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2025年6月20日金曜日

特定された謎の生物の咆哮 ~ バイオ・ダック


■解決された謎の生物の咆哮 ~ バイオ・ダック

今回はバイオ・ダック (Bio-Duck)。

これはUMAの名前ではなく「謎の音」につけられたニックネームみたいなものです。

音だけで姿が確認されていないUMAはいくつか存在しますが、このバイオ・ダックは海で観察されたものなのでブループジュリアらと同じですね。

バイオ・ダックがはじめて観測されたのは1960年代のこと、それは南極周辺を航行していた潜水艦の乗組員によって報告されました。

非常に規則的・機械的な響きを持つこの謎のサウンドは発見当初、生物が発しているものとは考えられず、敵国の軍用機器から発せられていると考えられました。

しかし、南極海から西オーストラリアの海域で毎年、南半球が真夏の時期 (10月~2月) に規則的に観測されることから、どうもこれは軍用機器などではなく、回遊する何らかの巨大生物が発しているのではないか?考えられるようになります。

1980年代に入り科学者らも観測・録音に成功、これを発しているのは生物であり、そして低音ながらアヒルの鳴き声に酷似自他パターンであることから、研究する科学者たちにバイオ・ダックという名前で呼ばれるようになります。

バイオダックには大きく分けて2つのタイプ・パターンがあり、1つはパルス (鳴き声の間隔) の間隔が1.6秒で音域 (周波数の範囲) は50 (60) ~200Hz、もうひとつタイプはパルスの間隔がほぼ倍の3.1秒で音域が100~200Hzです。

いずれにしても低音域です。

しかし毎年バイオ・ダックは観測できるものの、その姿をキャッチすることができません。

最初の発見の1960年代からついに世紀を跨いで21世紀に突入するも謎のサウンドを発する主は発見されません。

結論からいうと2014年、ついにその鳴き声の持ち主を特定することに成功します。

そしてそれは意外な生物でした。

超巨大なアヒルに似た生物???

いや、さすがにそんなことはありません。

それは南半球に棲息し、南極海にも訪れるクロミンククジラ (Balaenoptera bonaerensis) だったのです。

(クロミンククジラ)
(image credit: Wikicommons)

クロミンククジラはヒゲクジラ最小種のひとつでミンククジラ (Balaenoptera acutorostrata) の次に小さく、といっても体長8.3メートル (最大個体は11メートル弱)、体重8トン超もありますが。

研究が進むにつれ、バイオ・ダックは大型の生物が発しているものではないか?と推測されるようになり、かつ夏場に大挙して南極海にやってくるクロミンククジラはその「犯人」に違いないと怪しまれていたのは確かでしたが、実際にバイオ・ダックを発している姿は一度と観測されていませんでした。

限りなく黒に近いグレー。

そして探査艇の発達や機器の進歩により、依然と比べ海洋生物が詳しく観察できるようになってきた昨今。

ついに2013年、マークしていたクロミンククジラ2頭の体に録音機を取り付けることに成功、観察することとなりました。

するとやはり海洋学者らの推測は的中していました。

紛れもなくバイオ・ダックの持ち主はクロミンククジラだったのです。

バイオ・ダックを発するのがどうしてクロミンククジラと特定されるのに50年以上も費やしたかというと、クロミンククジラのほとんどの鳴き声は通常高周波ではじまるものが多く、バイオダックは観察されていないとてつもなく低い鳴き声かつパターンだったからです。

しかもこのバイオダックは真夏にだけしか使われず、現在でもその役割は諸説 (航行・摂食・交尾) あるものの完全な解明には至っていません。

つまり発している主の謎は解けましたが、その用途はいまだ謎なのです。












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