このブログを検索

2025年8月31日日曜日

森の守護霊であり人間にとっては悪霊でもある ~ トール・マン


■森の守護霊であり人間にとっては悪霊でもある ~ トール・マン

今回はトールマン (Tall man)。

直訳すると「背の高い人 (男)」ですが、ここでいうトールマン人間ではなくUMAもしくはゴースト (スピリット) 的な存在に使われる呼称です。

近年、インターネットミームで広がったレイク (レーキ) やスレンダーマンとも密接に繋がっていると思われ、特徴も似通っています。

このトールマン、元々はアメリカ、サウスダコタ州の先住民族、ダコタ族とラコタ族に伝わる謎の生物で身長は低くても7フィート (約2.1メートル)、一般的には12~15フィート (約3.6~4.5メートル) と背の高い人間の誤認とは到底思えない高身長です。

大きく分けて3タイプのトールマンが存在します。

ひとつは背が高いもののガリガリに痩せて、手足が異様に細長いタイプのものです。

その歩様 (ほざま) はぎこちなく、まるで竹馬に乗った人間のような動きだとも言われています。

主に森の中で目撃されるこのトールマン、黒のストーブパイプハット (シルクハットの一種) を被り、スーツに身を包んでいることから森を歩く場違いな伯爵もしくはジェントルマンといった風情です。

しかし背が高すぎる以上に彼には奇妙な特徴があり、鼻と口はなく人間をマインドコントロールする能力にたけているといわれています。

もうひとつのパターンは毛むくじゃらで悪臭を放つタイプです。

UMAでいう獣人タイプ、というか獣人そのものです。

赤くぎらつくその目と相まって、目撃されるのもアメリカでありビッグフットとの身体的な差異はありません。

そして最後のタイプはウォーキング・サムと呼ばれるタイプのトールマンです。

トールマンはいずれもパラノーマル感の強いUMAですが、ウォーキング・サムは特にそれが顕著で、かつ質 (たち) が悪く、ネット上に現れ特に精神的に苦しむ若者たちを欺き自殺へ導く邪悪な存在といわれています。

1つ目と3つ目のトールマンはマインドコントロールという特性を持つことから似たタイプといえます。

おそらくは元となるのは1つ目のタイプで、ネット社会の現代版で形を変えたものが3つ目のウォーキング・サムかもしれません。

2つ目に関してはひとつだけ全く異なるタイプに感じますが、これは先住民族の言葉を英語に訳すときに誤訳した可能性が高いといわれ、「背の高い人」という意でいったものを「背の高い (tall) ⇒ 大きい (big)」と誤訳し、「大きな人 ⇒ 巨大な類人猿 ⇒ ビッグフット」のように伝言ゲーム失敗の可能性が高いようです。

まあネット普及により現代的なアレンジはあるものの、トールマンは森の守護霊という一面を持つものの、「森を彷徨う以上に背の高いマインドコントロールに長けた怪物」というのが実像に近そうです。

故に基本的には邪悪な存在と考えていいでしょう。

(関連記事)











2025年8月30日土曜日

ホーンテッドハウスに出没する奇妙な生物 ~ ウルフィー


■ホーンテッドハウスに出没する奇妙な生物 ~ ウルフィー

今回はウルフィー (Wolfie)。

1904年から1910年にかけて、イングランドのケンブリッジのアビー・ハウスに住むローソン家の、特に子供たちに頻繁に目撃されたUMAです。

アビー・ハウスは17世紀に建設された建造物で「イングランドでもっとも幽霊の出る家」として知られています。

ここら辺のくだりは「バークレー・スクエア名も無きもの (Nameless Thing of Berkeley Square)」で紹介したロンドンにあるバークレー・スクエアと似ています。

バークレー・スクエアは18世紀に造られた庭園で、この庭園内のとある建物の2階にゴースト (もしくはUMA) が出ると昔から信じられています。

さてウルフィーの話に入りましょう。

目撃した子供たちによりオオカミ (wolf) をモチーフにしたウルフィーと命名されましたが、オオカミ的な要素は皆無です。

夜行性の生物で夕方になると出没し、アビー・ハウスの建物内に入ってくることもたびたびありました。

(もしかすると小型獣脚類タイプかもしれません)

捉えどころのない姿をしており、全体的には「耳の短い茶色のノウサギ」に似ていますが常に後肢で二足歩行し、前肢はヒレのような形状、鳥のような長いクチバシを備えていました。

