意味ですね。
そのため和名はミツアナグマ、雑食性ですがその名に違わず蜂蜜やハチの幼虫を好みます。
但し特段蜂蜜を発見する能力に長けているわけではないためミツオシエの仲間、特にノドグロミツオシエ (Indicator indicator) と共生関係にあり、蜂の巣のありかを教えてもらい蜂の巣を襲撃します。
ミツオシエの役割はラーテルを蜂の巣まで誘導するだけ、これにて終了。
ラーテルは恐ろしく分厚い毛皮で覆われているため猪突猛進で蜂の巣に急襲を仕掛け、まんまと蜂の巣を破壊し好物にあり付きます。
ミツオシエはその様子を近くに木の枝にでも止まって高みの見物、ラーテルは綺麗に食べるわけではないためそこかしこに蜂の巣の残骸が散らかっており、ラーテルが去った後にノーリスクで蜂蜜をゲットできるというわけです。
一番危険なのはラーテルに蜂蜜のありかを教えるために低空飛行をしている最中で、なんでも食べるラーテルはガイド役のミツオシエさえ食べようとします。
さてこのラーテル、体長は60~70センチ前後、体重も13キロ程度、イタチ科の中ではかなり大柄な方で、実際アフリカ最大のイタチ科の動物です。
ただ四肢が短く重心が低いため、いうほど大柄には見えません。
ましてや猛者ひしめくアフリカの大地ではなおさらです。
しかしこのラーテル、進行方向にライオンのような猛獣がいても回り道せずそのまま中央突破する、というか、時には攻撃すら仕掛けるとんでもない習性があります。
この体格にして強気でいられる理由はハチの攻撃も寄せ付けなかった6ミリもある分厚く柔軟性のある毛皮で全身が覆われているからです。
この毛皮はライオンやヒョウの爪や牙にも有効で、まあ彼らと戦って勝つ (捕食する) ことは万が一にもないでしょうが、とにかく気性が荒く厄介な毛皮を持つラーテルなのでライオンたちも好んで捕食することは少ないようです。
さてこの体重差が1/10~1/20にしてこの気性の荒さです、もしこの気性を持ち合わせたまま体が大きくなったとしたら?
実はそんな夢のようなジャイアント・ラーテル (Giant Ratel) なるUMAが存在します。
その存在を主張しているのが未確認動物学者ベルナール・ユーヴェルマンス (Bernard Heuvelmans) 博士で、中央アフリカ・東アフリカを中心にいくつかの目撃例があるといいます。
ラーテルは頭部から背中にかけて体の上部が白 (もしくはグレー)、そこから下が黒というツートンカラーで色分けされてるのも特徴のひとつですが、ジャイアント・ラーテルは全身真っ黒という噂もあります。
小柄であるにも関わらずライオンやヒョウに立ち向かうほどの気性の粗さ、唯一の欠点は体が小さいこと、その欠点が解消されたのです。
まあ体が大きくなってもそのまま性質 (気性等) まで一緒とは限りませんが、仮に既知のラーテルそのままに巨大化したらいったいどれほど凶暴な生物になることやら。
但し、このジャイアント・ラーテルの目撃証言から具体的な大きさは分かりません。
既知のラーテルよりひと回りふた回り程度大きいだけかもしれませんし、ライオンほどあるかもしれませんし、とにかく既知種より大きいことから「ジャイアント・ラーテル」と呼ばれているだけです。
ひと回り、ふた回り程度大きいのであれば、既知のラーテルのメラニズム (黒変種) の大型個体かもしれません。
それよりも大きく具体的には頭胴長が1.5メートルを超えるようなラーテルだとしたら、それは他の動物の誤認の可能性もありますが、ラーテルの新種である可能性が高いでしょう。
ユーベルマン博士はこの巨大ラーテルに "Mellivora ratel maxima" なる学名を提唱していますが、現時点では存在が確認されていないためもちろん無効です。
尚、ユーベルマン博士はジャイアント・ラーテルの存在をナンディ・ベアとの関連性も指摘しています。
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UMAの話を漁ってるとユーヴェルマンスさんほんとにいろんなところで名前見かけますね
返信削除アイヴァン・サンダーソンさんと一緒に「未確認動物学」を創設した人なので彼らが存命中に確認されたUMAには何かしらコメント残してますからね~、名前を見る機会は確かに多いです。
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