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2025年6月5日木曜日

メダカだってゾンビ化!鳥さんどうぞ食べてください ~ ユーハプロルキス


■メダカだってゾンビ化! ~ ユーハプロルキス

最初に断っておくと、タイトルにメダカと書いてますが、実際はカダヤシです。

カダヤシはメダカと姿が酷似しているのでイメージが湧きやすいようにメダカと書いただけで、姿こそ似ているもののメダカはダツ目 (Beloniformes)、カダヤシはカダヤシ目 (Cyprinodontiformes) と目 (もく) すら違います。

さて今回は寄生虫、ユーハプロルキス・カリフォルニエンシス (Euhaplorchis californiensis) という吸虫です。

以前に紹介したディプロストムムとかなり似たライフサイクルを辿ります。

名前からも分かる通り、アメリカのカリフォルニアを拠点としています。

最終宿主は海鳥で、まずは海鳥の糞の中に含まれる卵からスタートです。

卵入りの糞がヘタナリの仲間、海洋性巻貝ケリシデオプシス・カリフォルニカ (Cerithideopsis californica) に食べられることで孵化することができます。

このユーハプロルキスの卵を食べた巻貝は不妊となります。

食べた時点で巻貝は次世代に子孫を残すことができなくなり、そのエネルギーを全てユーハプロルキスの幼生、セルカリア (ケルカリア) の生産に注ぎ込んでもらいます。

生きる屍第一号の作成成功です。

この巻貝が海鳥に食べられてはいけません、もう一段宿主を変える必要があります。

セルカリア軍事工場となった巻貝から毎日夥しい数のセルカリアがまき散らされます。

セルカリアは二股に分かれた尾を持つ非常に泳ぎに特化した幼体で、次なるターゲット、カリフォルニアカダヤシ (Fundulus parvipinnis) を目指します。

(カリフォルニアカダヤシ)
(image credit by Wikicommons)

いくら遊泳に特化しているとはいえ、自分たちより遥かに大きい魚に寄生するのは至難の業、それ故数で勝負です。

質より数で勝負し、なんとかカダヤシのエラに貼り付くことに成功すれば第二ステージです。

神経を伝って脳に辿り着くと、もはや泳ぐ必要がないので丸っこい樽型のメタセルカリア (メタケルカリア) へとモデルチェンジ、着々と大人の階段を上っていきます。

さてカダヤシに辿り着き、しかも脳に寄生しているのですから屍第二号の作成に取り掛かっているに違いありません。

しかし寄生されたカダヤシは見た目も行動も変わらず、長い間、ユーハプロルキスはいったいどういうマインドコントロールをしているのか分かりませんでした。

しかし寄生されたカダヤシとそうでないカダヤシを比較してみたところ、ジグザグな泳ぎ、身をよじって体を横向きにする、水面の近くに上がる、といった行動が寄生されたカダヤシでは4倍近くに跳ね上がっていることが分かりました。

どれも魚本来の動きであるため単体で見ていると分かりにくかったのです。

こういった目立つ行動を極端に増やすことにより捕食者の海鳥により見つけられやすくしていたのです。

つまりはカダヤシに自殺を誘引させていたのです。

これはドーパミンを過剰分泌させることにより興奮状態をつくっていたようです。

この目立つ行動を4倍に増やすことで、海鳥に食べられる確率は寄生されていないカダヤシのなんと30~40倍も高いことが分かっており、とても効率よく最終宿主の海鳥の体内へ取り込まれているようです。

海鳥の体内へと渡ったユーハプロルキスは成体へと成長し、海鳥の糞に卵を大量に混ぜ込みます。

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2025年6月4日水曜日

19世紀、大砲で仕留めた超巨大爬虫類 ~ スカンク川の怪物


■19世紀、大砲で仕留めた超巨大爬虫類 ~ スカンク川の怪物

今回はスカンク川の怪物 (Skunk River monster)。

まず怪物の前に、スカンク川という名前が気になってしまうでしょう。

この川はアメリカのアイオワ州にある川で、「スカンク」とはあの動物のスカンクです。

といってもこれは英語に訳した時に誤訳したものと考えられています。

もともと地元のネイティブたちがこの川をシェカクア (Shecaqua) と呼んでおり、シェカクアとは玉ねぎのような強く不快な臭いを放つものを指す言葉で、実際、この川の源流には玉ねぎが多く自生しておりそれが名前の由来だったようです。

つまりは英語に直す時に「悪臭を放つもの」という意味で「スカンク」と訳されてしまったものの、本来、ネイティブたちの語法から行くと「シェカクア = 玉ねぎ」であり「オニオン川」と名付けるべき川だったということです。

