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2025年6月19日木曜日

巨大なブラック・パンサー ~ オンサ・カングスー


■巨大なブラック・パンサー ~ オンサ・カングスー

ブラジルのアマゾン流域に棲息するという謎の巨大ネコ科動物、オンサ・カングスー (Onça-canguçú)。

南米には大型ネコ科動物としてジャガー (Panthera onca) とピューマ (Puma concolor)  が棲息していますが、オンサ・カングスーはそのいずれよりもはるかに大きいといわれています。

全身漆黒の毛で覆われおり、いわゆるブラック・パンサーです。

以前にも何かの記事で触れましたが、日本でブラック・パンサーといえば「クロヒョウ」一択ですが、南米・北米でのブラック・パンサーはヒョウに加えジャガーにも適用します、つまり「クロジャガー」もブラック・パンサーと呼ばれます。

(日本では本家のクロヒョウ)
(image credit by Wikicommons)

巨大なブラック・パンサーであるオンサ・カングスーのもうひとつの見た目の特徴は、のど元から下腹にかけて白いラインが入っていることです。

オンサ・ダ・コレイラ・ブランカ (Onça da coleira branca) やオンサ・プレタ・ド・ペイト・ブランコ (Onça preta do peito branco) 等、いくつかの呼び名で知られるもののいずれも「白い襟」や「白い胸」といった意味であり、いずれにしてものど元から腹部にかけて白い毛が生えているのがトレードマークのようです。

さて、オンサ・カングスーですが、この謎のネコ科動物をもっとも初期に報告したのはオランダ系ブラジル人霊長類学者、マルク・ファン・ルースマーレン (Marc van Roosmalen) 氏。

上記の通り、中南米にはジャガーとピューマが棲息しているため、大型ネコ科動物のUMAが数多く報告されています。

その原因のひとつにジャガーやピューマを見慣れていない (つまり地元民でない) 外部の人間にとって、これらの動物は実際以上に大きく、そして恐怖を感じることが関係しているように思われます。

特にジャガーは大型ネコ科動物の中でもトラとライオンに次ぐ巨体であることから無理もありません。

ルースマーレン氏はオランダ生まれであり、その辺はどうなのでしょう?

実はルースマーレン氏自体、オンサ・カングスーを直接見たことはなく、地元住民たちの聞き込みから知ったようです。

彼はアムステルダム大学で生物学を専攻後、20代後半からスリナム、フランス領ギアナ、ブラジルへと移り住みフィールドワークに汗を流した人物です、地元民以上に野生動物に接する機会が多く、職業柄冷静な判断をすると思われそれなりに信憑性のある話と受け取ったのでしょう。

ちなみにルースマーレン氏はその後1997年にはブラジル国籍を取得し、そのままブラジルに定住しています。

オンサ・カングスーの話に戻りましょう。

この動物には習性にも特徴があり、単独で狩りをせずつがいで狩りをするというものがあります。

UMAがバカでかく人喰いであることは珍しくありませんが、大抵の場合、人喰いであることは誇張されたもので実際に犠牲者が存在することは少ないです。

しかしオンサ・カングスーのつがいによって女児が殺されたという記録があります。

これはオンサ・カングスーかどうかは怪しいものの、通常のジャガーに人間が襲われた記録は数は少ないものの散見されており全くあり得る話ではあります。

実際に存在するのかどうかは微妙ではありますが、新種 (もしくは亜種) ではなく、一頭のメスから生まれた突然変異的に巨体を誇ったジャガーの若い (つがいではなく) 兄弟だった可能性はあるかも (?) しれません。

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