■中国の森林に現れる吸血絨毯 ~ 吸血毯 (きゅうけつたん)
今回は吸血毯 (きゅうけつたん / または吸血絨毯 / Vampire carpet)。
中国、中国雲南省西双版納 (しーさんぱんな) に伝わる謎の生物です。
原生林の沼や川、特に湖に棲息しているといわれ、その姿は薄っぺらで巨大な木の葉のような形状 (もしくは正方形) をしており、その名の通り絨毯に似ているといいます。
大きさは円形のもので直径3メートルもしくは正方形のもので2メートル四方といわれます。
ふだんは湖の表面に浮いているといいます。
体の腹側全体が「口」 (もしくは無数に口がある) であるといわれ、不用意に水辺に近付いた動物たちに襲い掛かり水中へと引きずり込みます。
吸血毯その柔軟性のある不定形の体で包み込むように獲物を押さえつけ、獲物の自由を奪うとゆっくり血を吸い上げるといわれています。
この習性こそが「吸血毯」と呼ばれる所以です。
一種のレイク・モンスターに変わりはありませんが、非常に特異な姿でイメージ的には巨大なアメーバのようなものを想像してしまいますね。
こんな逸話があります。
14世紀後半、3頭の子象を引き連れて川を渡っていると、1頭の子象が吸血毯に襲われました。
子象は吸血毯に湖の中へと引きずり込まれると、残りの2頭は勇敢にも吸血毯に立ち向かい、陸へと引きずり上げたといいます。
吸血毯には手足はなく、ただ「目」と「口」だけがたくさんある生き物だったといいます。
まあいかにも昔話、といった感じではありますが、現在でも雲南省にはアジアゾウ (Elephas maximus) は棲息しています。
それに21世紀に入ってからも吸血毯と思われるものに襲われたという事例はいくつか報告されています。
特に2000年3月15日に猟犬を襲われた地元住民の話によれば、真夜中に犬の悲鳴で目が覚めると猟犬の母子が何者かに襲われているのを目にします。
「毛布」のようなものが猟犬の母子を包み込み、水中に引きずり込んでいたのです。
長い時間の格闘の末、母犬はなんとか水中から脱してきたものの、子犬は助かりませんでした。
こういった目撃証言はあるものの、伝承通りの生物がそのまま存在するとはなかなか考えにくく、その形状からやはり巨大な淡水エイを思い浮かべた人が多いのではないでしょうか?
(ヒマンチュラ・チャオプラヤ)
巨大淡水エイといえばやはりヒマンチュラ・チャオプラヤ (Himantura chaophraya) ことプラークラベーンをおいてありません。
現在の生息域とは少し離れますが、乱獲や生息域の喪失により激減しているものの過去にはかなり広く分布していたとも考えられており、雲南省近くの大河であれば稀に目撃されていたかもしれません。
プラークラベーンには吸血毯のような獲物の体を包んだり血を吸い上げたりといった習性はありませんが、めったに見られないその巨大な生物を目撃した人々により吸血毯のような怪物が創造されたかもしれません。
夢のあるものでは、未知の巨大淡水エイも期待したいところです。
尚、酷似したUMAとしてアルゼンチンのラカル湖 (Lácar Lake) に棲息するといわれるエル・スエロも存在します。
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