まああまり日本では有名な川ではありませんが、日本であればそこそこの長さを誇り全長150キロメートル、日本だと栃木県と茨城県に跨る那珂川 (なかがわ) と同程度、日本の河川の延長ランキングで20位にランクインします。


さて川の話はこれぐらいにして、本題のUMA、スカンク川の怪物の話に入りましょう。
スカンク川の怪物は1884年のニュートン・ヘラルド紙に掲載された未確認生物で、これを皮切りにオスカルーサ・ウィークリー・ヘラルド紙をはじめ多くの新聞に取り上げられ知名度を爆発的に上げていくことになります。

怪物はミシシッピ川を100マイル (約160キロメートル) も遡上しオスカルーサ近郊のスカンク川 (正式にはサウス・スカンク川) に侵入したと推測されました。

初めの犠牲者は農夫ジェームズ・ライト氏が所有する家畜のブタでした。

1884年11月14日、所有する100匹ほどのブタの中でも特に大きいブタが忽然と姿を消しました。

しかしブタたちは頑丈な柵で囲われており、破損している箇所もなかったため、ただ忽然と姿を消したミステリーでした。

そして翌日、またもブタが1頭消えました。

最初の時と同じ、柵のいかなる箇所も破損しておらず、ブタたちが柵の外へ出る方法はないため、ブタは空気中に吸い込まれ消えてしまったかのようでした。

ライト氏はこの奇妙な財産の損失を望んでいませんでしたが、この日以降も毎日ブタの消失は繰り返されました。

そしてななんら消えた痕跡を残さないのも共通していました。

12月4日、最初のブタの喪失から20日、合計20頭のブタが行方不明となりました。

ついにライト氏はこの真冬の夜にその犯人を突き止めようと、ブタたちを夜通し見張ることを決心します。

ランタンとライフル、そして愛犬のブルドッグと共に見張りを始めましたが特に変わったことは何も起こりませんでした。

ライト氏が眠気と寒さと戦っているその時、農場から130フィート (約40メートル) 離れたスカンク川から大きな水しぶきが上がる音が聞こえましたが、疲労困憊のライト氏はその水しぶきにもあまり興味を示すことはありませんでした。

やがてライト氏もそして愛犬も眠ってしまったといいます。

そして朝日が昇り始めるころ、再びスカンク川から大きな水しぶきの音が聞こえてきました。

今度の水しぶきの音はライト氏も愛犬も無視できるようなものではありませんでした。

ライト氏が川の方へ眼を向けると、今まで見たこともない長い首を持つ巨大な生物が川からゆっくりと這い上がってくるところでした。

その生物はその存在を悟られないように非常に緩慢とした動きでライト氏の農場へと近づいていきました。

ブタたちの中にその怪物の接近を気付くものは1頭もいませんでした。

ブタたちの柵から数フィートまで近づくと怪物はゆっくりと後肢二本で立ち上がり、まるで品定めでもしているかのように長い首を柵の内部の上方で静止させました。

しばしの静寂。

狙いが定まったのでしょう、突如怪物はその長い首を地面に向けて始動させ、300ポンド (約135キログラム) はあろうかというブタに嚙みつき持ち上げると、まるで農場へ来た時のビデオを巻き戻してみているかのようにに、元来た道を後ずさりしながらゆっくりと戻っていきました。

怪物の口に捕らえられたブタは、気絶したか死んでしまったのか、ぐったりしていました。

ライト氏はこの一連の出来事を即座に当局に伝えると、話は町中に広がり大変な騒ぎとなりました。

とんだホラ話だと嘲笑する人々もいましたが、ライト氏のふだんの性格であったり真剣な話しぶりに信用する人も多く、結局は武装した100人ほどのモンスターハンターたちが終結することとなりました。

彼らはスカンク川に着くと怪物探索をはじめましたがなかなか発見できず、探し始めて2時間もすると、やはりライト氏のホラ話だったか?と疑う人も出てきました。

しかしその時、広く散らばって探索を続けていた男たちでしたが、ライト氏の農場から1マイル (約1.6キロメートル) 離れた地点を探索していた人物から川を泳ぐ謎の巨大生物の背中を発見したとの一報が入りました。

一報を受け、モンスターハンターたちは集結し、泳ぐ怪物の背中に向かってライフルの弾丸を無数に浴びせました。

怪物は驚いたようですが、その分厚い皮膚に弾丸は阻まれ、逃げるどころか男たちがいる川岸へ向かって方向転換しました。

しかしその速度はとてもゆっくり、しかも見えるのは背中だけ、その怪物との実際の距離は測れず、モンスターハンターたちの中には今目の前で起きていることをうまく把握できないものもいました。。

