■謎の海洋生物 ~ イチジクカンチョウムシ
海岸線を歩いていると、なぜか場違いなイチジク浣腸を目にすることがあります。
世の人々は、海岸で一体何をしているんだ!?
……と思った次の瞬間。
もしそれがイチジク浣腸ではなく、イチジク浣腸に「擬態」した生物だったとしたらどうでしょうか。
― イチジクカンチョウムシ ―
(イチジクカンチョウムシの実際の画像)
(image credit: StackExchange)
今回はイチジクカンチョウムシ。
当然ながら、そんな和名を持つ生物は正式には存在しません。
これは StackExchange に投稿された、正体不明の海洋生物です。
カナダの大西洋側の浜辺に打ち上げられていたもので、体長はおよそ5センチ。
どちらが頭部で、どちらが尾なのかも即座には判断できない、奇妙なシルエットをしています。
まさか人目を避けるため、イチジク浣腸に擬態していた……というわけではないでしょう。
たぶん。
せっかくなので、ビーチにイチジク浣腸が落ちている理由について補足しておきましょう。
観光客が浜辺で浣腸を楽しんでいるわけではありません。
釣り人サビキ釣りの餌入れ(注入器)にイチジク浣腸の空容器が便利なため使用され、そのまま遺棄されたものと考えられています。
つまり、「浣腸っぽい何か」が海岸に落ちている状況自体は、意外と現実的なのです。
― その正体はホシムシ? ―
では、このイチジクカンチョウムシの正体を考えていきましょう。
まず候補として挙がるのが、ホシムシ(Sipuncula)です。
ホシムシは、正式には星口動物と呼ばれる無脊椎動物の一群で、全体的にやや太めのワーム状の体をしています。
名称の由来は、頭部先端にある触手が放射状に広がり、星のような形状を示す点にあります。
体長は多くの種が10センチ未満で、最大種でも50センチ程度。
サイズだけを見れば、この謎の生物と一致します。
しかし、写真から確認できるシルエットは、ホシムシに見られる均一な太さとはやや異なり、イチジク浣腸のように一端が極端に細くなっています。
また、頭部触手が確認できない点と、体表に体節のようなラインが見えない点は大きな相違点です。
形は似ている。
しかし、構造が一致しない。
ホシムシ説は、可能性の一つではあるものの、決定打に欠けると言わざるを得ません。
― ナマコという、最適解 ―
(パラカウディナ・キレンシス)
(image credit: Wikicmmons)
そこで浮上する、より現実的な候補がいます。
ナマコです。
ナマコ?
と、ここで少し拍子抜けしたかもしれません。
しかし、砂泥底に生息するナマコの一部であるシロナマコ属(Paracaudina)やカウディナ属(Caudina)の仲間は、非常に特徴的な形態を持っています。
これらのナマコは、体の後方に「ネズミの尾」のような細長い突起を備えています。
シロナマコの一種であるパラカウディナ・キレンシス(Paracaudina chilensis)の英名は、ネズミオナマコ(rat-tailed sea cucumber)。
彼らは砂の中に体の大部分を埋め、この細い尾状部のみを砂の表面に出して呼吸を行います。
あの「浣腸のノズル」のような部分は、見た目の冗談ではなく、生存に不可欠な呼吸器官なのです。
さらに、ナマコの皮膚には「骨片」と呼ばれる微細なカルシウム結晶が含まれています。
これが、打ち上げられて乾燥しかけることで、独特の張りとテカリを生み出します。
結果として、ゴムやプラスチック製品に酷似した質感が現れる。
偶然とはいえ、イチジク浣腸としての完成度が異様に高くなる理由は、ここにあります。
正確な種の特定までは困難ですが、このイチジクカンチョウムシの正体は、シロナマコ属を中心としたナマコ類である可能性が高いでしょう。
浜辺に転がる、あまりにも生活感に満ちた「異物」。
それが、海底で静かに呼吸し、砂に潜む生物の一部だったとしたら――
自然はときどき、こちらの想像力を試すような悪ふざけを、平然とやってのけるのです。
UMA探しの旅は終わらない (国内外1000体以上のUMAが待っています)
(関連記事)






0 件のコメント:
コメントを投稿