2022年8月11日木曜日

オーストラリアの謎の獣脚類系UMA ~ ブールンホー (ブルンジョア)


■オーストラリアの謎の獣脚類系UMA ~ ブールンホー

今日書いたセミのネタは誰も読まないと思うので仕方なくもうひとつ書きました。(笑)

オーストラリアの獣脚類系UMA、ブールンホー (ブルンジョア, Burrunjor) です。

マイナーなUMAで日本語での発音すらままなりませんが、どうもこの名前、バスク語のようなので、それっぽく発音するとブールンホーが近いのではないかと判断し、そう表記することにしますね。

バスク語で "Burrunjor"は「呻き (うめき)」や「咆哮 (ほうこう)」を意味するので、なにかしら「音」に関する特徴を持つUMAであると推測されます。

さてこの怪物、もとい生物、ティラノサウルス・レックス (Tyrannosaurus rex) のような姿をしている、と形容されますが、目撃情報からそこまで大柄ではなく20フィート (約6メートル) ぐらいのようです。

少なくとも我が国、日本ではマイナーなUMAではありますが、先住民族アボリジニたちによって描かれた、見方によっては「二足歩行する尾が長い大きな口をもつ生物」に見えなくもない岩絵が残されていた、ビクトリア州の先住民族にムッラ・ムッリ (Murra-Murri) と呼ばれるブールンホーによく似た生物の伝説があった、と、それなりに歴史のあるUMAのようです。

(今回の記事とは関係のない岩絵ですが、謎の岩絵は頻繁にUMAや宇宙人ネタに利用されます)
(image credit by Wikicommons)

アボリジニたちの証言によれば、ブールンホーは夜行性であり、牛やカンガルー、ラクダを襲って食べるといわれています。

オーストラリアでラクダが襲われる?なんて聞くと意外に思う人もいるかもしれませんが、オーストラリアには信じられないほどの数のラクダが生息しています。

世界で一番ラクダの生息数が多いのはオーストラリアといわれているぐらいです。

もちろん、もともとオーストラリアにラクダは生息していませんでしたが、乾燥したオーストラリア内陸の長距離交通手段として19世紀後半から20世紀初頭にかけて多くのラクダが輸入されました。

とはいえ、20世紀の中ごろともなると徐々に交通は整備されていくことになり、ラクダは無用の長物と化してしまい、次第に放棄されていくことになります。

トータルで輸入されたラクダは2万頭ともいわれて、これでも凄い数字ですが、野に放たれたラクダたちは瞬く間に増え続け、ついには70万頭 (一説には120万頭以上とも) にも達したといいます。

あまりに増え過ぎたラクダたちは、現在では駆除の対象になっており、特に最近起きた大規模森林火災や大旱魃により、人間の集落に水を求めてやって来たラクダたちの多くは何千頭と射殺されたほどです。

というわけで、オーストラリアにラクダもたくさん住んでいるのです。

但し、輸入されたのは19世紀後半以降ですから、アボリジニたちの「ラクダを襲う」という目撃情報はそれ以降であるはずなので、わりと最近の話ということが分かります。

実際に、イギリス人入植者たちの間でブールンホーの目撃が始まったのも20世紀中ごろからだといわれています。

物的証拠はないものの、二足歩行する野獣の噂は絶えませんでした。

1970年代、道に迷った男性が雷鳴のような地響きで目覚め、彼はブールンホーの足音ではないかと推測しています。

しかし1985年、とある家族が羽毛を生やした20フィートの怪物を見たというのを最後にしばらくブールンホーは姿を消します。

オーストラリア人の未確認動物学 (&UFO研究家) として、もっとも有名なレックス・ギルロイ氏 (Rex Gilroy) は奥様のヘザー・ギルロイ (Heather Gilroy) との共著「ブールンホー!オーストラリアの生けるティラノサウルを求めて」(Burrunjor-The Search for Australia's Living Tyrannosaurus) 本を2016年に発表しています。

この本において、2011年以降もギルロイ夫婦はブールンホーと思しき足跡の発見・採取に成功したと主張しており、3本指の巨大な鳥を思わせる足跡を石膏で固めて発表しています。

ブールンホーが残す足跡は特徴的な3本指であることからあるアボリジニにたちには「古い三本指 (Old Three-Toes)」なるニックネームで呼ばれることがあるとも。

ギルロイさんは、「ブールンホー = ティラノサウルス」と信じて疑わず、ブールンホーを (ティラノサウルスを含む) コエロサウルス類 (Coelurosauria) であると主張しています。

恐竜説ですから別に何でもいいのですが、どうせ恐竜を候補に挙げるなら、オーストラリアであることと、目撃された20フィートという大きさからから、メガラプトル類 (Megaraptora) のアウストラロヴェナトル (Australovenator) なんかのほうがより候補にいいんじゃないかな、とは思います。

では、恐竜生存説ではなく、もっと現実的なものでは?

現地の人ほど見慣れていない旅行者たちの目撃情報であれば、怪物 (ブールンホー) が出没するという先入観から、カンガルーの誤認を避けられないでしょう。

大口を持ち尾もそれなりの長さもあることから、タスマニアタイガー (フクロオオカミ, Thylacinus cynocephalus) だって悪くありません。

オーストラリア本土ではとっくに消え失せていますが、それゆえ見慣れない動物であることから、獲物を襲う際に後肢二本で立ち上がった様を岩絵に書かれた、なんていう可能性もあるかもしれません。

但し、自分で書いておきながら、UMAの正体がUMAというかなり苦しい説です。(笑)

もっともあり得るのは、やはり恐竜に似た姿をしている現生生物、オオトカゲでしょう。

(ペレンティーオオトカゲ)
(image credit by Wikicommons)

オーストラリア最大のオオトカゲ、ペレンティーオオトカゲ (Varanus giganteus) はいかがでしょうか。

コモドドラゴン (コモドオオトカゲ, Varanus komodoensis) には及びませんが、体長は2メートル前後、最大2.5メートルとも。

ちなみに、ペレンティーオオトカゲもコモドドラゴンも同じヴァラヌス属 (オオトカゲ族) です。

獲物を襲って噛みついたり、掴みかかっている際に、立ち上がった状態に見え「二足歩行する爬虫類 = 獣脚類」と誤認された可能性は考えられます。

ブールンホーの正体として、無難なところではこのペレンティーオオトカゲ、夢を求めるならアウストラロヴェナトル、といったところでしょうか。

(参照サイト)
Genesis Park

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2 件のコメント:

  1. 日本ではよくブルンジョアと書かれますね。どうやらレックス・ギルロイによる創作らしいです。

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    1. ははは、ギルロイは一体いくつ創造しているのやら。
      検索用に「ブルンジョア」も付け足しておきました。

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