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2025年5月28日水曜日

沖縄版カッパは適正か? ~ キジムナー


■沖縄版カッパは適正か? ~ キジムナー

今回はキジムナー (Kijimuna)。

日本全国カッパは至る所で目撃の報告がありますが、一般的にキジムナーは「沖縄版カッパ」と呼ばれます。

沖縄県全土に知られていますが、もともとは沖縄県北東部の国頭郡大宜味村喜如嘉 (くにがみぐん・おおぎみそん・きじょか) を発祥とし「ブナガヤー」と呼ばれていたようです。

但しキジムナーは、カッパのトレードマークである頭頂部の皿も、背中の大きな甲羅も持たず、少なくとも見た目はカッパとそれほど似ていません。

共通しているのは小柄 (人間の子供ぐらい) なヒューマノイドという点と人間と交流を持つことができる点、そして水辺と密接なつながり (カッパは川、キジムナーは海の違いはあり) を持つ点でしょうか。


カッパほどその姿は定義されていないような感じではありますが、少なくとも頭髪もしくは全身が赤いという点はキジムナーの特徴といえます。

カッパもUMAというよりは限りなく民間伝承上の生物であったり妖怪寄りですが、キジムナーはよりその傾向が強いと思われます。

キジムナーの正体は樹木の精霊ですが、特にガジュマル (Ficus microcarpa) の木と密接な関係を持ち、「キジムナーはガジュマルの木の精霊」といえるかもしれません。

キジムナーの特筆べき特徴は「魚の目、特に左目」が大好物であるということ、また魚種としてはグルクンことタカサゴ (Pterocaesio digramma) を好むという点です。

友好関係を築けば目だけをくり抜いた魚をたくさんくれるといい、とにかく魚を獲る名人です。

つまりはキジムナーと仲良くなれば繁栄し (金持ちになり)、友好関係が切れると元の状態の戻るか、それ以下になります。

別れ方も重要で恨みを買うと極めて敵対的な行動を取ると信じられています。

ここら辺のくだりはカッパというよりはむしろ座敷童 (ざしきわらし) そのものであり、「(カッパ + 座敷童) ÷2 = キジムナー」といった感じです。

ところで、沖縄では同じく樹木にキーヌシーという精霊が棲んでいるといわれています。

キジムナーと同じ樹木の精霊ですが、キジムナーが頻繁に目撃されるのに対しキーヌシーは樹木から出てくることは滅多になく、ほぼ目撃されることはありません。

もしかするとキーヌシーは実体を持たない存在なのかもしれません。

キジムナーが人間とコミュニケーションを取り、いたずら好きである等、活発なイメージがありますが、それに対しキーヌシー真逆で、穏和な性質だといいます。

キジムナーはキーヌシーの一形態とも考えられますし、全くの別物、もしくはキジムナーの成体がキーヌシーかもしれません。

それともキジムナーとキーヌシーはたまたま樹木の精霊という共通点を持つだけの「全くの赤の他人」かもしれません。

実体を持たないかもしれないキーヌシーが具象化されたものがキジムナーという説もありますが、あまりに性質が違い過ぎてその説はあまり鵜呑みにはできません。

ま、相互に全く関係が無いとは考えにくいものの、強固に二つを結びつけるものもない以上、別種と考えるのが無難かもしれません。

最後にキジムナーの元となった生物はいるか?というと思い当たりませんね。

カッパであればニホンカワウソ (Lutra nippon) が関連していたのはほぼ確実ですが、ニホンカワウソは対馬や五島列島辺りが南限だったようで沖縄には生息していませんでした。

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