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2025年9月30日火曜日

羽毛を持った巨大なヘビ ~ カワカワ (カワ・カワ)


■羽毛を持った巨大なヘビ ~ カワカワ (カワ・カワ)

今回はカワカワ (Kawa-kawa/Cahua-Cahua)。

カワカワは南米に棲息するというヘビに似た爬虫類系のUMAで、特にチリやアルゼンチン (ネウケン) の先住民族の伝承に登場する幻獣です。

一般的は「羽毛を全身に纏った巨大な白ヘビ」として描かれますが、実際のところ名前の解釈によって (複数の先住民族たちによりそれぞれ異なる名前で呼ばれているため) その姿かなり曖昧で、「ヘビ + 他の動物」のハイブリッド系UMAといった方が正確かもしれません。

一例で「ヘビ + キツネ」「ヘビ + ブタ」「ヘビ + ウマ」「ヘビ + 鳥 (またはコウモリ)」「ヘビ + 人間」等々があり、中には「人間 + 魚」「人間 + 鳥」といったヘビすら関与しないものもあります。

「人間 + 魚」「人間 + 鳥」はそれぞれ「人魚」「ハーピー」といった感じで、より非現実的になってしまうので、ここでは「ヘビ + α」のUMAとして扱いましょう。

羽毛を纏っていることから「ヘビ + 鳥」が一番有力といいたいところですが、カワカワは一般的に翼を持つ生物として描かれることは少なく「ヘビ + (なんらかの) 哺乳類」と考えるのがよさそうです。

具体的な大きさを語られることはありませんがとても大きいといわれ「馬を丸呑みにする」と伝えられることからもかなりの大きさであることが分かります。

アミメニシキヘビ (Malayopython reticulatus) やオオアナコンダ (Eunectes murinus) のような世界最大クラスの大蛇はその自重から水辺を好みますが、カワカワはその大きさにして樹上をメインのテリトリーとします。

興味深いのはカワカワの大きな特徴のひとつとして、木から木へと飛び移るといわれることで、最大30メートルもジャンプできるなどといわれています。

このUMAは欲張りで、更に猛毒までも有するといいます。

さてこんな生物が実在するでしょうか?

具体的な大きさが分からないのはこういう時には好都合で、ウマを丸呑みにするぐらいであれば体長6メートル前後あれば十分可能で現実的な大きさに収まりそうです。

で、ジャンプ力についてですが、ヘビがそんな距離をジャンプできるのかというとこれも一応可能。

(パラダイストビヘビのグライディング・シーン)
(image credit by Discovery UK/YouTube)

ヘビの仲間には樹上からかなりの距離を滑空できるトビヘビがおり、ベニトビヘビ (Chrysopelea pelias) やパラダイストビヘビ (Chrysopelea paradisi) は最大100メートルの飛距離を観測されたことがあります。

距離だけでいえばカワカワの30メートルは優に超えており、完全に現実的な飛距離です。

但し、問題はその大きさと生息地で、トビヘビ最大種のゴールデントビヘビ (Chrysopelea ornata) ですら1.3メートルほどしかなく、またトビヘビの仲間は東南アジアから南アジアにかけてのみ棲息しています。

大きいほど滑空は厳しくなりそうです。

で、同レベルに難関なのが毛皮もしくは羽毛で全身が覆われているということ。

UMA界では数は少ないものの毛皮を持つ爬虫類としてアルジェリアン・ヘアリー・バイパークレブロンモコラウルなんかがいるので、こちらと同等の生物といえるでしょうが、ヘビに限らず爬虫類で毛皮を持つ種は現存しません。

さすがに伝承全ての特徴を兼ね備えた蛇が実在するとは考えにくいですが、都合よくいいとこどりをして、南米に棲息する「未知のトビヘビ (のアルビノ) の巨大種 (2~3メートル)」が落としどころではないでしょうか。

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2025年9月29日月曜日

自分の生まれた産婦人科がフロアごと消えていた


■自分の生まれた産婦人科がフロアごと消えていた

今回はグリッチ・イン・ザ・マトリックスの話。(グリッチ・イン・ザ・マトリックスの詳細についてはこちらをご参照ください)

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私の母のかかりつけの産婦人科はテキサス州オースティンのはずれにある病院の5階にありました。

そこにはベテランの看護師兼受付のアリソンという先生がいました。

私がまだ幼いころ、母に連れられ弟とこの病院を訪れた際は、母が診療している間、とてもカラフルな森の絵が飾ってある素敵な待合室で弟とゲームをして過ごしていたのを覚えています。

