■佐渡島に棲息しないはずのクマの足跡が!?それとも、、、 ~ サド・ベルアン
今回は、UMAサイトの運営者、「未知の世界から」の管理人Sさんから頂いたUMA情報です。
さて今回はサドベルアン (Sado beruang)。
これは平成24年 (2012年) 1月18日に行われた、新潟県による土地改良事業の一環で相川北部地域の現地調査が行われたものに、Sさんの父親が参加していたときのお話だそうです。(相川町自体は現在佐渡市になっているようなので相川エリアということでしょうかね)
真冬の1月中旬ということもあり、現地は雪が積もっており、その雪に今回の主役である「謎の足跡」が刻まれていたのが発見されました。
Sさんの父は現地案内をしてくれた県職員に対し「これはクマの足跡ではないか?」と尋ねると、佐渡にはクマは棲息していないため、タヌキの足跡 (ではないか) と説明を受けたといいます。
しかし雪に残された足跡は縦10センチ、横幅が9センチ、5つの丸い指も確認できました。
タヌキのものにしては縦幅も横幅もあまりに大き過ぎ、大きさを抜きにしても形状が全く異なります。
Sさんの父はこの説明は理にかなっていないと思い、このまま放置しておけば佐渡で人間がクマの襲撃を受ける日が近々来るのではないかと思ったぐらいだそうです。(実際のところ現時点では襲撃や目撃は起きていませんが)
(Sさんのお父さんによる実際のドローイング)
(image credit: 未知の世界さん)
佐渡にはニホンノウサギ (Lepus brachyurus) の亜種にして固有種、サドノウサギ (Lepus brachyurus lyoni) が棲息します。
佐渡には大型の野生動物は棲息しておらず、サドノウサギは佐渡に棲息す野生動物の最大種のひとつです。
ニホンノウサギよりやや小型ですが、ま、体長5センチ前後の違いであり面倒なので同じぐらいだとしておきましょう。
ウサギは発達した後肢は体に対してかなり大きく、縦の長さは10センチを超します。
ただウサギの後肢の形状は細長く、発見されたものがぼ円形に近い楕円状、しかも五本指という大きな違いがあります。
しかも、移動時に残すウサギの足跡は独特で、後肢の先端が左右に開きかげん、かつ前肢より前に位置し、前肢の足跡が後肢のすぐ後ろにくっつく感じで、アルファベットの "Y" のような形状になります。
(ウサギの足跡)
(image credit: YouTube/Andriy Chukas)
こういったことを考慮すると佐渡の固有種であるサドノウサギは候補から外してもいいでしょう。
では県職員のいうタヌキ (Nyctereutes procyonoides) 説はどうでしょう?
佐渡にはタヌキも棲息しています。(ちなみに、佐渡ではタヌキのことをムジナ (貉) と呼ぶそうです。ムジナは本当はアナグマ (Nyctereutes procyonoides) の別称ですが、まあ見た目も似てますしね)
タヌキの足跡の「全体の形状」でいえば丸っこいシルエットでその点では似ているといえます。
但し前述の通り、タヌキの足跡にしてはあまりに大き過ぎ、実際にタヌキの足跡は縦横4センチ程度しかなく、指も4本です。
肉球部分もそれほど大きくなく、面積的には指 (4本分) と肉球で同程度です。
雪に残された足跡 (上記の目撃スケッチ参照) とは、指と肉球の比率、形状があまりに違いすぎます。
ちなみに、佐渡にはタヌキの妖怪、団三郎狸 (だんざぶろうだぬき) の伝説があります。
上述した通り、タヌキをムジナと呼ぶことから団三郎狢 (だんざぶろうむじな) とも呼ばれますが、今回の足跡に関しては無関係そうです。
大きさを無視し、5本の指を残し、似たような足跡を残す生物としてはアナグマやハクビシン (Paguma larvata)、ニホンイタチ (Mustela itatsi)、テン (Martes melampus) 等がいます。
まああくまで形だけであり、5本指を残すという点ではタヌキよりは有利といえますが、大きさ的にはいずれもちょっと厳しいかな~
(ホッキョクグマの足跡)
(image credit: Wikicommons/Polar Cruises)
では大きさ的・形状的に大本命のクマはどうでしょう?
まず前述の通り佐渡島にクマは棲息していませんが、そこを無視したとして、、、
クマは上記二つの生物と比較し、圧倒的に目撃スケッチと似ています。
指の数も5本、肉球部分が大きく、肉球部分と指の面積の比率もOK。
成体の熊と比較するとやや小さいですが、幼体、若年個体、もしくは佐渡において矮小化したクマ、というのも面白いアイデアかもしれません。
ちなみに本土のクマが佐渡に渡ってくるにはなかなかハードです、本土の新潟から最短で32キロ、遊泳力が高いと評判のクマですが中継なしで泳ぎきるには流木等の助けを借りたり、かなりの運に恵まれない限り達成できそうにありません。
というわけで、可能性は在来種や持ち込まれた外来種 (アナグマ・ハクビシン等) の超絶巨大個体、もしくは熊人生すべての運を使い切って本土から奇跡的に流れ着いたツキノワグマ (Ursus thibetanus)。
そして最後にもうひとつ。
確実な情報ではないですが、かつて佐渡島にも (縄文時代の遺跡から) クマが棲息していた可能性が示唆されています。
極論、UMA論的に (あくまでUMA論ね)、彼らは絶滅しておらず佐渡島という閉ざされた環境に適応、島嶼化 (とうしょか) により矮小化 (わいしょうか) し、現生最小のクマ、マレーグマ (Helarctos malayanus) を大きく下回る体格に進化、そして人知れず生き残っている種、それが佐渡のクマ、サドベルアンということにしておきましょう。
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