■深淵を「漕ぐもの」 ~ ペンド・オレイル湖のパドラー
今回はパドラー (Paddler)。
アメリカ、アイダホ州にあるペンド・オレイル湖 (Lake Pend Oreille) に棲息するといわれる水棲獣です。
― ペンド・オレイル湖 ―
まずは、パドラーが棲息するとされるこの湖から見ていきましょう。
アイダホ州で最大の湖であり、表面積では全米38位ながら、平均水深142メートル・最大水深351メートルという“深さ”は国内でも屈指。
まるで陸に閉じ込められた深海のような場所です。
第二次世界大戦中、この湖の南端には世界で2番目に大きな海軍施設「ファラガット海軍訓練センター (Farragut Naval Training Station)」が設置され、数万人の兵士が潜水艦の訓練を受けていました。
そして――この「軍の湖」こそが、パドラーの伝説の発祥地でもあります。
― 事実か都市伝説か? ―
1944年、ペンド・オレイル湖で行われていた潜水艦の軍事演習中。
訓練に参加していた海軍兵たちが、ソナーに奇妙な反応を捉えたといいます。
それは潜水艦のように滑らかに動きながらも、一定のリズムで「水を漕いでいる」ような音――
「まるで巨大な何かがパドリングしているようだ」と記録されています。
やがてその特徴的な動きから、この謎の生物は「パドラー」と呼ばれるようになりました。
一部の報告では、その姿は「巨大な魚竜、イクチオサウルスのよう」「長い首を持つ太古の海生爬虫類、プレシオサウルスに似ていた」とも。
一方で「潜望鏡のような金属光沢を放っていた」と語る証言もありました――
― 軍が生んだ「怪物」か? ―
当時、ペンド・オレイル湖は高度な潜水艦試験が行われる軍事演習施設でした。
そのため、付近の住民が「何か」を目撃しても、軍は「事実」を説明することができませんでした。
なぜなら軍事機密であったためです。
――そこで流されたのが「怪物の噂」だった、という説があります。
もし潜水艦や試作兵器の一部が見られたとしても、「それはパドラーだ」としてしまえば、軍事情報は保たれる。
つまり、パドラーとは「軍が意図的に生み出したカモフラージュUMA」だったというのです。
そういえば――
思い当たる目撃証言がありました。
「金属光沢を放っていた」
しかし皮肉なことに、作り話のはずのパドラーは、いつしか「本物の怪物」として語り継がれていくことになります。
1950年代以降、民間人による目撃談も絶えることはありませんでした。
― 深淵を「漕ぐもの」 ―
実際のところ、軍がパドラーのデマを流した、という説は否定されています。
しかし、いつしかパドラーの噂が出始めると、軍はそれを利用できると考え、むしろ噂の拡散を黙認、もしくは助長していたとも言われています。
パドラーの正体には諸説あります。
古代魚、未確認の大型爬虫類、そして退役した潜水艦の残骸――。
いずれにしても正体は謎。
それでも、夜のペンド・オレイル湖を見つめた者は言います。
「湖の奥で、静かに『何か』が動いている音がする」
それは「深淵を漕ぐもの」が発する音かもしれません。
(参照サイト)
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