アリソンはとてもやさしい女性で、私たちのベビーシッターもしてくれました。

私たちに本を読んでくれたり、塗り絵を一緒にしてくれたり、ひどいノック・ノック・ジョーク (ドアのノックから始まり、来訪者の名前のダジャレを使ったジョーク) をいくつもしてくれました。


私たちは彼女のことをアリソン・ワンダーランド (不思議の国) と呼んでいました。

それから20年の時を経て、私はオースティンを出ましたが結婚し妊娠してから再びオースティンで暮らすようになり、産婦人科を探すことになりました。

母は受付のアリソンのいるあの病院はどうかしら?と勧めてきました。

あの頃はまだ30代だったけど、今もやっているだろうか。

担当医の名前で検索しましたが、彼の名前を見つけることができませんでした。

直接あの病院に行って、彼の所在を聞いてみるのもいいと思いました。

その日、オースティンを出ていた母がちょうどこの街に訪れていたこともあり、母と一緒に懐かしの病院に行くことにしました。

ビルの前に到着し、問題が起きていることにすぐに気付きました。

この建物には5階が無いのです、最上階は4階なのです。

記憶違いかもしれない、とにかく最上階であったことは確かなのでそこへ私たちは向かいました。

しかしそこに思い出の産婦人科はありませんでした。

久しぶりということもあり、訪れた建物自体が間違っているのかもしれない、しかしそうではありませんでした。

20年前と同じ駐車場に車を停め、そして同じルートで建物に入り、、、

しかし主治医の男性医師も受付兼看護師のアリソンもどちらも名簿に載っておらず、まるで存在すらしていなかったようようなのです。

病院のスタッフにも尋ねてみました。

そして出生届も調べてもらいましたが、そのコピーには「主治医」とだけ記載されており、特定できる名前が記載されていませんでした。

主治医の男性医師とアリソン・ワンダーランドの記憶は私の記憶障害の産物でしょうか?

そうとは思えません、この記憶は母と弟も共有しています。

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UMA以外にもグリッチ系の体験談も募集中です。

(参照サイト)
reddit
deMiked




2025年9月28日日曜日

アイリッシュテリアを丸呑みした水棲獣 ~ ネイ湖の怪物


■アイリッシュテリアを丸呑みした水棲獣 ~ ネイ湖の怪物

今回はネイ湖の怪物 (Lough Neagh monster)。

ネイ湖 (Lough Neagh) は北アイルランドにある淡水湖で、アイルランド島最大の湖 (表面積390平方キロメートル) です。

いびつな「星形」をした湖で、スポンジボブに出てくるパトリックのようなシルエットをしています。

(ネイ湖の上空写真)
(image credit: Wikicommons)



イギリスの水棲UMAといえばスコットランドのネッシーに話題を全部もっていかれていますが、ネイ湖はネス湖よりはるかに大きく、実は数多くの水棲UMAの目撃例があります。

その中から有名なものをピックアップしてみていきましょう。

20世紀初頭の1908年、ネイ湖でボートに乗って釣りをしていた男性が、針にかかったブラウントラウト (Salmo trutta) の一種ドーラガン (回遊性ブラウントラウトで大型化する) に銛を打ったところ、どこからともなくボートに向かって一直線に泳いでくる謎の生物がいることに気付きました。

目的は男性の釣ったドーラガン、背びれを水面に出し高速で向かってくるとドーラガンに咬みつき、そのまま奪って姿をくらましました。

この時はあまりその生物について詳しく観察できませんでしたが、その数年後にまたもその怪物が現れます。

今回の遭遇事件は衝撃的なものでした。

「気付くとそいつは船尾にいたんです。

巨大なウナギを思わせる頭部で目は邪悪に光っていました。

そして船をジャイブ (方向転換時に帆を回す動作) したときに同船していたアイリッシュテリアが帆にぶつかり船外に投げ出されたのです。

すると怪物ウナギは丸呑みしてしまったのです。

怪物ウナギの激しい動作にボートは揺れ動き、私はテリア同様に船外に投げ出され同じ道を辿ることを運命だと思い確信しました (しかし運のいいことにそれは起こらなかった)」

(河川型ブラウントラウト/Salmo trutta fario)
(image credit: wikicommons)

これが同一の生物であるかは議論の余地がありますが、時期的にかなり近いこと、大きさやどう猛さという点での共通、一応閉ざされた湖であることから同一であった可能性は高そうです。

アイリッシュテリアが幼犬であったか成犬であったかでもイメージは大きく変わりますが、仮に成犬であればアイリッシュテリアはそれなりに大きな中型犬であり、丸呑みしてしまうとはとてつもない大きさをしていたことが示唆されます。

さてこの生物はいったい何だったのか?

