■オーストラリアの謎の獣脚類系UMA ~ ブールンホー
今回は、オーストラリアの獣脚類系UMA、ブールンホー(ブルンジョア/Burrunjor)です。
かなりマイナーなUMAで、日本語での発音表記すら定まっていません。
どうもこの名前、バスク語に近い響きを持つようで、それっぽく発音するなら「ブールンホー」が近いのではないかと判断し、今回はそう表記することにします。
バスク語における “Burrunjor” は、「呻き」や「咆哮」を意味するとされており、なにかしら「音」に関する特徴を持つUMAである可能性が推測されています。
― ティラノサウルスのような怪物 ―
さて、この怪物――もとい生物ですが、目撃者たちは「ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex)のような姿」をしていたと語ります。
もっとも、目撃情報を見る限り、そこまで巨大ではなく、全長は20フィート(約6メートル)ほどとされているようです。
少なくとも日本ではかなり知名度の低いUMAですが、実はそれなりに歴史があります。
アボリジニたちによって描かれた岩絵の中には、見方によっては「二足歩行する、尾の長い大口の生物」に見えなくもないものが存在しており、さらにビクトリア州の先住民族には、ムッラ・ムッリ(Murra-Murri)と呼ばれる、ブールンホーによく似た生物の伝承も残されています。
(今回の記事とは関係のない岩絵ですが、謎の岩絵は頻繁にUMAや宇宙人ネタに利用されます)
(image credit : Wikicommons)
― ラクダを襲う怪物 ―
アボリジニたちの証言によれば、ブールンホーは夜行性であり、牛やカンガルー、さらにはラクダを襲って食べるといわれています。
オーストラリアで「ラクダが襲われる」と聞くと、意外に感じる人もいるかもしれません。
しかし実際、オーストラリアには信じられないほど大量のラクダが生息しています。
むしろ、世界でもっともラクダの生息数が多い国はオーストラリアだ、とまでいわれるほどです。
もちろん、もともとオーストラリアにラクダはいませんでした。
乾燥したオーストラリア内陸部での長距離輸送手段として、19世紀後半から20世紀初頭にかけ、多数のラクダが輸入されたのです。
しかし、20世紀中頃になると交通網が発達し、ラクダたちは徐々に不要となっていきました。
やがて放棄されたラクダたちは野生化し、爆発的に増殖します。
輸入された数は合計2万頭ほどともいわれていますが、その子孫は最終的に70万頭、一説には120万頭以上にまで増加したとも。
あまりに増えすぎた結果、現在では駆除対象となっており、特に近年の大規模森林火災や大旱魃の際には、水を求めて集落へ押し寄せたラクダたちが、何千頭単位で射殺されたこともありました。
つまり、オーストラリアには本当に大量のラクダがいるわけです。
ただし、ラクダが輸入されたのは19世紀後半以降です。
そのため、「ブールンホーがラクダを襲う」という証言は、比較的新しい時代の目撃談であることも分かります。
実際、イギリス系入植者たちの間でブールンホーの目撃談が広まり始めたのも、20世紀中頃からだとされています。
― 現代まで続く目撃談 ―
物的証拠こそ存在しないものの、二足歩行する野獣の噂は絶えませんでした。
1970年代には、道に迷った男性が「雷鳴のような地響き」で目を覚まし、それをブールンホーの足音ではないかと推測した、という話も残されています。
さらに1985年には、とある家族が「羽毛を生やした20フィート級の怪物」を目撃したと証言しています。
しかし、それを最後に、ブールンホーは長らく姿を消すことになります。
オーストラリアを代表する未確認動物学者(&UFO研究家)、レックス・ギルロイ(Rex Gilroy)氏は、妻ヘザー・ギルロイ(Heather Gilroy)氏との共著として、2016年に『Burrunjor: The Search for Australia's Living Tyrannosaurus』を出版しました。
この本の中でギルロイ夫妻は、2011年以降にもブールンホーと思しき足跡の発見・採取に成功したと主張しています。
公開された石膏型は、巨大な鳥類を思わせる3本指の足跡でした。
この特徴的な3本指の痕跡から、一部のアボリジニたちはブールンホーを「オールド・スリー・トーズ(Old Three-Toes/古い三本指)」というニックネームで呼ぶこともあるそうです。
― 正体は恐竜か、それとも ―
ギルロイ氏は、「ブールンホー = ティラノサウルス」と強く信じており、ティラノサウルスを含むコエルロサウルス類(Coelurosauria)の生き残りであると主張しています。
恐竜生存説ですから、別に何でもありではあるのですが、どうせ恐竜を候補に挙げるなら、オーストラリアという土地柄と、目撃されるサイズ感を考慮すると、メガラプトル類のアウストラロヴェナトル(Australovenator)あたりのほうが、むしろ近い気もします。
では、もっと現実的な説はどうでしょうか。
現地の動物に慣れていない旅行者であれば、「怪物が出る」という先入観から、カンガルーを誤認する可能性は十分考えられます。
また、大きな口と長い尾を持つ点から、タスマニアタイガー――フクロオオカミ(Thylacinus cynocephalus)説も悪くありません。
オーストラリア本土ではすでに絶滅していますが、それゆえ見慣れない動物でもあり、獲物を襲う際に後肢で立ち上がった姿が、「二足歩行する怪物」として岩絵に描かれた可能性も考えられます。
……もっとも、自分で書いておきながら、「UMAの正体が別のUMA」という、なかなか苦しい説ではありますが。
― 最有力候補? ペレンティーオオトカゲ ―
やはり、もっとも現実的なのは、恐竜にも似た姿を持つ現生生物――オオトカゲ類でしょう。
(ペレンティーオオトカゲ)
(image credit : Wikicommons)
候補として挙げられるのが、オーストラリア最大級のオオトカゲ、ペレンティーオオトカゲ(Varanus giganteus)です。
コモドドラゴン(コモドオオトカゲ/Varanus komodoensis)ほどではありませんが、体長は2メートル前後、最大で2.5メートルほどに達するとされます。
ちなみに、ペレンティーオオトカゲもコモドドラゴンも、同じヴァラヌス属(オオトカゲ属)に分類される近縁種です。
獲物へ噛みついたり、前脚を使って掴みかかった際、偶然立ち上がったように見え、「二足歩行する爬虫類 = 獣脚類」と誤認された可能性は十分あるでしょう。
ブールンホーの正体として、無難な線で考えるならペレンティーオオトカゲ。
夢を追うなら、アウストラロヴェナトル。
……そんなところでしょうか。
(参照サイト)
Genesis Park
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日本ではよくブルンジョアと書かれますね。どうやらレックス・ギルロイによる創作らしいです。
返信削除ははは、ギルロイは一体いくつ創造しているのやら。
削除検索用に「ブルンジョア」も付け足しておきました。