突如怪物は長い首を水面から表すと、信じられないような俊敏さで馬に乗ったひとりの男に咬みつこうとしました。

間一髪、乗っていた男は近くの男性の力を借り下馬することに成功しましたが、ウマは怪物の餌食となり、あっという間に川の中へと引きずり込まれました。

ウマを咥えた怪物はそのまま水中に没しましたが、男たちは遊泳時に生じる軌跡で怪物の位置を把握し、再度ライフルの弾丸をありったけ浴びせましたが、先ほどと同様、怪物を傷つけることはできずそのまま泳ぎ去っていきました。

怪物にまんまと逃げられた男たちは手持ちの武器では役に立たないと悟り、南北戦争で砲兵隊を率いた経験を持つウィルバー大尉に相談すると、怪物を大砲で仕留める案が提案されました。

その日の16時に再び男たちは終結、スカンク川の川岸に大砲を設置し怪物の出現を待ちました。

男たちはウィルバー大尉の指示で怪物に警戒されないように川岸から離れた位置で待機していました。

すると、17時20分、ついにまたあの怪物が現れました。

見えるのは背中だけ、ゆっくりと遊泳していましたが、その怪物は人間たちの存在に気付かず、上陸を始めました。

そして大砲の射撃圏内に入ったことをウィルバー大尉は確認すると、砲撃手に発砲を指示、大砲が火を放つと見ごと怪物に命中!

怪物は悲鳴を上げもんどりうって転がり、やがて動かなくなりました。

怪物の正確な記録を採るためにハンツマン博士とアル・スワルムという名の人物が現場に呼ばれ、計測しました。

全体の印象は現生の爬虫類と似ていましたが、その大きさはとてつもないものでした。

全長81フィート (約25メートル)、頭部と首の長さが21フィート (約6.3メートル)、前肢と後肢の間は40フィート (約12メートル)、歯の長さは17.5インチ (約44センチメートル)。

銃弾を跳ね返した皮膚は予想通り信じられないほど分厚く、暗灰色の鱗で覆われていました。

怪物の皮は剥がされ剥製にされ、そして骨格はフィラデルフィアの自然科学アカデミーに送られ骨格標本を作製される計画がなされました。

オスカルーサはこの歴史に残るであろう「サウススカンク川の戦い」の戦利品として、この剥製と骨格標本を町に展示する予定でした。

しかし、、、

今現在、オスカルーサにはこの予定された戦利品の展示物は存在しません。

19世紀初頭から、各新聞社は人々を惹きつけるため、時には作家を雇いこういった「魅力的な怪物」の記事を「捏造 (創造?)」することはわりと茶飯事だったともいいます。

だからといってそのすべてが捏造と決めつけることはできません。

が、もし気になる点があるとすれば、この怪物の死骸を調査したハンツマン博士ともうひとりの人物、アル・スワルム氏は科学者でもなければ博士の助手ですらなく、その正体はオスカルーサ・ウィークリー・ヘラルド紙の共同編集者であり、かつイタズラ好きの仕掛け人だったということを付け加えておきましょうか。

(参照サイト)
The Pine Barrens Institute

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2025年6月3日火曜日

飛行する透明の翼を持つ種 ~ ハネフクベ


■飛行する透明の翼を持つ種 ~ ハネフクベ

自ら動いて移動することが苦手な植物はその分布する地域を広げるのに種を飛ばすことで達成しようとします。

タンポポのような軽い素材にして風でどこかへ運んで行ってもらったり、美味しい実の中に種を紛れ込ませ鳥や動物たちに食べさせることによって運んだもらったりするのが一般的です。

ウリ科の一種、アルソミトラの仲間でジャワキュウリ (Javan cucumber) ことハネフクベ (Alsomitra macrocarpa) の種子はそのいずれでもない、方法を編み出しました。

タイやニューギニアを中心に自生するこの植物、その実の直径は30センチ、タンポポのように空を舞うのは絶望的な大きさで、この種入りの実を遠くへ運んでもらうには動物に食べてもらうのがいいです。

しかしハネフクベはそんな一般的な方法を選択しませんでした。

かつて人間が空を飛ぶのを夢見たように、この巨体にして彼女は空を舞う夢を諦めなかったのです。

そしてその夢は叶いました。

実の中にある種に翼をつけるという画期的な方法を思いついたのです。

ハネフクベは実の中で、薄く長く成長する包葉 (花序を保護する葉) を種に取付けることに成功しました。

(ハネフクベの種)
(image credit by Wikicommons)

種が熟すころ包葉は乾燥し、まさにブーメランのように両端が湾曲します。

その長さ13センチ、操縦士の種は翼の真ん中に鎮座、いつでも離陸OKです。

実が熟すと、一番下側に亀裂が入り最終的に穴が開くことで翼をもった種たちは空に放たれます。

GO!