走るとパタパタと特徴的な音を立てることから姿が見えなくてもウルフィーが近くにいることは分かったといいます。

子供たちが創造したUMAかと思いきや、父親も目撃しています。

尚、「イングランドでもっとも幽霊の出る家」と知られているといった通り、ローソン家はウルフィー以外にも何度もゴーストを目撃していました。

以後、アビー・ハウスに引っ越してきた家族の子供たちによってもウルフィーの目撃は続き、1920年はシャープ家の娘により、また1947年には友人の子供がアビー・ハウスに訪れた際に「犬に似た生物」を目撃しています。

こちらの家族も含め、引っ越してきた家族はほとんどゴーストを目撃しています。

このように都市伝説化してしまうと現実と想像の境界線があやふやとなりウルフィーの存在も怪しくなってしまいますが、ゴーストはヒト的であり、ウルフィーはあくまで奇妙な動物、と区別はされていたようです。

ウルフィーはノウサギに似るといいますが、クチバシがあり、ヒレ状の前肢があることから翼の毛を失った鳥であればそのような姿に近いものにはなるかもしれません。

但し、飛翔できないその状態で長生きできるかどうかは分かりませんが。

まあ都市伝説化した実在する建造物で目撃された (る) UMAであり、パラノーマル性がより強いことは否定はできません。






2025年8月29日金曜日

水棲の象は確かに存在する ~ マカラ


■水棲の象は確かに存在する ~ マカラ

今回はマカラ (Makara)

以前にインドネシアのUMAとしてガジャ・ミナを紹介しましたが、書き込みいただいたコメントからマカラの方がまだ未紹介だったことに気付いたのでこちらも紹介しておきますね。

旧サイトではとても簡単にしか紹介していなかったので、もう少し詳しく掘り下げてみていきましょう。

頭部は象、体は魚、これが「UMAとしての」マカラの特徴で、ここだけ聞くとガジャ・ミナとほぼ同じです。

海棲UMAですし、インドネシアとインドは地理的にも近く実質同じUMAの名前が違うだけでは?といった疑いも出てきそうですが、全くの別物です。

まずマカラがどのような性質の存在かを見ていきましょう。

マカラはヒンドゥー教の神話に登場する生物、いわゆる幻獣でもともとはUMAではありません。

しかもサンスクリット語で「海の生物」もしくは「ワニ (クロコダイル)」を意味し、明確に「水棲の象」を意味しているわけではないのです。(ちなみにガジャ・ミナの「ガジャ (Gajah)」はサンスクリット語で「象」を意味します)

そして神話上でもUMAと同様、陸棲生物と水棲生物 (半水棲生物を含む) のハイブリッド生物であることは確かですが、UMAのように「象+魚」と完全には定義されていません。

幻獣としてのマカラは頭部は象の他に牡鹿やレイヨウ (アンテロープ)、体は魚の他に海生哺乳類 (イルカ) や蛇、ワニ (クロコダイル)、トカゲ等のバージョン・組み合わせが存在します。

体が魚や蛇であれば四肢を持ちませんが、それ以外のものであれば四肢を持ち、マカラは思っているほどガジャ・ミナとそっくりなものではありません。

(大河を泳ぐアジアゾウ)
(image credit: Wikicommons)

が、UMAとしてのマカラは「象+魚」一択に近く、実際の目撃情報で他の組み合わせはあまりみられません。(おそらく他の組み合わせの場合は別なUMAとして認識される可能性が高いです)

そうはいっても、やはりタイプとしては前述の通りガジャ・ミナ、そして南アフリカ沖で目撃されたトランコと同タイプのUMAといえるでしょう。

過去から目撃情報はありますが、水棲生物の姿を完全に把握するのはかなりの運に恵まれない限り難しく、水中 (海) に入った象の頭部だけを確認しマカラと認識している可能性はやはり高そうです。

ただまぁこれだとUMA的に楽しくないでしょう。

ということで、マカラの正体をかつて厚皮動物 (こうひどうぶつ) と呼ばれていた動物群、象やカバ、サイ等が完全に水棲生活に適応した新種の生物だと提唱する未確認動物学者もいます。

まあ突飛ではありますが、恐竜と同時代に棲息していた大型の海棲爬虫類生存説なんかと比べたら全然可能性は高いですよね。

さて、象はかなり泳ぐのが得意でふつうは川でしか泳ぎませんが海にも稀に入り、2017年にスリランカ沖合16キロメートルの地点で泳いでいるのが発見されました。

これは意図的なものではなく完全に流されてしまったものでノーマルな行動ではありませんが、あり得ないほどの沖合で敬虔なヒンドゥー教徒が象に遭遇した場合、マカラと認識するかもしれません。

