■見知らぬデイヴィッド
今回はグリッチ・イン・ザ・マトリックスのお話。(グリッチ・イン・ザ・マトリックスの詳細についてはこちらをどうぞ)
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数か月前、私は転職しそこで「デイヴィッド」に出会いました。
私たちは会ってすぐに仲良くなり、彼は私にオフィスの案内をしてくれたり、新人対応の際にはいつも私を手伝ってくれました。
ある日、私はデイヴィッドと昼食をとりました。
すぐ目の前に座ったデイヴィッドをつぶさに観察することができました。
その後もデイヴィッドをオフィスで何度も見ています。
これらの話はすべて私が入社して1週間以内の出来事です。
翌週、見知らぬ人物が私に前に現れ、週末はどう過ごした?なんて尋ねてきました。
全く見覚えのない人物で、私の困惑した表情を悟られたかもしれません。
思わず「どこかでお会いしました?」と尋ねそうになりましたが、気まずくなりそうなのでそれはできませんでした。
おそらく先週、どこかでちょっとあった人に違いなく、私が忘れているだけだろうと思いました。
ランチタイムになりデイヴィッドのいるオフィスへと向かい、さっき会った人物が誰なのかを尋ねようと思いましたが、驚いたことにデイヴィッドのデスクにはさっき私に話しかけてきた見知らぬ人物が座っており、まるで自分のデスクのように振る舞っていたのです。
これが別なオフィスであれば彼を見て驚いたでしょう。
私は困惑を悟られないように世間話をしたりし、その場をうまくやり過ごしました。
スタッフ・ミーティングが始まると、同僚たちは彼のことを「デイヴィッド」と呼んでおり、それは彼があの私の知る「デイヴィッド」を指していることが分かりました。
私は誓って言いますが、あれは入社した時に出会った、つまり先週会っていたデイヴィッドではありません。
私の知るデイヴィッドは、ブラウンの瞳、ブラウンの毛髪、痩身でした。
この「新しい」デイヴィッドは髪の色こそ同じでしたが髪型が全く異なるし、瞳はブルー、なんといっても体ががっしりとしており体型も服装も違います。
あまりに信じられない出来事だけに、私は彼のメールのプロフィール写真をじっくりと観察し「昔の」デイヴィッドの面影を見つけようとしました。
「新しい」デイヴィッドは私と会えば挨拶程度はしますが、それ以上のかかわりを持とうとしません。
休憩時間に私のオフィスに立ち寄ることもありませんし、せいぜい朝に礼儀正しく挨拶をするぐらいの間柄です。
といっても「新しい」デイヴィッドを責める気など毛頭ありません、なにせ彼との「初対面」で彼が話しかけてきた時に私は彼がだれか分からなかったため、その私の態度を見て、おそらく無愛想なやつだ、と私のことを認識しているに違いないからです。
あまりに混乱しているため誰かにこの話を打ち明けたいものの、私の頭がどうかしていると思われずに話すことができる自信がありません。
記憶が消し飛ぶような頭部をぶつけたりもしていませんし、薬物も使用していません、常用している薬もありません。
それどころか私は飲酒もしませんしタバコすら吸いません。
現在私は30代ですが、同世代と比べても極めて体調は良好です。
この状況を説明する手立てがありません、ただただ私は呆然とし、この現実を何とか受け入れようと努力しています。
デイヴィッドのことを考えると、「昔の」デイヴィッドがはっきりと頭に思い浮かびます。
全く別の人間がどうやって「昔の」デイヴィッドと入れ替わって人生を歩んでいるのか理解できずにいます。
そしてこのことは私以外の誰も気付いていないようです。
私の人生の中でもっとも奇妙な出来事です。
とにかく確実なのは、「新しい」デイヴィッドは私が入社した週に友だちになった「昔の」デイヴィッドではないということです
(参照サイト)
reddit / choosethereddpill
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