そのまま地面に向かって真っ逆さま、、、なんてことにはならず、自然が生んだその絶妙の重さ・形状をもつ飛行機は揚力を得て、放たれた高さよりも高く舞い上がると、失速、急降下、再浮上というサイクルを繰り返し飛び続けます。

その飛行距離は数百メートルにも及び、また、この飛行機は極度の方向不安定性を持ち同時に放たれてもお互いにランダムな方向へと向かいます。

距離的にも方向的にも兄弟姉妹たちとは遠く離れ離れになることで家族間での資源の奪い合いも起こりません。

まさにいいことづくめ、自然が生んだ奇跡の乗り物です。

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2025年6月2日月曜日

19世紀に3頭狩猟された謎のチーター ~ ウーリー・チーター


■19世紀に3頭狩猟された謎のチーター ~ ウーリー・チーター

チーターと聞いて思いつくことは?

ほとんどの人は「足が速い」の一択に違いありません。

ここで「毛深い」と答える人はどうかしています。

が、今回はそのどうかしている毛深いチーター、ウーリー・チーター (Woolly cheetah)、南アフリカ共和国で目撃されたUMAです。

英名でウーリーとつくものにはウーリー・マンモス (Woolly mammoth) ことケナガマンモス (Mammuthus primigenius) やウーリー・ライノセラス (Woolly rhinoceros) ことケブカサイ (Coelodonta antiquitatis) が有名です。

どちらも絶滅してしまいましたがウーリーとは簡単に表現すると「毛深い」という意味です。

(ケブカサイ)
(image credit: Wikicommons)

そういうわけでウーリー・チーターは「毛深いチーター」という意味になります。

和名を当てるとすればケナガチーターとなるでしょうか。

この生物は19世紀末、南アフリカ共和国のビューフォート・ウェスト (Beaufort West)で立て続けに目撃・狩猟され、当時イギリスや南アフリカ共和国の博物館に標本が送られています。

このチーター、単に毛深いだけではありません、通常のチーターより体がずんぐりとしており四肢も太く短いといわれています。

本当にそうであればチーターの売りであるスピードが殺されてしまう可能性があり大いに疑問です。

集団で狩りをするとか食性が異なるとか生態自体が全く違うかもしれません。

但しこれについては毛が長いことによりそのように見えていただけではないか?といわれています。

特に首周りの毛が長くタテガミを形成しており尾も太かったといいます。

体色は青みがかった淡いクリーム色、そこに通常のチーターと同様の暗褐色の斑紋が体全体を覆います。

このチーター、19世紀末に少なくともビューフォート・ウェストで3頭ほど狩猟されケナガチーター (Felis lanea) と新種として扱われましたが頭骨等を調べたところ既存のチーターとの差異が見つけられませんでした。

おそらく劣性遺伝による長毛種として産まれただけに過ぎないのではないか?と考えられるようになり、その後に目撃がないことから一頭のメスから産まれた突然変異の兄弟姉妹だったかもしれないともいわれています。

逆に言えば今後も突然変異的に誕生し目撃されるかもしれません。








2025年6月1日日曜日

二足歩行する巨大なトカゲが目撃された ~ クロスウィック・モンスター


■二足歩行する巨大なトカゲが目撃された ~ クロスウィック・モンスター

今回はクロスウィック・モンスター (Crosswick monster)。

1882年、クロスウィック (Crosswick) でただの1度 (1日) だけ目撃された巨大な爬虫類系UMAです。

クロスウィックとはアメリカの地名で、オハイオ州の最北端に位置する小さなコミュニティです。

五大湖の一つにして、UMAベッシーの故郷としても知られるエリー湖にも面します。

19世紀末、というずいぶん昔の目撃事件であり、その後の目撃がないことから半ば伝説化しているUMAです。

しかしその姿はかなり詳細に伝えられています。

体長は40フィート (約12メートル)、体の直径は16インチ (約40センチ)、四肢の長さが4フィート (約1.2メートル)、うち尾の長さが14フィート (約4.2メートル) と体長の1/3を占め、いかにも爬虫類らしいシルエットをしています。