ちなみにこの迷い象、発見者が「マカラだ!」と叫び、手を合わせ拝んでスルー、ということはなく、ちゃんと象と認識され救助されました。

(関連記事)







2025年8月28日木曜日

イングランドに巨大ザメが現れた! ~ ノーフォークのメガロドン


■イングランドに巨大ザメが現れた! ~ ノーフォークのメガロドン

今回はイングランド東部の海沿いのカウンティのひとつ、ノーフォーク (Norfolk) で巨大なサメに出くわした体験談を紹介しましょう。

ま、タイトルは巨大ザメの代名詞的存在のメガロドン (Otodus megalodon / Carcharodon megalodon) としましたが、目撃者がメガロドンに出くわしたと言っているわけではありません。

メガロドンみたいなデカいサメに襲われたということです。

-----

数年前 (1990年代後半)、ノーフォークのホリデーキャンプに参加していました。

専用のキャンプ場がビーチあったことは覚えていますが、正確な場所はちょっと覚えていないです。

このビーチがとても素晴らしい点は、周りにも素敵なビーチがたくさんあることから、海水浴客でごった返していないことです。

キャンプが始まって数日後、インフレータブルボート (ゴムボート) で少し沖に出かけることを思いつきました。

ビーチから沖へ50メートルぐらい進んだところ、水面下に細長いグレーのなにかが見えました。

(メガロドンの想像図)
(image credit: Wikicmmons/Hugo Saláis)

それがサメのようなシルエットに見えたのですが、それよりも気になったのはその大きさです。

私には20メートル以上あるように見えました。

恐怖しか感じず、私は急いでビーチへ戻ろうと必死にボートを漕ぎました。

すると驚いたことに、その灰色の物体は私を追いかけてきたのです。

それはもちろん「物体」ではなく「生物」でした、しかもとてつもない大きさの。

そしてその生物は水面に頭部を現しました!

水上に出た頭部だけで3.6メートル、やはりグレーであり、形状は三角形でした。

怪物は私のボートに咬みついたので私はボートから飛び降り岸へ向かって泳ぎました。

何とか岸にたどり着くことができたので襲われた地点の方を振り返ってみてみました。

しかしそこには私のボートも、そして巨大なサメの姿もありませんでした。

残念なことにこの話はキャンプ場に戻って話しても誰も信じてくれませんでしたから、その後このことについては誰にも話していません。

特に私は海洋生物の専門家ではありませんが、あんな巨大なサメが現世で存在しないことぐらいは知っています。

-----

冒頭で書いた通り、目撃者はメガロドンのメの字も出していませんが、まあメガロドンの目撃情報に含めても問題ないでしょう。

但し、その大きさは現在考えられているメガロドンの体長よりも大きいです。

昔こそメガロドンは体長30メートルだの言われていましたが、研究が進むにつれて縮む縮む、現在では10メートル以上、せいぜい15メートル、もうちょっと大きく見積もる研究者もいますが、それでも20メートルは少々厳しいかもしれません。

(ウバザメ)
(original image credit: Wikicommons)

まあ目撃者のいう20メートルという大きさは実際のところあまり当てにはなりません。

身近なものであれば、見ただけでセンチ単位ですら当てることができますが、現実離れした巨大なものを即座に推測するのはかなり困難です。

それこそ電柱を見て、何メートルかなんて電柱に携わる仕事をしている人でなければほとんどの人はセンチ単位どころか前後1メートル以内の近似値すら言い当てられないでしょう。

というわけでクジラや巨大なサメの専門家でもない限り、上記のような巨大な生物の大きさを即座に20メートルと言い当てるのはかなり困難です。

ま、実際のところ大きくて10メートルぐらいだったのではないでしょうか?

ま、ボートを襲ったりする獰猛な巨大ザメならやはり真っ先にホホジロザメ (Carcharodon carcharias) が候補になりますが、ホホジロザメですら6~7メートルが限界。

シルエットだけなら10メートルを優に超すウバザメ (Cetorhinus maximus) もメガロドン的ではありますが、ボートを襲うと姿はあまり想像ができません。

(ニシオンデンザメ)
(image credit by Wikicommons)

オンデンザメ (Somniosus pacificus) やニシオンデンザメ (Somniosus microcephalus) ならウバザメよりもボートを襲う可能性はあるかもしれませんし、大きさ的にホホジロザメよりも期待できますが、それでも10メートルに届きそうにありません。 

というわけで目撃者のいう大きさこそ当てにはならないものの、目撃証言自体はそれほどドラマチックに盛っている感じもないことから既知種で候補は絞り切れず、なかなか夢のある目撃証言ではないでしょうか。