UMAファンであれば北アイルランドやアイルランドではウマウナギと総称される巨大なウナギに似た水棲UMAが数多く目撃されていることはご存じでしょう。

こういったことからもネイ湖の怪物はウマウナギ系のUMAと同一であった可能性があります。

実際、ネイ湖はヨーロッパウナギの漁獲が多いことでも知られ、その中のとてつもなく巨大に成長した個体である可能性はあります。

また、在来種でもなく移入の記録もないようですが、最大3メートルともいわれるヨーロッパオオナマズ (Silurus glanis) ことウェルズの大型個体も候補に付け加えておきましょうか。

飼っていたものが遺棄されたりし、ライバルのいない環境で大型化が促進したのかもしれません。

とはいえ、この湖はとても大きいことから多くの魚類が棲息していることでも知られ、先に挙げたドーラガンをはじめ、大型のブラウントラウトの仲間、ギラルー (Salmo stomachicus)、ソーナゲン (Salmo nigripinnis)、フェロックス (Salmo ferox) の大型個体を誇張化されて伝わった、というのが一番真実に近いのかもしれません。



2025年9月27日土曜日

10本脚のホッキョクグマ ~ クプクジアック


■10本脚のホッキョクグマ ~ クプクジアック

クプクジアック (Qupqugiaq)、アメリカ、アラスカ州のイヌイットに伝わる10本脚の巨大なホッキョクグマに似た生物です。

クプクジアックには6本脚、8本脚説もありますが、いずれにしても3対以上の脚を持つクマ (に似た生物) というわけです。

北米のUMAですし、いかにもフィアサム・クリッター (北米大陸に伝わる民間伝承上の生物の総称) の一員といった印象を受けますが実は違うんです。

この動物はカナダ生まれの探検家で主に北極探検に人生を賭けたヴィルヒャムル・ステファンソン (Vilhjalmur Stefansson) がイヌイットのタラク (Tarak) という人物から聞いたものです。

但し、ステファンソン氏もそして情報源のタラク氏自身もこの動物を実際に見たことはありませんでした。

タラク氏はこの奇妙な動物の話を老人から聞いたといいます。

脚が10本であること (それに伴い体は長くなりますが) 以外は、ホッキョクグマと姿形は大変似ているといいますが実在するホッキョクグマ (Ursus maritimus) よりも遥かに大きな生物だといいます。

また半水棲で多くの時間を海中で過ごすのもクプクジアックの特徴です。

体が大きいこと、余分な3対の脚があることにより通常のホッキョクグマよりも有能なハンターだといいます。

確かに一端獲物に追いつき捕まえてしまえば余分な脚 (腕) を使って押さえ込むことができ、その脚はより機能的に働くに違いありません。

しかし時にはそれが仇にもなるといいます、というのも走っている際には余分な3対の脚の制御が上手くいかず脚同士が絡まって転倒してしまうこともあるからです。

しかも転倒すると5対の脚を空中でかきむしるだけですぐには起き上がれないという欠点を持ち合わせています。

イヌイットたちが狩りの際にクプクジアックに追われてもこのクプクジアックの転倒により命が助かっただけではなくクプクジアックを仕留めたという話もあります。

さてこの生物、、、

冷静に考えると、いくらUMAとはいえ、哺乳類で脚が10本、とても実在するとは思えない身体的特徴です。

にもかかわらず、このUMAは多くの先住民族の間で異なる名前で存在しています。

イヌイットたちだけではなく欧米の人物にも目撃者が存在するぐらいです。

これに対する説明は、子連れの複数のホッキョクグマを一匹のクマと勘違いしたというのが一般的な解釈です。

地面もホッキョクグマも白一色でコントラストに欠け複数頭が重なって歩いている場合、遠目から何頭で歩いているのかを即座に判断するのは困難です。

かといって近づいて見に行くには危険すぎます。

重なることで先頭のクマの頭部以外見えなければ1頭と勘違いし、多足のホッキョクグマに見える可能性があるかもしれません。