全身は白っぽい鱗で覆われ、黒い斑点を持つといわれています。

頭部はヘビに似ており、二股に分かれた真っ赤な舌を持ちます。

クロスウィック・モンスターは「巨大な四肢を持つ蛇」と表現されますが、これは前述の通り、体長に比して体の直径がかなり細く (約1/30)、頭部の特徴も相まってそう表現されるのでしょう。

実際、クロスウィック・モンスターはクロスウィック・スネーク・モンスター (Crosswick snake monster) と呼ばれることもあります。

また、体の大きさから脚の長さが1.2メートルあっても決して長いとはいえませんが、腹這いの爬虫類としてはずいぶんと体高が高いというイメージではありす。

概ねオオトカゲタイプではあるものの、オオトカゲにしてはかなり細長いシルエットであり奇妙な姿をしているのは確かです。

さて、興味深いはそのただの一度きりの目撃談です。

1882年5月、川で釣りをしていた11歳のジョーと13歳のエドのリンチ兄弟、後方で叢が動く音がするや突如として大蛇 (クロスウィック・モンスター) が現れたといいます。

怪物に気付いた兄弟はすぐさま逃げようとしたものの、その大蛇は体から2本の腕を出し、兄のエドを瞬く間に怪物に掴みました。

すると今度は体から後肢2本も飛び出し、大蛇から四肢を持つトカゲのような姿になって、エドを掴んだまま川伝いに下流へ連れ去りました。

どうやら下流には怪物の巣と思われるプラタナスの巨木があり、そこへ運び込もうとしたようです。

しかし、連れ去られている途中、兄弟の悲鳴を聞いた3人の成人男性、ジェイコブ・ホーン牧師、ジョージ・ピーターソン、アレン・ジョーダンがかけつけ、怪物を威嚇、エドの救出に成功します。

クロスウィックではその数年前から、未知の巨大生物の足跡が時折発見されていたといい、ついにその正体である怪物が現れたと町は大騒ぎとなりました。

3人の男たちはエドを救出すると、町にそのことを伝えその日のうちに武装した総勢60人の男たち + 猟犬を従え、怪物の巣と思われるプラタナスの巨木へと向かいました。

到着した男たちはプラタナスの樹を囲むと、怪物をおびき出すため大木を切り倒しにかかりました。

すると驚いた怪物が大木の洞 (樹洞) から現れました。

そのあまりの大きさにでしょうか、男たちも恐怖を感じましたが、猟犬たちは怯え後ずさりしたといいます。

しかし怪物はその男たちの数に驚いたのでしょう、攻撃するようなそぶりは見せず、地面に降りると人間のように後肢二本で立ち上がり、尾でバランスを取りながら小川をものすごい勢いで渡り切り逃げていきました。

怪物はその後二度と現れることはなかったといいます。

エドはその後恐怖で暫くうなされ回復に時間がかかったというものや、恐怖で死んでしまったという若干異なるバリエーションは存在するものの、クロスウィック・モンスターの話は基本的にこの一つしか存在しません。

まあ直立二足歩行で逃げた、なんてあたりは昔話を聞いているようで滑稽な印象すら受けますが、グリーンバシリスク (Basiliscus plumifrons) やエリマキトカゲ (Chlamydosaurus kingii) をはじめ、小型の爬虫類には二足歩行できる種も実在するので、そのこと自体はまったくの荒唐無稽な話ではありません。

ただまあ蛇から四肢が飛び出しトカゲになったというのを無視するにせよ、やはり約12メートルという体長が引っかかるところです。

大きさは誇張されているだけでオオトカゲでは?と思いたいところですがアメリカにはアメリカワニ (Crocodylus acutus) は棲息しているもののオオトカゲ類は棲息していません。

しかもクロスウィックは五大湖周辺とかなり北方であることも大型爬虫類が棲息するには厳しい地域です。

(ヒラ・モンスター / Heloderma suspectum)
(image credit :Wikicommons)

巨大トカゲ系UMA、ミルトン・リザードを紹介した時にも触れましたが、アメリカ最大のトカゲはヒラ・モンスターことアメリカドクトカゲ (Heloderma suspectum) が最大で、最大個体でも22インチ (56センチメートル) しかありません。

10メートルどころか1メートルにも遠く及ばず、ワニにも全く似ていないことから既知生物に候補になるようなものは皆無です。

ということは実話の可能性あり?

そう思うもよし、、、いややはり常識的に考えてガセと思うもよし。

ちなみにこのUMA、インターネットミームの産物ではなく、オハイオの地方紙、シンシナティ・エンクワイラー紙が1882年5 月29日号で報じたものです。

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